Profile
  メッセージを送る
Calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
米粒写経HP
米粒写経HP
サンキュータツオと居島一平のコンビ「米粒写経」。公式ウェブサイト
熱量と文字数
熱量と文字数
サンキュータツオPresents 二次元を哲学するトークバラエティ音声マガジン
漫才バカ一代
漫才バカ一代
米粒写経が主催する漫才オンリーライブ。年4回、3,6,9,12月開催。 ですが、レギュラーメンバーのスケジュールが合わず、次回は未定。
ワタナベエンターテインメント
ワタナベエンターテインメント所属
DVD『珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜』(1)(2)(3)

サンキュータツオの初声優作品!? 漫☆画太郎先生の傑作が春日森監督によってフラッシュアニメ化! 酒の肴にどうぞ。
サンキュータツオ
オリジナルデザインTシャツ
Tシャツリンク_1 Tシャツリンク_2
「一コマ目から好きでしたっ」
オタク心を代弁した魂の一枚をあなたも!
Links
New Entries
Category
Archives
Recent Comment
Recent Trackback
  • 水道橋博士のメルマ旬報 連載:サンキュータツオのお笑い文体論 「POSION GIRL BAND研究」連載開始しています
    Nowpie (なうぴー) お笑い芸人 (08/09)
  • 【ネタバレあり】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 タツオ解釈DAT編 〜やはりDATは見ていた!〜
    しげの樹 (11/25)
Search
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
【二次元の男性音楽教師はなぜ存在がエロいのか】
『響け!ユーフォニアム』の滝先生(CV:我らが櫻井孝宏)
『心が叫びたがってるんだ。』の城嶋先生(CV:藤原啓治)
『同級生』のハラセン・原先生(CV:石川英郎)

ここ最近の秀作のなかで、オトコの音楽の先生が作中でかなり重要な仕事をし、
それでいて真面目すぎず、なんだか酸いも甘いもかみ分けた超然としたキャラクターとして登場している。

ユーフォの滝先生は周囲にどう思われようが自分の生き方を貫くタイプ。
しかも部活を楽しくやるか、本気でやるか、生徒たちにゆだねたうえで、それに合わせた指導をする。自己責任の重さを思い知るまで自分からはなにも言わない。音楽には妥協がなく、感情を表に出さない。
人間に関しては徹底した現実主義者で、やる気がない人も、ある人も、そりゃいるだろうくらいの前提で入っている。やる気にバラつきがあるのをまとめる方法として、自分たち自身の「やる気」をはからせる。
数学教師的なリアリズムがありながら、音楽を愛するというロマンチストな一面、情熱的な一面がある。

ここさけの城嶋先生は、国語教師系の音楽教師だ。
とにかくどこまでが冗談かどこまでが本気かわからない。
一見やる気がないようにも思えるのだが、よく生徒を観察している。
ミュージカルには奇跡がつきものだ、とかわけのわからないことを冗談ぽく本音を言う。
なにがあっても動じない。自室は完全に私物ばかりで、音楽好きっぷりが出ている。
「遊び人」的な佇まいが、介入することなく子どもを見守る大人として理想的な存在だ。

同級生のハラセンは生粋のゲイだが、
気になる生徒がいながらもその子の将来を案じている。
つねに選択の自由を与え、無理強いはしない。
感情は表に出さない。やはり超然としたキャラクターだ。
過去にひきずられながら音楽を続けている、というか音楽の動機が過去にあるわけだが、
そういう切なさを背中で背負っている。
生徒のことにはあまり介入せず、情熱がないように見えるが、それでもやはり生徒のことはよく見ている。
これまでだったら、古文とか世界史とかのつまらない授業をやってる系の音楽教師だ。

現実世界で、音楽教師になろう!と子どものころから夢みてなる男性教員がどれくらいいるかはわからないが、
なんやかんやあって音楽教師になっている彼らには、人に語らぬ過去、という影を感じさせる何かがある。
どんなことにも動じず感情が読めないあたりは、過去にいろんな人間やいろんな出来事を見てきたような経験値を暗示する。
学生たちを見守りながた深くコントロールしようとせずに、柵からはみ出ようとすると「そっちは危ないよ」とポソっという。なんなら、柵からはみ出てもそんなに怒らない。
受験科目でもない、学校では「無駄」な科目である音楽を愛する教師は、そのまま「不道徳」「非常識」を受け入れてくれそうな懐の深さがある。
そう、アニメにおける音楽教師たちは、どこか不良性と情熱を抱えているのに、超然として心が読めず、それでいて悪い人ではないと思わせる孤高の存在だ。背中で語る男たちである。

だからエロい!

目線がエロい。
きれいな指先がエロい。
髪の毛がエロい。




そういえば、『ZIP!』で『心が叫びたがってるんだ。』紹介しました。
ユーフォも映画化されるし、男性音楽教師のいる作品は、映画化されやすいのかな?
「理解のある大人」代表としての音楽教師。

2016.03.06
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 13:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
二次元界隈のいくつかのイベントで考えたこと
9月はアニメ関連のイベントの仕事がいくつかあった。
(月末にも先行上映の司会の仕事はひとつある)

私はアニメが好きなほうである。
アニヲタってやつだ。
ありがたいことに新聞やテレビでアニメを紹介する機会を与えられるくらいには。
「自らオタクって言わないのが本物のオタク」っていう美学というか、「上には上がいる」ことは重々承知なのだが、そうでも言っておかないと、「てめー全然しらねえで適当なこと言いやがって」と事情を知らない人が怒ったりすることもあるので、はりけ〜んずの前田さんほどではないけれど、そこそこは知ったうえでやってますよ、という意味で言うようにはしている。
ま、事実誤認や単純に知らないこともまだまだたくさんあるのだけれど。

アニメが好きだって言ってるとありがたいことにイベントの司会の仕事っていうのもきたりすることがあり、それもいままではできる限りお引き受けしてきた。が、近年ではスケジュールが合わなかったりすることもあって減少傾向にある。
とはいえ、私がやる場合は、すでに「作品を知っている人向け」のクローズトイベントだったり、作品発表後のファンイベントだったり。つまり、限りなくファンに近い立ち位置の司会、というくくりの司会なので、そんなに登板機会は多い方ではない。
また、この手のジャンルの司会者といえばこの人、みたいなお決まりのルーティンもあって、N放送のYさんとか、声優業界の表現者さんであり司会ができるWさんとか、あとは芸人の先輩である前田さんとかがそうであって、私は基本的にはそういう人たちがNGだった場合のバックアップってことで、そもそも扱いが雑だったり、オファーが急だったりガチガチの台本があがっててまったく自由がなかったりで、それほかの人でもいいよね的な仕事もたまにあったりするので、いまは積極的には引き受けていない。「仕事選んでるのかい偉そうに」と言われればたしかにそうかもしれません。仕事選んでます。
単独で渋谷公会堂埋めた私が、そんな仕事していたら私じゃなくて芸人が舐められるわけですよ。やりたいからやる、じゃダメなわけです。やりたいけどやらない、っていう選択をしないと結果的に生きていけないのです。基本的にはフリーのアナウンサーとか司会業を専門にやっている人とか、予算がなければ制作スタッフさんや出演声優さん、あるいはその近くにいる人たちやライターさんなどでまわして、無難なイベントになかでキャストががんばるという構図で充分満足度の高いものになると思うし、私にとってもまったく自由のない進行台本をただ読んで時間の管理をするだけでは、まったくうまみもない、どころかキャストのしゃべる時間を削る作業もしなくてはいけないので嫌われるリスクのほうが高い、下手したらデメリットのほうが多い仕事になる場合もある。ただでさえアニメ業界の人は、入れかわりが激しいゆえに、私のことは「ヒマなアニヲタ芸人」くらいにしか認識していないのです。
だから、私はあまり司会の仕事を積極的にはやっていないのです。

「だれでもやれるものではなくタツオしかできない楽しい進行にしつつ、キャストよりは絶対に目立たず彼らや作品を輝く環境を作る」というタスクは、人が思うより難しい仕事です。
芸人だったら目立つたがりだし、キャストをくってしまいかねない。オタクを使って作品を愛する人たちと共有しようとすると進行ができない。専業司会者を使うと作品世界を理解していない。そうなると、作品を理解してくれていてキャストや作品を輝かせる「ほどよい」さじ加減がわかる人が司会をすることになる。そうなると声がかけられる人は限られてくる。
アニメを好きだと公言してそれを売りにしようとしている有名人はたくさんいるし、まわしの技術が高いかどうかはわかりませんがやりたいという人はいまはたくさんいるので、予算に合わせた人を呼ぶことになると思うので、そういう人たちがやればいい仕事だというのが、いまの私の基本的な考えです。
私はどんな仕事でもストイックに自分にしかできないことを求めちゃいがちですけれど、そういう人がそもそも求められていない現場のほうがほとんどだし。いまはまず声かけてこないですよふつう。

私のなかでイベントの司会は、仕事ではなくてご褒美だと思っているので、あんまり収入とかそういうところで目当てにしてません。それをやることを糧にしていると思われてしまっても困るし、また作品を紹介する立場上、ヘンに勘繰られるのもさびしいので、非大手の後輩に紹介したりしている。
昔からのお付き合いのある方とか、進行の自由と段取りの的確さがあれば、喜んでやりたい仕事ではある。生意気いってる自覚ありますが、そういうスタンスでいないといつまでも「だれでもいい仕事をする人」になっちゃうので言ってくことにしてます。はい、事務所には迷惑かけてます。

が、そんななかで興味があってお引き受けしたのが『SHOW BY ROCK!!』というアニメのスピンオフイベント。
これはサンリオが仕掛けたゲームが、クロスメディア展開としてアニメも制作しているものである。
で、扱っているのが「バンド」。劇中には何組かバンドが出てくるのだけれど、当然そうなると楽曲もあるわけで、劇中歌型アニソン展開も視野に入れているモデルである。
また、主人公はガールズバンドなので視聴ターゲットは男性かなーと思わせておいて、主人公とおなじ事務所に威勢のいい男性バンドがいたり、そのライバル的存在のアイドルバンドがいたりと、女性ターゲットも視野に入れててターゲットが広いのも特徴。なんならターゲットの相互乗り入れもできているし。ゲームやってる人からしたら、主人公を選べたりもするわけで、仕掛ける側としては回収すべきマーケットはゲームのほうが大きいわけだからそうなるのは当然といえば当然。
で、さらにその男性バンドにはリアルにバンドやボーカルとしても活躍中の、人気・実力ともに脂乗りまくりの第一線声優を起用しているからこれは注目しないわけにはいかない。
具体的にいえば、「シンガンクリムゾンズ」のメインボーカル「クロウ」役にGRANRODEOで活躍中の谷山紀章さん、アイドル的バンド「トライクロニカ」のメインボーカル「シュウ☆ゾー」役に、アーティストとしても活動している宮野真守さんが起用されているのである。スケジュールをおさえることだけでも大変なこの人たちをホールドしたってことに、サンリオの本気度とかリーチしているマーケットの広さがうかがえる。

6日には、そんなクロウの生誕祭、という名目のイベントが行われた。シンガンクリムゾンズのメンバーが勢ぞろいだ。
紀章さんとは何度もイベントや現場でご一緒してきた。
が、私は基本的には声優さんと仲良くはしない。
進行の打ち合わせと舞台上以外では、そんなに距離を詰めない。
仲良くなりたいわけじゃなく、彼らに、進行を気にしないレベルでイベントに集中してもらうことが重要なわけで、仲良くなってしまうとその弛緩した雰囲気が舞台上に出ちゃうんじゃないかと思って、自分からは積極的に傍にいかない。こっちはただでさえ芸人だからしゃべったら仲良くなっちゃうわけよ! そこを我慢よ!
ただでさえ何回かイベントでご一緒していくなかで、どういう感じの人かお互いわかっていくわけで。

当然、仲良いほうが安心して本番に流れ込むことができる場合もあるだろう。内輪受けもファン向けイベントなら悪くない。進行上トークをぶったぎって悪役になることも必要なのだが、それも仲良いほうがいいかそうではないほうが無感情にできるのか、よくわからない。
ただ、私は緊張関係がない仕事がしたくないだけかもしれない。しゃべるのは舞台上だけ、舞台上に現地集合現地解散、本番一発勝負。それが理想なのだが、芸人のねじまがった根性だろうか。
基本的にはそういうスタンスなのだが、紀章さんは、私にとっては数少ないNBAマニア仲間なので、すこーしだけNBAの話をするくらいだ。
ただ、現場ではそれも控えるようにしている。

紀章さんはGRANRODEOでの活躍も凄まじく、単独でも軽々と武道館埋めるレベルなのに、数多くのアニソンイベントにも積極的に出演している。
音楽活動をしている声優さんはたくさんいるが、紀章さんほどの熱い男は、音楽と声優を両方やってクオリティが落ちたとか絶対言わせないために、単純に人の二倍、あるいはそれ以上の努力をしていると私は思う。そんななかNBAを見ているなんて…!(泣)余談はさておき、それだけでもすごいのに、このイベント。なんとクロウとして8曲も熱唱したのだ! 自分が祝われる側なのに!
8曲って! もちろんレコーディングしただけでもすごいのに、覚えて、練習をし、リハーサルをし、動きもつけて生歌をうたうのだ。この日のために!

いやもうホントすげえって! 尋常じゃねえって! 40歳ですぞ紀章さん!
カッコよすぎるわ!



舞台上でクロウにプレゼントされたケーキ。スタッフさんの準備もたいへん。




さて、シンガンクリムゾンズにはライバル的なバンド「トライクロニカ」がいる。アイドル的人気を誇るバンドだ。
このバンドは3人編成。メインボーカルは宮野真守さんだ。このスピンオフイベントの司会もした。
ガンダム00の刹那、デスノートのライト、うたプリのトキヤ、スタドラのタクト、シュタゲの岡部倫太郎…こちらも数え上げたらキリがない。
「主役声」とでも言おうか、シリアスからコメディまでまんべんなく対応でき表現の幅も広くて飽きない。おまけに舞台ではサービス精神も旺盛、愛嬌もあって歌がうまい。背が高くてかっこいい。ミスターパーフェクト。
声優業だけでも多くの役をこなしているのに、アーティストとしても活躍し、こちらも多くの観客を持っている。そこへきて劇中バンドの楽曲を熱唱。
こちらのスピンオフのイベントは「ファンミーティング」という形で行われたが、歌と比べてトークが楽かというとそうでもない。つかうエネルギーがちがうのでカロリー消費はそうとうだ。それでも2回まわしのイベントを全力でやってのける。
プロ意識が猛烈に高くて、まったく口には出さないけれど、視界に入ってくるものに対していろいろ考えていることが、私はなんとなく感じる。なぜなら一流の人たちはみんなそうだからだ。人に厳しく自分に厳しい。本当はそうであるべきだ。



会場にはファンからの花も!




舞台そでにはマイクスタンド。本番前の生ナレーションはここでやっているのだが、これだってそうとうな分量の台本を本番一発でミスすることなく共演者とも息ぴったりで合わせるのだから、プロとはいえエネルギーはいるだろう。

我々芸人とちがって普段仕事しているときは客前に出ることはない声優さんだが、宮野さんや紀章さんくらいになると、忙しいときはほぼ毎週末どこかでイベントに出演する。そして、キャラクターを背負って世界観を表現し、その上でお客さんを楽しませる。
それでも質は落ちるどころかあがっていく。

宮野さんは30代前半、紀章さんは40の大台に乗ったばかりだが、そんな彼らはまだ10代の役を不自然なく演じている。
95年以降のアニメ量産期を経てからデビューした声優さんの人口はずいぶん増えた。声優さんの仕事も増えた。スクールもできた。ただそのぶん淘汰も激しい職業になっている。しかもそのなかで音楽活動を並行して行う第一線の声優さんが、どう年を重ねていくのか、我々はいま最初のケースに立ちあっている。
彼らの広げてきたマーケットはどこまで大きくなっていくのか。

声優さんもほかのジャンルの表舞台で活動する人たちとおなじく、キャスティングの権限はない。
そうなると、役に恵まれるかどうかは、努力とはまた別のものが作用しないといけない。運だ。
もちろん運を引き寄せる努力も必要なのだが、ただ声をあてるだけでなく音楽を絡めることでキャスティングしやすくなる、結果「どうしてもこの人じゃないと成り立たない」ところまで行けば、役を引き寄せる主導権を握れるかもしれない。
制作側としてそれでは困る話だが、演者や事務所の理屈として認めないわけにはいかない。大勢の人が関わるビジネスに政治はつきものだ。
男性声優の彼らがこれまでにないモデルとして先人になっていく。20年前には多くの人が想像できなかったことを想像した人だけが、いま目の前にいる。さらにこの20年後、50年後、100年後、二次元界隈のビジネスモデルと声優の在り方がどう変わっているのか。非常に楽しみだ。


彼らとはまったくちがう世代の声優さんのイベントでも司会をした。
女性声優の大橋彩香さんである。
大橋さんとは昨年まで『アニメロライ部』というニコニコ動画の番組で一緒にお仕事していました。
知り合った当時は19歳。9月13日が誕生日で、毎年バースデーイベントを開催しているようです。
今年は誕生日当日の13日に。
これまでのイベントは170人、700人と一年ごとに規模を大きくしてきて、今年は1700人!
アイカツ!や、アイマスでの活躍も目覚ましく、音楽活動も忙しくしている。



ライブでのステージングとかMCどうしよっかなとリアルに悩んでいる彼女の姿を見てきただけに、この1年だけでも相当な進化を見せていて、若い力の底知れなさを実感する。
ちょっと会わないうちにめちゃくちゃ歌うまくなってやんの。こういうと失礼だけど。決して前が下手だったとかいう意味でなく。「魅せたうえで聴かせる」歌になってるの。すごいよね。

大橋さんが興味深い存在なのは、ホリプロの人であるということ。
既存の声優事務所の人ではなく、いわゆる芸能事務所が声優ビジネスを仕掛けていること、そしてその先端にいる存在というところが、大橋さんの存在のおもしろさだ。
タコツボ化している二次元ビジネスのなかに、大メジャーの手法を知り尽くした事務所が参入し、現場の若いマネージャーさんがかなりがんばって彼女を育てている。お天気おねえさんをやる声優さんが出てきたり、バラエティ番組をやる声優さんがいたり、民放の番組のナレーションの仕事も多様化してきている。そうなると、声優を売り出したのち三次元地上波のノウハウや人脈をもっている事務所はこれまでにない強みを発揮できる。司会者やアナウンサーの椅子さえ脅かしかねない。ニュース番組のアシスタントにだって声優はなれちゃうかもしれない。そういった未来があるかもしれないからこそ、こののちの声優業界の勢力地図を少しずつ変えていく小さな種になるのかどうか、この人の存在は楽しみなのである。タレント性充分だもん!人を幸せにするパワーあるし。
もちろん声優さんとして活躍し続けることは期待している。女性声優で30歳以降になるといかんともしがたい世代交代が起こるはずだから、そこからが勝負。
そんなことを考えながらも、そのことと大橋彩香さんの魅力はまったく別のことなので、私は仕事で出会った縁もあって、彼女のことはずっと応援していきたいと思っている。






ホリプロの岡部さん。
去年のバースデーイベントのはっぴを着ている。
アニソングランプリでお会いした方と、こうして現場で再会できるのはうれしいことですなァ。


アニメは純粋に作品が好きで見ているだけなのですが、長年見続けると、こういう仕事もいただけるんだなあとしみじみ。何度も何度もやってきたけれど、それでも私にとっては「ご褒美」。

どのイベントにも共通しているのは、
とにかくお客さんが素晴らしいこと。
キャストが目の前に出てくるだけで、大きな声と拍手で盛り立て、笑顔で、目を輝かせて一挙手一頭足に注目している。
どのジャンルのイベントでも、これだけ幸福感に満たされていくお客さんの顔を見ることはそうそうない。

私は、イベントでは正直いなくてもいいほどの存在で、お客さんとキャストのみなさんとのコミュニケーションの現場に、なんか仲人的な感じで「必要とあらばなんか言う」くらいのもんでしかないし、その自分の存在の軽さがけっこう気に入っているのだが、
やってて良かったと思うのは、こうした「大勢の人が幸福に包まれていく笑顔」を間近で舞台上から見ることができたときだ。

お客さんから放たれる幸せのオーラを少しだけ拝借して、明日への活力として自分の活動に還元したいと思える。
舞台上にいる人はこんな私の何十倍もお客さんにパワーをもらっているにちがいない。


2015.09.19
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 22:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-
日本テレビ『ZIP!』にて『戦国BASARA Judge End』を紹介


本日放送の日本テレビ『ZIP!』の「チューモーク!」のコーナーで、
今月は『戦国BASARA Judge End』を紹介させてもらいました。

戦国時代を扱ったアニメがものすごく多いです。
登場人物がすでに浸透しているし、著作権もないからっていうのも理由のひとつかも。
ここ数年は毎クール必ずあるといってもいいくらい、むしろないほうが珍しいくらい。
現在も『戦国BASARA』のほかに『信長協奏曲』というものあり(こっちもまた面白い!マモいいよマモ!)。

そのなかでも人気ゲームのアニメ化、しかも3期目となった大人気作『戦国BASARA』。
政宗が「レッツパーリー!」とか英語使ってる感じ、はじめてゲームやアニメで見たときは笑いながら見てましたが、
放送でも言った通り、古典の「超訳」みたいに受け取ると、ものすごくわかりやすくキャラクターや歴史を整理してくれてるなと思い、すげー!と思いました。
これがまた毎週おもしろい!

史実そのまま、というわけではありません。
登場人物の年齢だとか、こんな出会い方してねえだろとか、戦い方なんだよとか、ツッコミどころ満載なのですが、
そこは「超訳」。
本田忠勝なんて空飛んじゃいますから!家康乗っけて。
そりゃ家康移動楽だわ!っていう。
こういうひとつひとつが、ギミックとして考えられているので面白いんですよねー。
一度でも見たら、笑って楽しめて感動もできてしまう、漢たちの物語です!

登場人物も、大河ドラマほど大勢ださずに、極力削って、「主人」と「家来」という関係性(バディともいえる)が成立する「二人」くらいに絞ってるので見やすい。ここも大英断ですよね!
個人的には、信玄さまと幸村さまの一連の「幸村ァ」「親方さまァ!」のやりとりがすっげー好きだったんですけど、信玄なき3クール目は、さびしそうな幸村を愛でております。

石田三成がいいんですよ今期!
秀吉に対する忠義の心。ゆえの家康との対立。登場人物たちがみな、自分なりの「正義」と「忠義」にまっすぐなのが熱い!
そして、戦いというものの不可避な部分もある。

学校ではまずこれを見せて、その後史実を教えてもいいのではないかと思うのです。
危険か!

 
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 14:04 | comments(0) | trackbacks(0) |-
第7回 全日本アニソングランプリ に寄せて

第7回 全日本アニソングランプリ
いよいよ明けて今日、決勝大会が行われる。
つまり今日、プロデビューを勝ち取り、アニソン業界の新人になる人がひとり誕生するわけである。

大会のこと、そして大会と私の関わりをまったく知らない方もいると思うので、やや丁寧に書きます。

私はこの大会は、第2回のときに関わったたのが最初である。厳密には、第2回が終わり、第3回への準備期間であった。
当時は腐男塾(当時の表記)と大会後の「振り返り番組」に出演し、HIMEKAさんの優勝を見届けた。

第3回の佐咲紗花さんのときは、アニソンキャラバンというアニマックスの別イベントで第1回優勝の喜多さん、第2回のHIMEKAさん、審査員賞の井上ひかりさんと、ほぼ地方予選を一緒に回っていたものの、アニソングランプリの仕事にはノータッチだったので、地方予選を外側から観察する立場だった。

本格的に大会に関わるようになったのは、地方予選がWEB中継される2010年の第4回からである。
この年は札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、東京の6会場で行われ、私は札幌以外の5会場に中継レポーターとして参加した。
なので、優勝した河野マリナさんには思い入れも強い。その後デビューした春奈るなさんも当時から異彩を放っていたのでそのうちに世に出るだろうという空気はすでにあった。個性的な面々がたくさん出てくる大会のなか、とくに印象深かったのは仙台優勝の14歳の趙秋奈(ちゅな)さんだった。いよいよ決勝に10代前半が出てきた。

翌2011年は震災の年。5会場すべての地方予選に参加し、歴史の必然か、この年はいよいよ10代のチャンピオンを輩出した。鈴木このみさんである。
どのようなコンテストもそうだが「現時点でのパフォーマンス」と「将来の期待値をもった才能」で揺れる。結果、即戦力を優先するので、若い子は勝ちにくい。
歴代優勝者はみな即戦力たる実力とタレント性を持っていた。若い人たちが彼らに勝つには、「可能性」だけでは材料不足だったというわけだ。「可能性」に賭けられるほどの余裕はなく、すでにデビューには大きな責任とお金が付きまとう。「確実性」がなければ困るのだ。

決勝は観客を入れてやるのでとくに「潜在能力の高さ」だけでは満場一致になりにくい。
それでも4回、6回の審査員長をしたANIPLEXの山内さんは「ほかにない声質」と「潜在能力」を重視している人なので、実際にプロとして形になったときの優勝者を見るとホントに震えるほどの変貌ぶりで、その審美眼には毎回しびれる。審査員だって衆目の環境で審査されているのである。

第5回の鈴木このみはまさにそういったコンテストのかかえるジレンマ―即戦力と可能性―の、両方を兼ね備えた若きチャンピオンだった。
これが意味したことは、大会自体の完成度がここに極まったということ。
応募者総数も基本的にはこの第5回からは横ばいだ。もしこの大会がもっと大きくなり、よりその可能性と裾野を広げるとすれば、……といろいろアイデアはあるが、私はそういう立場の人間ではないからやめておこう。むろん大会側も考えていることであろう。

私はあくまで「一番近い傍観者」として大会に関わっているにすぎない。決定事項を伝えられ、職務を全うする立場だ。
アイデアはあっても社内調停や予算やらでできないこともある。この大会が存続していること自体が奇跡のようなことなのだ。
第5回は決勝のファイナルがみな10代ということが象徴していたように、若き才能が躍動した大会だった。名古屋優勝の大倉明日香さんもその後デビューした。彼女にはどんどんアニメを好きになってもらいたい。

2012年の第6回。
この大会では、このアニソングランプリという大会が蓄積してきたタレントたち、つまり何度もこの大会に挑んできたものたちと、新しく挑戦するものたち、その才能がぶつかりあった年、具体的には決勝での大阪の斉藤淳、そして東京の大木貢佑の戦い。
リピーターも5回あたりから増えだしたが、いまのところもっとも優勝に近づいているリピーターは斉藤淳だ。男性優勝者が待望されている空気感のなか、最激戦の東京大会で最後に涼しい顔で決勝大会進出を決めた大木貢佑は、悲壮感のある斉藤くんと好対照だった。
そして、死闘を制した大木くんがほぼ優勝を手中にいれたとき、優勝をかっさらったのはウェブ予選から生き残り劇的な変化でインパクトを残した岡本菜摘だった。
これは見応えのある決勝だった。

審査に関しては私は会場の空気感、などは参考にはなっても決定打にはならないと思っている。仮に客席の評価が決定要素になってしまうのなら、極端な話、そこに審査員なるものの存在はいらない。モードは大会側が牽引するのがコンテストのおもしろいところだ。
必ずしもお客さんの評価と審査員のそれは一致しなくてもよい、むしろ一致しないほうがおもしろい、それがコンテストだ、と思っていた。
大木貢佑、鴨池彩乃、岡本菜摘、この決勝はだれが優勝してもおかしくなかった。
空気感からいったら大木くんだったかもしれない。
しかし、審査員長の判断は岡本菜摘だった。それだけの話だ。
後から納得がいかないだのおかしいだのいうのは容易い。
そんなことは百も承知で選択した覚悟がすごいのだ。毎回ガチな大会であるが、ここまでガチかと改めて思った。
岡本菜摘の声はたしかに他に代えがたい。それは本人がこれからもずっと証明しつづけてくるはずだ。全力で応援するし、彼女は正真正銘のチャンピオンだ。デビュー曲もいいよね♪

そして今年の第7回。
歌はうまい、選曲の妙までコントロールできる人たちがぞろぞろ出てくる。
いままでは地方予選で突き抜けるのは5人ほど、そのなかから優勝、準優勝を決める感じが、今年は各会場に10人くらい頭ひとつ抜けてる状態、というのが現場での実感だ。
そういう意味では、私は今年、アニソン以外の「タレント性」という部分にも注目して地方予選を見てきた。
歌をうたうだけではいけない。アニメを背負う歌手であれば、人格的魅力をもってその世界、そして業界に注目してもらえるような人物であってほしい。そういう「遠心力」を持った人が、この大会からも出てほしい。

地方大会のリアルタイム中継のほか、
9月には毎週地方予選のダイジェストがANIMAXで放送されたようだ。私は素材をいただいていないのでわからないが、
優勝、準優勝、そしてWEB予選の結果、さらにはその大会で印象に残った「3人」ということで、地方予選後の会場で収録したので記憶している。

自分もコンテストに参加する側でもある場合があるので、コンテストにのぞむ人たちの気持ちはよくわかる。みな本気だ。そしてそれは年を追えば追うほどに重要で、緊張感のあるものになっていく。下手はうてない。結果によっては二度と立ち上がれないほどの痛手を負うことだってあるのだ。

歌を歌うことは、プロでもアマでも変わらないだろう。プロになっても戦いは続くし、アマでも歌い続ける。そういう人たちでいてほしい。

ここでは、優勝、準優勝、WEB予選、そして放送後話した3組とは別に、(つまり各地方の6名は別)
印象に残った人たちを書きとめておきたい。
(なにぶん明日決勝なので先入観は持たないほうがよいのだ)

7/20,札幌。
NO.2 「ユニーバサル・バニー」を歌った水野咲良さん。
緊張でふるえながらも、お母さんと相談してつけることにした猫耳。声質もかわいい感じの女子高生。タレント性抜群!
No.5 「夢をかなえてドラえもん」を歌った宮崎夏実さん。
ほかにない癒し力。こういう空気感というものは狙ってだせるものではない。あざとくない、あざとく見えないというのは愛される資質!
No.27 「crossing fieid」を歌った森山夕子さん。うまい!

7/27,福岡。
No.4 「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌った平良愛香さん。
表現力がめちゃくちゃ高くて、歌がうまいこともさることながら、舞台映えする人だなと思った。舞台度胸のある人は、たいがいのことを耐えられる。
No.13 「瞬間センチメンタル」を歌った青野空さん。実はこの人のことは、大会後の収録でも語ったのだが、タレント性ハンパない。東京来るべきと思う。落ち着いた感じがとにかくすごい大物感あるのだ。
No.27 「Synchrogazer」を歌った三根愛奈さん。これはタレント性とかではなくすでに「タレント」だった人。私が『あまちゃん』の太巻さんだったら即スカウト対象。即戦力。この人を拾い上げられないこの大会のレベルの高さはなんだろう。

8/3,大阪。
No.4 「Super Driver」を歌った野村怜那さん。
優勝してよい才能だった。潜在能力だけでいえばトップクラスだったと思う。
No.8 「消せない罪」を歌った山中理央さん。
風男塾に入ろう。輝きがあった。
No.11 「風になる」を歌った伊丹美保子さん。すみません、この人のことも番組でさんざんしゃべったのですが再度。すごい才能です。総合力で。すごいところまできてます。そのまま続けてほしい。自信をなくさず、そのままやり続けてほしい。No.30の坂井里紗希さんも。
No.32 「微笑みの爆弾」を歌った山内彩花さん。アニソン業界にくるという判断は絶対まちがっていない選択だと思う。あとはこの業界のなかでどこに行くか、だろう。

 
8/11,東京。
No.19 「WE GOTTA POWER」を歌った松浦航大くん。
正直、今大会一番のタレントだ。全出場者を通じて一番のタレントだったと思う。あとは時間との闘い。早くデビューしてほしい。努力を続けてほしい。事務所作って売り出したいくらい。マジで欲しい人材!(この方については振り返り番組でしゃべり倒しました)
No.29 「永遠という場所」を歌った溝渕渚さん。
宇多田的痛さと美貌、声、完全にタイプ!(タイプってだけかよ!)

いやマジでプロダクション作ってみんなの面倒みたいくらいだ!(全員の断られるだろう)


アニソンシンガーはスポークスマンでもある必要がある。
アニメに興味のない人でも、歌が好きという人たちはたくさんいて、そういう音楽好きな人に発信力のある魅力的なタレントは本当に必要だ。
歌だけがうまい人では、アニメは背負えないかもしれない。歴代優勝者をみてもアニメ愛の強い人が優勝している。それはなぜか。「本物」だからだ。

本物なうえに、発信力がある人、そういう人は、予選で散った人たちのなかにもいた。
薄氷の差だったことは、現場にいた人間だからこそわかる「雰囲気」だった。
総合力の時代になると、小さくまとまった人が評価されがちであるが、ぜひ逆をいって、武器だけを磨き続けてほしい。

中継の時間も限られていて、審査が厳正になればなるほど、審査員からの質問はより精度の高いものになる。となると、レポーターがしゃべる時間がなく、もはや私に自由はあまりない。正直、私である必要もないポジションになってしまっているかもしれない。
だが、これがもしかしたら正常な大会の在り方かもしれない。
本来は必要のない「+α」の楽しみの部分の存在だ。

ただ、ありがたいことに、そんな立場だからこそ、見えてくるものや感じられるものもある。
いままでかかわった大会の出場者は、求められる限り、そして可能な限り追うようにしている。
これはずっとだ。少なくとも私が関わった大会の人たちのことは、個人的に追い続けたいと思ってる。
第4回河野マリナ、第5回鈴木このみ、第6回岡本菜摘。
素晴らしいチャンピオンたち、そして優勝しなかったものもデビューしている状況を見ると、この大会の注目度は年々増しているのだ。
そして今回の第7回。

今日決勝に臨む人たちは、
一生に一度の「人生を変えるかもしれない出来事」に飛びこむ。
その場に立ち会うことがどれだけドラマチックなことか。
プロが優勝を争うのではなく、アマチュアがプロになることを争う大会なのだから生々しいのだ。

だれが優勝するかはわからないが、優勝する人はそれはそれで厳しい戦いが続く。
私はその人がこれからどういう戦いをしていくかも観ていく。
私とアニソングランプリの物語は、もう少しだけ続くのだ。

決勝大会が終わると、残暑も終わる。
戦いは続く。
記憶には残る。

去年は総合司会でしたが、今年はまた中継レポートに戻ります。
本来だったら演者がここに書くべきことはないですが、ドキュメントとして観ていただくためにも第4回からこうしてブログに逐一書いてきたので貫きたい。こういったことは本来だったらあるべきではないと私はスタッフに言いました。司会は毎年おなじ人がやらないと意味がない、大会の顔が変わるべきではない、しかも象徴がいない今、腰を据えるべきだといろいろスタッフさんには言いました。
私は明らかに降格扱いですし。そこはどうでもいいんですけど。ずっと中継レポーターのほうが「おいしい」のは確かです。レポーターであり続けたいと昨年は主張したのですが、それを踏まえて司会のオファーがあり、そして結局一度司会やっちゃったから。

なんだかんだありましたが、今年は古谷徹さん。もうアガるでしょう、これは!!
そうなんですよ、こういう人に毎年お任せしないといけませんよマジで!
タレントの知名度に頼る方法もありますが、アニマックス主催ならばやはりこういう業界を象徴するような方が顔になったほうが、大会的に良いと思うのですよ!
楽しみすぎますよね!

はっ!ということは、来年は中継レポーター、若井おさむさんの可能性が…orzあ…

事情は充分わかります、簡単にいうと、私の力不足なのです。「やっぱタツオちがうか! いろんな意味で」となったわけなんですが、それにしてもスタッフさんとそうしたことも言い合える関係になれたことも、この大会の収穫です。

言わせてくれるんですよ、この大会は。そしてすべてがガチなのです。すごく懐の深い大会なのです。関わっている人たちはみな真剣だし、本気。労力をおします徹底的に話し合う。最高の場です。

アニソングランプリには本当に多くのことを学びました。今日もきっとです。

最高のパフォーマンスを届ける挑戦者たちを少しでも引き立てられるよう、微力ながらスタッフさんたちとがんばります。
その場に居られるだけで感無量です。
愉しみです。
この大会の主役は、優勝者だけではなく、「人生を賭けた」出場者全員です。
プロセスを楽しむのが公開形式のコンテスト。物語に立ち会おう!

posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) |-
TVアニメ『Free!』を紹介しました 〜日テレ『ZIP!』編〜

先々週は『鷹の爪GO!』、先週は『有頂天家族』を『ZIP!』で紹介させてもらいました。
で、今朝は『Free!』を紹介させてもらったわけなんですが、『Free!』やりますというときから覚悟はしていたものの、やはり反響が大きく。ありがたい限りです。

▼『
『Free!』紹介で語った「現在進行形の同窓会」

を急きょアップしました。
『Free!』はしゃべるの我慢してましたけど、数週間前に決壊。現在にいたります。
過去ログは以下。

▼『
Free!』の松岡凛を考える!
▼『Free!』相変わらず面白い!つか泣く! 

※やや刺激強め。

私が紹介したころにより、批判は集中するわけですが、私はそういう批判ツイートはすきだし、とどめておきたいのでリツイートしています。
私が批判ツイート読むのが好きなのは、私の意見に共感したりしてくださる方はどんな形であれどこかのメディアで出会い話を聞いてくださり感想を都度言ってくださるのに対し、たぶん今日一日の出会いだけになってしまう人たちの意見は聞いてだけで終わってしまうからです。

出会いの事故だからです。
自分にない考え方とか、真逆の考え方の人がいる、っていう認識をもててたほうが、世の中は楽しいと思っているからです。
相容れない考え方を批判する型、みたいなものも体感できます。
結局、すでに『Free!』をご覧になっている方々が、「ちっげーよ!」って言っているだけであって。でも、そもそもそういう人向けではない時間帯の、そういう人向けではない紹介なので、当然アプローチはちがうわけなのですが、批判は批判で「気持ちの出力」であって、「私はこう思う!」という理屈から「なんかむかつく」「嫌い!」という感情にいたるまで、すべてがなにがしかの反応なわけで、こんなにありがたいことはないのです。

知らない世界と、理解できない考え。量子論とかに出会ったときの衝撃とか、BLと出会った時の衝撃。
「わからない」「興味がない」で済ませてしまっていたら、いまの自分はありません。

そういう人たちとの出会いまでさせてくれた『Free!』、そして『ZIP!』ありがとう!

『Free!』の作り手さん、制作陣の方でもし不快な想いをした方がいたら、それは本当に心の底から申し訳ないです。


≪今回サンキュータツオに興味を持ってくださった腐女子のみなさん向け≫
ちょうど去年のいまごろは『黒子のバスケ』毎週レビューしてた!
2期楽しみ!

 
 
  
 
   
 なので一部リンク。

▼すべてはここからはじまった!
サンキュータツオの
『純情ロマンチカ』全記録

 ※一期の感想、名言集はこちらからご覧になれます。
  2008年4月〜7月までのまとめ。

  ああ、この頃の覚醒ぶりが懐かしい。

タツオ選『純情ロマンチカ』名シーン
 ※一期が終わった悲しさをなぜか名シーンを語ることで紛らわしている。
■以下、『純情ロマンチカ2』の感想、名言集!
 
【第12話】(最終回) 終わりよければ全てよし
 【第11話】 其の罪を憎んで其の人を憎まず
 【第10話】 縁は異なもの
 【第9話】 一難去ってまた一難
 【第8話】 恋は思案の外
 【第7話】 月に叢雲花に風
 【第6話】 百聞は一見に如かず
 【第5話】 嘘からでた実
 【第4話】 口は災いの元
 【第3話】 三度目の正直
 【第2話】 二度あることは三度ある
 【第1話】 一度あることは二度ある

▼『世界一初恋』 第1期感想 タツオまとめ
 01.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜高野政宗の「キレデレ」〜 2011.10.12
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110120000/
 02
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜横沢さんが高城剛みたいでかわいそうになってきた〜 2011.10.19
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110200000/
 03
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜受けが「男」になる、BLの醍醐味! 中村春菊山脈!〜 2011.10.26
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110260000/
 04
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜友だちから恋人の間〜 2011.11.02
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111030000/
 05
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜萌え>笑いの法則(通称:小野寺律の法則)〜 2011.11.09
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111100000/
 06
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜下剋上からの〜!? タツオ的井坂・朝比奈解釈〜 2011.11.16
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111160000/
 07
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜恋敵論 「優」と「杏」の違いについて〜 2011.11.23
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111240000/
 08
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜「幸せに不安という調味料」理論〜 2011.11.30
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112010000/
 09
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜雪名皇プロファイリングと、あの女性編集者〜 2011.12.07
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112080000/
 10
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜かわいそうな横澤、かわいい横澤、たったひとりの横澤〜 2011.12.14
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112140000/
 11
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜続・横澤隆史論 BLにおける作品の奥行き〜 2011.12.21
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112220000/
 12
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!!
〜ありがとう! そして、ありがとう!〜 2011.12.28
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112290000/
 13
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』番外編
〜この名言を忘れない!「世界一会話1」!〜 2012.01.04
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201201050001/
 14
.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』番外編
〜この名言を忘れない!「世界一会話2」!〜 2012.01.11
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201201120000/

あとは、ニコニコ動画などで「サンキュータツオ」「BL
Gメン」などで検索するといろいろ出てきます。
みなさんとお話ししたいです。


 

貴方が知らない世界はまだまだある。
貴方が知らない見方がまだまだある。
自分とちがう見方や世界を見たい、という人は、作品を知らなくても、読んでみてくださいね。

posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 09:59 | comments(1) | trackbacks(0) |-
【ネタバレあり】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 タツオ解釈DAT編 〜やはりDATは見ていた!〜

そこそこ長文です。本題は「続きを読む」からどうぞ。

ブログの更新が遅れてに遅れているのには理由があって、なんか無駄に更新しているのにこっちに原稿届いてねえじゃねえかオラと怒らせてしまう人たちが少なからずおり、だからなんかヒマじゃないんだけどブログ更新するとヒマそうに見えてしまったりすることがあり、ついでにいえばツイッターでもなかなかリプライできなかったりして、ホントはずっとやらなきゃいけないこととかは頭のなかに入れてるんだけど、書いたり形にしたりしないとなにもしていない、サボってるだけに思われちゃうので、だったら最初からブログ更新しない、じゃあなんのためのブログなのって自問自答に時間を割くのもなんか損。っていう言い訳を頭に入れてみた。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、いよいよはじまりました。

このために生きてきました。いまのところ、5回観ました。
頭おかしくなってますね、私。ここんとこ毎日観に行っちゃってます、気づいたら。水曜日は忙しすぎて、観に行けなくて、どこかホッとしてました。

『破』であれだけわかりやすさとカタルシスを追及してくれて、このまま全世界的、全国民的に愛しやすい作品になるのかなーなんて思ってましたけど、思い切りそこ振り切って、完全においてけぼりにしてくれました!
まったくわからないです!
そして、わからなくていいのです!
私は思いました。
「あ、エヴァって、放送当初も、こんなもやもやした気持ちにさせてくれたよな」。
これこそがエヴァです!

おもしろいとかつまらないとかいう評価って、作品を「点」で観たときの即時的な評価であって、「エヴァ観た」っていうと「おもしろかった?つまらなかった?」って聞く人って、ホントに「線」で見ることができないかわいそうな人だと思う。「線」で人や作品を追うことの楽しさを知らないのかなあ。
この作品こそ「線」で観なければどうするっていうレベルのもの。「点」で、完結したおもしろさだけを追及したい人は、もう観なくていいですっていうメッセージすら感じた。
だって最近、わかりやすくて短い作品ばかりなんですもの。ファーストフードじゃねんだから、作品づくりは。
もちろん、そういう作品はそれで素晴らしいのだけれど、それだけじゃダメ。長編もちゃんと味わえる体力と鑑賞力は作っておきたい。と、私はヴィレにいる古いほうの乗組員ぽいことを言ってるのだろうか。


いまはもう、新しい映像を見れただけで満足、うれしい、そしてこの映像を、この気持ちで、映画館で見られる期間は、いまだけなので、この価値を堪能したいという気持ちがあるうちは、何度でも観に行こうと思ってます。秋に毎日さんま食べる感じ。

数年後には、横幅にして数センチのDVDボックスになってお手軽価格になってありふれた風景になるこの作品を、数年後に知る人たちは数時間で4作全部観れちゃうわけだけど、いま彼らのことを私はうらやましいとは全然思えない。
だって、いま私はその横幅数センチの間にある、10年以上もある長い長い時間と、点と点の間にある「行間」をさんざん味わいつくして、新しい「点」を知るという、人生をかけた味わい方ができているからだ。

この時代に生まれ、この作品を追いかけていてよかった、だれと共有したいわけでも、すすめたいわけでももうない、ただ自分のためだけに新しい作品と向き合うことの喜びを、これだけ長い期間与えてくれる作品に出会えたってことがまず幸せなのだ。だから、味わい尽くす。堪能する。

むしろうらやましいのは、「まだエヴァ見たことありません」という人。あるいは「劇場版しか見てません」という人。その感覚、味わいてえ!
その感覚で、この劇場版見た感じ、味わいてえ!
これは、「童貞に戻りたい」って言っているのとおなじで、知っちゃってる人はもう二度と戻れない感覚なので、そういう人はホントにうらやましい。
そして、そういう人たちってテレビ版知らないから先入観ないし! マリとおなじ気持ちで見られるし!
私は、人類補完計画が成ったなら、まずそのままエヴァの劇場版を観ます。なにも知らぬまま。そのときの自分の感想を聞きたい。

5回観たなかで、最初は、映像のすごさに圧倒されまったくストーリーやセリフを追えず、とにかく情報量を整理するだけで精いっぱい、体感時間がめちゃくちゃ長く感じるくらい、集中していました。
次に見たときはようやくストーリーを追えて、あっという間。
三回目ではセリフの端々に気を付け、四回目くらいでようやく映像と情報がすんなり入ってくるようになり、それでも見逃した場面を五回目に観て、
これからこちら側で仮説なんども立てながら、それがあってるかどうか確かめに行くことになりそうです。三連休はどこも混むと思うので、観に行かないって決めて、ちょっとどこかホッとしている自分がいます。病気ですね。

『破』を観た人々は、それぞれに次の展開を予想したでしょう。何日も何日も考えたでしょう。でも、だれか一人でも、今回の『Q』を予想できた人がいたでしょうか?
開始早々に予想を裏切られるわけです。もうそれがすごい。みんな置いてけぼりにできるこの想像力がすごい。

この作品を、日テレで放送したとき、見る人たちの感想ってなんなんでしょう。人類ポカン計画ですってツイートしてきたファンいましたけど、まさにその通りでしょう。

一見さんお断り的な、「ついてこれるもんならな」的な感じすら漂ってました。
ただ、この作品がメッセージすることは、やはり人や作品は「線」で追うものであり、「点」で評価するのはあまりにも早計で、「点」があったとしてもやはりそれは「線」のなかの「点」という見方をするべきで、そのほうが作品を何倍も楽しむことができるよっていうのがひとつ。

そして、「序」「破」「Q」ってきてるので、ふつう「急」じゃね?って思った人も多いでしょうけど、あ、そうか、テレビ版をおいかけてきた人にとっては、「急」じゃなくて「Q」っていうくらい、作品世界が大胆に変わる、というか、もはやリメイクですらない新作、ってことを教えてくれていて、
となると、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|I」ってのは、表記がエヴァンゲリオンに戻ってるし、「真」と「新」と「シン」だろうし、繰り返し記号ついてるし、あー、なんか戻ってきそうだっていう、最高のカタルシスの予兆までしてます。

旧約聖書を知っている人は、新約聖書のどえらさを知ってるわけで、
劇場版から入った人は旧約聖書を知らないってだけであって、
それはそれで全然いい。
そう、旧約と新約くらいちがう。

いや、ちがうか、「Q約」と「シン約」くらいちがう聖書ってことかな。


「急」と「旧」がかかってるから「Q」としか表記できなかった。
「新」と「真」がかかってる「シン」としか表記できなかった。
と受け取りたい。


そういう意味では、今回の作品、まさに線で追いかけてる人にとっては最高の楽しみを与えてくれた作品でもあると私は思っています。最高のカタルシスに至る前のフリ。
壮大な助走。
だから、わからなくてもいい部分はそのままにしておいて、きっと最後に回収されると信じて作品を味わいましょう。

で、今回、少しずつ「なんとなくわかってきたところ」と「いまはわからなくていいところ」などがわかってきて、ちょっと自分用にメモしておこうということで、こちらに書きます。ヒマじゃないです、はい。


「DAT」についてです。3年ぶりに書きます。


以下、ネタばれ含みますので、未見の方は読まないように。

この記事はここからが本番です。
感想ではありません、感覚的な予想というか、妄想というか、なにかに憑りつかれたので、それを落とすための記録です。


続きを読む >>
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 11:20 | comments(13) | trackbacks(1) |-
†「世界一初恋愛」まとめ アニメ『世界一初恋』観戦記

†「世界一初恋愛」まとめ
 〜アニメ『世界一初恋』観戦記〜


昨年放送された『世界一初恋』、今回は10月からの第2期の観戦記のまとめ。
連載タイトルは「世界一初恋愛」(せかいいちはつこいあい)。

だれに頼まれるでもなく、また仕事でもなく、毎週血を吐く勢いで苦しみながら書いていたレビュー。
なぜ私はこんな体になってしまったのか!?

これだけはいえる。
『世界一初恋』は、傑作だった!
原作の中村春菊先生ありがとう! 監督の今千秋さんありがとう!


01.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜高野政宗の「キレデレ」〜 2011.10.12
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110120000/

02.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜横沢さんが高城剛みたいでかわいそうになってきた〜 2011.10.19
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110200000/

03.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜受けが「男」になる、BLの醍醐味! 中村春菊山脈!〜 2011.10.26
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201110260000/

04.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜友だちから恋人の間〜 2011.11.02
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111030000/

05.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜萌え>笑いの法則(通称:小野寺律の法則)〜 2011.11.09
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111100000/

06.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜下剋上からの〜!? タツオ的井坂・朝比奈解釈〜 2011.11.16
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111160000/

07.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜恋敵論 「優」と「杏」の違いについて〜 2011.11.23
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201111240000/

08.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜「幸せに不安という調味料」理論〜 2011.11.30
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112010000/

09.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜雪名皇プロファイリングと、あの女性編集者〜 2011.12.07
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112080000/

10.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜かわいそうな横澤、かわいい横澤、たったひとりの横澤〜 2011.12.14
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112140000/

11.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜続・横澤隆史論 BLにおける作品の奥行き〜 2011.12.21
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112220000/

12.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』!! 〜ありがとう! そして、ありがとう!〜 2011.12.28
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201112290000/

13.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』番外編 〜この名言を忘れない!「世界一会話1」!〜 2012.01.04
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201201050001/

14.サンキュータツオの『世界一初恋愛2』番外編 〜この名言を忘れない!「世界一会話2」!〜 2012.01.11
http://plaza.rakuten.co.jp/showtimeanime/diary/201201120000/


というわけで、話題沸騰(どこでだ)の『世界一初恋愛』でございました。
こういう記事ばかり書いて、こちらのブログを書かないのは、いかんですな。

『世界一初恋』関係でいいますと、
これは同人イベントですが、
3.18にはります、HARU COMIC CITY (国際展示場)内にて、
中村春菊先生作品プチオンリーイベント
「純情ダイナマイト」にサークル参加予定。
「世界一初恋愛」をまとめようかなという感じですが、できなかったら、普通に同人誌買いにいきます。


posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 13:14 | comments(2) | trackbacks(0) |-
†「on BLUE」ヤマシタトモコ特集に!

祥伝社 『on BLUE』vol.4 
ヤマシタトモコ先生の特集に寄稿


111214_2317~0001.jpg


現在発売中の祥伝社『on BLUE』vol.4。
ヤマシタトモコ先生の特集、「ヤマシタトモコと私」というコーナーに寄稿しました。
この雑誌は、BLアンソロジーです。

いやマジで嬉しすぎて死ぬかと思った!!
気づいたら、ヤマシタトモコ先生の漫画は全部読んでいた私。
『くいもの処 明楽』から入って、BL読んで、そして『HER』とか『ミラーボール・フラッシング・マジック』とかの、短編小説的な世界観にいたるまで、そのどれもがよい!
『BUTTER』もよい!

この作家の、フィールドを変えても変わらない点は、
理解されにくい孤独感、理解されにくいコンプレックス、理解されにくい寂しさ
これらを表現していることである。

単なる孤独感、コンプレックス、寂しさ
ではないのは、たとえば同性愛のなかで苦しむ孤独感であったり、好きな相手ではない人を抱くときの寂しさであったり。
画一的でわかりやすい関係性ではなく、すべての人間関係が「一回性」のなかにあり、そこには言葉などではとうてい表現できぬ、孤独感、コンプレックス、寂しさがある。

売れるためなら、わかりやすい孤独感、コンプレックス、寂しさに落とし込んでほうが、共感者は増える。
しかし、人それぞれがちがうように、実は画一的な感情であるような幻想がありながら、その姿はそれぞれ違う。
そんな「理解されにくさ」、「一回性」を、作品として昇華し、あたかも共通体験のように描写してしまうのが、この作家のすごいところなんだと私は思うのだ。
「自分のことではない」ことが描かれているが、「本質的におなじ」ことが描かれているからこそ、ときに嫌悪感を感じ、ときに共感するという、作品構造。

私は、女性でもないのに『HER』に猛烈に心を動かされ、ゲイでもないのに『くいもの処 明楽』に萌えたのは、
登場人物の年齢や職業、どういう思想の持ち主で、身長はこれくらい、
そういう緻密な設定のもとに、彼や彼女がどのような「一回性」の孤独感やコンプレックスや寂しさ、ときに焦りを抱えているかが、ひどくよくわかるからである。息苦しくなるくらいに。

とくにBLに関しては、
毛色の違う作品をいろいろお描きになっておられるのだが、
描かれている男性たちの葛藤の姿、心理描写に、イタコとなって命をかけて描写している点である。

むろん、この作家は「おっさん的要素」が大好物なのは伝わってくるのであるが、
BLではない他作品にも言える、「どこか寂しいものを背負っている」人物の代表格、なかでも萌えの対象がおっさんなのだろうという解釈でいる。

この作家は、BLを一元的に解釈していない。
関係性やキャラ萌えだけで終わらせていない。
それは、人の「心」に興味があるのであり、その心には、その人しか感じていない孤独感やコンプレックス、寂しさがあるからである。

そして、絵と同等に、言葉選びに関しても独特の感覚を持っておられる。
セリフ回し、心理描写、タイトルのつけ方。ぜんぶひとつひとつ解説したいくらい!
詩人なのである。

その、絵と言葉のハーモニーが結集する、最後のコマというのが、ホント素晴らしい。
文芸的なラストなのである。どれもこれも。余韻がある。余白がある。
こうして、「終わらない世界」を、頭の片隅に置きつつ、何度も味わえるようになっているのだ。


ということを描こうかなと思ったのだが、
いろんな人が寄稿するということを事前に聴いていたので、
真面目なことを言うよりも、ちょっと変化のあることで本質的なことを言おうかなと思い、
おかしな文章を書いたら、
寄稿したのは漫画家さんたちで、文章は私ひとりだけということを、見本誌を見て知り、
これはやっちまったぞ感満載ですので、是非買って味わってください。

なので、真面目なことはここに書きました。
あと、この雑誌ではヤマシタ先生のBL作品の魅力を、ということでしたので、目いっぱい書きました。
こちらでは、ジャンル横断的にね。

この方のBLは、「男であること」「男同士であること」の必然性を必ずどこかに用意してくれているので、少女漫画的文法を徐々に覚えていくものの、そこは引けません!という姿勢が非常に好きなのです私は。
ホントえらそうに言ってますが、すみません、適当なこと言いました。雑感です許して。

こんなに男のことを描けるなんて、私はこの方は男にちがいない!
と思っております。
男のなかの男にちがいない!
と。

でもイベントにご挨拶にうかがったら、チャーミングな女性でした。びっくり。あと、ゴリゴリの腐女子でした。こちらは期待通り。
トークは芸人でした。
なので、私の解釈では、オタク女芸人でした。
ところで、腐女子って、実は男なんじゃないか説を私は最近となえております。


普通、こういう仕事って、売れてからやれるはずだから、こういうことをやるために、早く売れたいなあと思っていたのだけれど、
すでにやれたから、もういつ引退してもいいと思いました。今年は特に。

マジこの本、買いですよ!
幻のプロトタイプ版「くいもの処 明楽」が、素晴らしい!!
すでに4回読んだ!


11.12.19

posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 13:39 | comments(0) | - |-
†「このBLがやばい!2012年腐女子版」に!
†『このBLがやばい! 2012年腐女子版』に!



111209_0214~0001.jpg

宙出版『このBLがやばい! 2012年腐女子版

いやホントもうゴールでしょ、ここに載るのは。
オファーきたとき、うれしすぎて泣きましたよ。
今年読んだBL作品のベスト5を答えるという。

結果、私が1位に押したものが、全体でも1位でした。
これはもう納得です。個人的に萌え死ぬかと思いました。

BLにおける「ういういしさ」って、大事だと思うんですよね。

で、ほかの選者の方のランキングとかから見ると、
ああ、私は、ピュア志向なんだなって改めて思いました。

ただ、ひとつ言わせて、
『ジューシィ・サイダー』はマジ傑作だから!

ほかにどんな作品を選んだかは、この本買って読んでほしいのですが、
『ジューシィ・サイダー』を私がランクインしたのは、
ピュアであることもさることながら、
その極度にまで軽減されたストレスが、目新らしかったからです。
葛藤や悩みはなくては困ります。ただ、それをナシにはせずに、極限まで軽減させたこのコメディタッチのバランス感覚。
同人的でありながらそうではない。
いままでもなかったわけではないけれど、ここまで作品として上質なものにまとまっていなかったように思う。

ハッピーエンドという山頂がほぼ決まっているBLというジャンルにおいて、
この手のハッピー感は、私にとっては新鮮だったのである。何度読んでも萌える!

5つには入れなれなかったけど、
男くさいので『SMOKER』とか良かった。あと『放課後の不純』とか。あとえすとえむさん!
腰乃先生の作品は、全ランクインさせたいくらい。

とにかく、
この雑誌に自分の名前が刻印される日が来るとは!
嬉しすぎて鼻血!

来年も寄稿できるよう、
BL道を突き進もうと思います。

11.12.19
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 14:12 | comments(0) | - |-
†アニソン的な、あまりにアニソン的な 〜続 極私的桃井はるこ論〜 

アニソン的な、あまりにアニソン的な
 〜続 私的桃井はるこ論〜


桃井はるこさんが、相変わらずおもしろい。
このほど『しょうわ』というアルバムを発表された。

桃井はるこという存在は、オタク業界、二次元業界では、アイコンである。
いままで何度かイベントなどでご一緒する機会があったものの、ちゃんとしゃべったことはなくて、私はむしろそういう距離感で表現者を見るのが嫌いではないのだが、
今年の「と学会」の20周年イベントでご一緒する機会があり、それが縁で6月に、桃井さんがニコニコ公式でなさっている番組「モコモコ60分」に、ゲストで出演する機会を得た。

私はどっぷり桃井さんを追いかけているわけではないのだが、むしろ少し離れたところから、桃井さんという存在と、そのファンの皆様を、第三者的に拝見していたという感じで、
むろん、声優として、そしてアーティストとしての桃井さんを追ってはいたが、適度な距離感で応援している。

この人の発言、存在は、本当に興味深い。
この手の人はいない。

そんな桃井さんに、『東京ポッド許可局』の書籍をお渡ししたところ、大変喜んでくださり、熱心に本編も聴いてくださったりして、
この人はどこまで境界線のない人なのだろうと思った。
自分の興味のアンテナに変な領域意識がない。
だからこそ、この人は、オタクの先駆者であり続ける。

さて、そこで『しょうわ』というアルバムの感想を求められたので、桃井さんにお送りしたところ、「モコモコ60分」でも触れてくださったそうである。
以前、私は「
私的桃井はるこ論」というのを書いた。
それを踏まえて、この人が考えていることを時系列でおうことの楽しさを味わっていただきたい。
以下、私が書いたその感想というものを貼り付けておく。


 桃井はるこは、オタクの2歩先を行っているオタクである。桃井さんがオタクであることを否定する人はいないと思うが、2歩先を行っているということは、現時点でその活動の真意を理解している人がなかなかいないということである。だれにでも理解される人というのは、1歩先を行っているくらいの人だからである。しかし、1歩先にいるということは、常に1歩先にしかいない、逆に言うと、1歩先にとどまっている人のことだろう。

しかし、このアーティストは停滞を嫌う。常に進化を求め続け、1歩では物足りなくなっている。だから、2歩先を行くことを自分で選択し、また、時代の要求としても、「モモイスト」という言葉があるように、そんな2歩行く存在を待ち望んでる人たちがいることも確かだ。桃井さんは、そういう意味では、「自分が望むこと」を追求しつつも、「観客本位」であることもまた忘れない存在である。なぜって、3歩先や5歩先にも行けるのに、2歩先を楽しんでいるからである。

 そういう意味では、桃井はるこという存在と、彼女を支えるモモイストたちは、「オタク」と呼ばれる人たち、そして彼らの好む文化の、最先端である。言い方を変えれば、「予言」である。

 先日公式ブログのほうで「
アニソンとはなにか」という文章をお書きになっていた。
 アニソンとは、広義では「アニメの主題歌かエンディングの曲になっているもの」を指すが、それは形式的なものであり、アニソンらしいアニソンとはなにか、という定義を問題にすると、なかなかまだスッキリとした回答の見つかっていないジャンルかもしれない。
 しかし桃井さんのなかには、どうやらアニソンの定義ができあがっているらしい。詳細はご本人の口から今後も語られることと思うが、私が桃井さんの言説から感じとったのは、「共通体験」としてのアニソン、そして「進取の精神」としてのアニソンである。
 桃井さんがJAM Projectさんを評価なさっているのは、彼らの曲がアニソン的であるからである。アニメのOP、EDになっていなくても、アニソン的なものはアニソンだというのである。そして、彼らがやったアニソンへのアメリカン・ロックの導入には、進取の精神があった。
 アニメやアニソンは、他の閉塞したジャンルに比べて、クリエーターの「遊び心」が歓迎されるジャンルだと思う。だからこそここまで作品が多様化し得たし、海外のファンや実写のクリエーターたちに影響を与えてきた。
 しかしいまのアニソンはどうだろう。決まりきったスコアで「置きに行く」ものが多くなってきやしないか。そして振り切れることもなく、安全な商売をしているだけではないだろうか。そこに進取の精神はあるのだろうか。

 このアルバムを聴いて、「昭和」という時代に象徴されるものや、オタク文化に象徴される、「共通体験」を扱っていることはよくわかる。そして、さまざまなジャンルの音楽の要素を積極的に取り入れ、進取の精神にも満ちていると思った。もっというと、アニメという共通体験から、昭和という「時代」の共通体験をアニソン的に作品化した、だからタイトルが「しょうわ」なのではないだろうか。

 アニソン的な、あまりにアニソン的な楽曲の数々である。

 桃井さんは決して「みんな一緒に」を強要はしていない。それぞれのなかの「昭和」という共通体験、オタクとしての共通体験、そして、人間としての共通体験を示しているだけである。それが、自然に聴く者の心をまとめていく、それが歌であると言っているように思えてくる。

 これは決して、ノスタルジーではない。昭和という「時代」の共通体験を語ること、それはいまこの「平成」の共通体験にもなり得るという可能性を示している。これからの「未来」も共通体験になり得るという可能性を示している。

 「みんなこうあるべき」とは言っていない、「私はこれでいい」「あなたはこれでいい」と、自己肯定をしているだけなのだ。
 アニメの世界は知っている、だけど現実の世界も、おなじ「世界」じゃないか、と肯定してくれている。決して現実世界を否定しないのだ。

 改札はSUICAで通るのも、リア充という言葉が流行っているのも、すれちがい通信をするのも、スマホでアプリをダウンロードするのも、未来からみたら、かけがえのない共通体験であり、アニメ的世界観での出来事のように、キラキラ輝くかもしれないのだという視点。

 オタク文化から飛び出してきた女性が、いま、そういったオタク以外の人をも共感させるかもしれない、普遍性を持ったメッセージをしていること。その進取の精神と遊び心こそが、オタク文化の予言となることを、私は期待してやまないのである。

 桃井はるこは、現実という「世界観」をも背負った、アニソン的な、あまりにアニソン的な存在であると私は思うのだ。



110622_2338~0002.jpg

放送でご一緒したときの写真。
いまも世界中を飛び回る、オタク文化の先駆者である。
この人の書いていること、語ることは、おそらく5年後くらいには常識になるようなことなのだ。

アルバム『
しょうわ』。
現在は楽曲提供などもなさっておられ、示唆に富みまくった作品づくりをなさっておられます。
これは、予言の書です。

11.10.16


posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 01:28 | comments(1) | - |-