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【成城大学 2017年春夏学期】

この春から日本人相手に授業をもつことになった成城大学。

東谷護先生にお声かけいただき、文章表現の授業をやることになりました。

 

しかも初年次教育といって、

大学入り立ての10代の子たちに、

書く、読む、議論する、

みたいなの教えてねっていうザックリ授業で。

 

さらに、

授業を受ける学生は、

自動振り分けでただそのクラスになるわけで、

つまり取りたくて取っている授業ではないという、

行きずりの関係なわけですよ。

 

ぶっちゃけ日本の大学生のやる気のなさって

日々留学生に触れているとうんざりしちゃうし、

しかもこちらのことにもまったく興味なし、

ただの消化試合という状態に、

どうしようかと授業をはじめる前には思いました。

 

大学は小田急線の成城学園前、

木曜の午後は13時入りでTBSラジオの「デイキャッチ!」の仕事が毎週あるのだけれど、

小田急から直通でいけちゃうので2限に授業ができてしまうこともあり、

こうなりゃ怖いもの見たさでやってみるか!

と、日本人相手にやりたい放題やっちまおうと意気込んだわけです。

 


 

しかしこの大学の学生たちは、

おおかたやる気があり、

大学に入り立てっていうのもあるのか、

まだうぶでちゃんと話を聞いてくれました。

(もちろん最初から寝てるバカは一定数います。

 お金払って朝から寝に来てるわけですが、

 自分の大学生だった頃は授業すら来ていなかった系だったので、

 まったく否定できません。後になって後悔してくれたらそれでよい)

 

文章も面白いのから真面目なのから、

いろんなことを書いてくれて、

毎週手書きでちょっとした文章を書いてもらったりして、

それを授業でシェアしたりもしたんだけれど、

最終的には文字を見ればだれのかわかるくらいのとこまでいけました。

 

できれば、1年生の彼らが、4年の最後の半年を迎えるとき、

もう一度おなじメンバーで授業したいなと思ったんだけど、

もう彼らにも会うことはないです。

3ケ月の授業。どんな大人になるものやら。

 

3ケ月、はじめての大学での、はじめての授業というのは、

教える側も教わる側も特別です。

 

彼らの人生のなかで、

一瞬でも私の言ったことが活きるシーンがあれば最高。

 

2017.07.26

 

posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 22:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【一橋大学 2017年春夏学期】

4月からはじまった一橋大学の2コマもようやく7月下旬にきて終了した。

この大学で教えるようになったのは2008年。

というわけで、10年目なんですよねかれこれ。

 

私の場合、芸人として雇われたわけではなく、

日本語学の博士課程を終えてから、

日本語教育の人間として雇ってもらえた最初の大学。

 

その大学が、4学期制を導入するにあたり、

この4月から1コマ105分、それを2コマ、

さらに学生が最初は爆発的に増え、

このままだと過労死ってところまでいきましたよ。

 

 

なんで105分になるのかっていうのは、説明すると面倒くさいんで省きますけど、

人間の集中力って105分持たないです。

教えてるほうだって、芸人の単独2回廻ししてるのとおなじですから。

正気の沙汰ではありません。

しかも学生は一日何コマもあるわけです。

 

なんだかんだGWを過ぎると、

人数の絞り込みに成功し、通常運転より少し多いくらいの人数におさまりました。

 

一橋では日本人学生ではなく、留学生に教えています。

半年でのお別れ。

この3ケ月で、一生会わない人もいます。

国に帰って働く人も、こちらに残って研究する人も、

また別の国に留学する人も。

 

人間交差点なわけです。



 

今期はバチクソ優秀な韓国人留学生がおり、

感動しました。

 

外国語であの領域までいけるって、

どんな気持ちなのだろう。

 

毎週水曜日、この大学に来て、

日常のいろいろをリセットします。

それくらい、国立の街自体が好きです。

 

生まれ変わったら、一橋大学に入学して、

ちゃんと恋愛をして、留学したいですけど

大学受験できっとくじけることでしょう。

 

2017.07

 

posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 22:17 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【京都精華大学:後藤靖香展『必死のパッチ』:トークイベント「戦争と物語」米粒写経で登壇】

京都精華大学にて、後藤靖香(ごとうやすか)さんの個展「必死のパッチ」

が昨年12月から1月に開催されており、

期間中のトークイベント「戦争と物語」において、

後藤靖香さん×米粒写経 という三人で座談形式でお話してきました。

1月10日のことです。

 

後藤さんの作品については、上記のリンクをご覧ください。

戦争という出来事は、私たちは祖父母などの世代から間接的に聞くか、メディアなどを通じて知るといった、二次的な体験でしかありません。

ですが、戦争期間中もきっと楽しいことはあったし、起こっていた出来事が大きすぎて、むしろ生活のこまごましたディテールが語り漏らされている可能性もあります。

映画『この世界の片隅に』は、そんな人たちの生活を描いた作品でしたが、

後藤さんも広島のご出身で、原爆前にも広島には生活していた人たちがおり、どうしても原爆だけをピックアップしてドラマチックに語られがちなのですが、それ以前の人々の生活も想像しようという試みで、志がおなじようなものを、実際に展示を拝見して感じました。

 

また、男同士の友情や戦友だけがわかる共通体験を通して、いろんなドラマ(あるいは疑似恋愛的な?)もあったと思います。

 

後藤さんは「米粒写経のガラパゴスイッチ」をYOUTUBEで見てくださっていて、居島、タツオ双方のことをよくご存じの方でした。

というわけで、出張版ガラパゴスイッチのように、あとからあとから三人が思いつく話を、相手の話に反応しながらすることができ、楽しかった!

こういう出張版、やりたいですねえ!

日本全国、うかがいます。

 

京都は久しぶりでした。

 

京都精華大学。

立派な大学でした。

 

 

少し早めに京都に到着したので、国際会館駅で下車し、借景の庭園で有名な圓通寺に。

ここがもう最高すぎて、一時間以上庭を見ていました。

圓通寺からは歩いて数分の京都精華大学に到着、職員の方に「圓通寺いいですねえ!」と興奮気味に伝えると、「どこですかそれ?」と聞かれたので、おいおいここなんの大学だよ、という微笑ましい一コマも。

 

iPhoneImage.png

一枚一枚が巨大な作品です。

後藤さんの作品はおしなべて大きいです。

それだけに存在感がすごいです。

 

iPhoneImage.png

 

お風呂帰りのふたり。いい感じじゃないですか。

うん、いろいろ妄想をかきたてられますな。


 

実在した人たちのさまざまなエピソードや、資料などから関係性を読み解き、当時の人々の生活の息遣いや心のやりとりまでが伝わってくるような、楽しい展示でした。

 

後藤さんは資料を読み込むのが大好きらしく、おなじことを別の人が語っているのを読んだりして、ここで彼が言っているのは、もしかしてこういうことなんじゃないか、などという「行間」の読みの名手でもあり、

歴史の居島、萌え(行間読み)のタツオ、双方が楽しめるトークショーでした。

 

ご来場のお客様にも大変喜んでいただけました。

楽しい時間を過ごせました。

翌日、一橋大学の通常の授業があったため帰らなきゃいけなかったんですが、

できればいつかゆっくり飲みかわしたいものです。

 

後藤さん、また京都精華大学の方々、どうもありがとうございます。

またやりたいです。

 

以上

posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 17:04 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【平成二十八年 米粒写経 例大祭】

10月3日(月)、4日(火)の二日間、

平成二十八年 米粒写経 例大祭「寿限無論」
深川江戸資料館で行いました。

 

写真:橘蓮二さん ありがとうございます!(春風亭一之輔師匠の独演会での撮影)

 

プログラムには、このように書きました。一部抜粋です。

 

芸人としてのピークがいつ頃なのかはわかりませんが、ここから10年は技術的、体力的にピークだと思います。
そういう時期に、後悔のないものを世に出したいと思っています。

私たちは浅草キッドさんのライブでこの世界に入った人間です。
文字量、情報量、サービス精神、常に限界MAXに挑んでいる二人を見て育ちました。
なので、いま我々がこういうことになっているのも、自然な流れだったのかなと思っています。

いろいろなキッカケで居島、タツオを知ってくださっている方がいると思います。
ですが、米粒写経はひとつです。
どこから入っても、コンビとして愛してくだされば幸いです。

平成二十八年十月三日、四日
米粒写経
 居島一平 サンキュータツオ

 

これに尽きます。

3分とか4分のネタもありますが、そういうものだけではなくて、文化の一シーン、というと気恥ずかしいですが、自分たちが思い描く理想形をひとつやっておきたいと思うに至りました。

本気で、寄席10日間出たとして、毎日ネタ変えられる、それでいて若い人にもちゃんと伝わる漫才。トリだったとしても耐久力のある漫才。

 

また、全員が笑うというのもいいのですが、2割、3割がつねに反応していて、またそれを「よし」としている客席もまた、いいものです。そういう多様性を許容するような「寄席的な」雰囲気のライブを模索したわけです。

イメージとしてはトーキングブルースの漫才版。

 

淡々と、オファー仕事をこなすプロ意識もあるにはあるんですが、自分たちの達成度を得るという意味で、そして自分たちの現在地を確認するという意味で、漫然とここからのキャリアを過ごすよりも、新たな刺激を欲する道を選びました。

これは、それぞれが自分のお客さんをコンビのライブに誘導できるくらいに魅力的な存在にならないと意味のないことでした。なのでここにくるまで時間はかかりましたが、やってよかったことだと思っています。

 

 

 

漫才は楽しいです。

普段、大学で日本語教えたり、単体での仕事もありますが、すべてから解き放たれ自由でいられるのは舞台の上だけです。

そして私はピンのネタをやる主義ではありません。

18歳のとき、大学で出会った居島一平という人物の奇怪さに魅入られ、この人の魅力をどうしたら伝えられるのか、ずっと考え続けた日々です。もちろん、自分の魅力も伝わらないと漫才としての魅力はかけてしまうので、コンビ芸としての漫才にも向き合う結果になりました。

それは大学院での研究ともつながり、ライフワークである文体論とも繋がっています。

 

iPhoneImage.png

 

二日とも超満員で、おかげさまで550強のお客様に見ていただくことができました。

 

内容は来てくれた人だけの宝物なのですが、

落語「寿限無」のメッセージってなんなのってところから、落語全体を俯瞰するような歴史ミステリーでもあり。

個人的にここ10年くらい考え続けた「なんだこの噺!?」という想いに決着をつけるのと、居島さんの異常すぎる歴史記憶スキルをいかんなく発揮できた舞台だったと思います。

またどっかでやりたいね! 30分〜90分の可変域のあるものだから。ネタというよりは、トークというか、でもネタなのかな。トーク以上ネタ未満な。予定調和的でない、台本追う系ではないもの。

オファーあったらやりまっせ★

 

関係者のなかには、いわゆるネタ的なものを求めていらした方もいたかと思い、面食らったかもしれませんが、それが正しい反応です。

でも、落語の知識がなくても、なんとなく寿限無はだれもが知っていますし、はじめて聞いた言葉なんかもあったかもしれませんが、理解に必要なだけの説明はしたと思う。わかんなくてもいいところは、流したし。身近なところにいろんなミステリーがあるんだよ、という学究的エンタメのあり方は伝わったかと思います。それがおもしろいかどうかは置いといたとして。

 

基本的に人間不信なので、「とっても素晴らしかった!」「おもしろかった!」と言われても、さすがに面と向かってはつまんないとは言わないよな…と思ってしまう自分もいるにはいるんですが、それでも少なくともそう伝えようと思った事実はうれしく受け取りました。自分も、面白いと思ったものは嘘なしに面白いと演者さんに伝えることにしているので、そういう方ももちろんいるだろうし、とってもうれしいです。

なにより、会場となった深川江戸資料館の舞台スタッフの方が、打ち合わせから「なんだお前ら」的な雰囲気を出していたにも関わらず、終わったあとに「いやあ、いいもん見させてもらった!」と言ってくださったのが一番うれしかったです。自分たちのことを知らない人でもそう思ってくださったということは、まちがってはいなかったかな、と。

 

まさかカーテンコールまであるなんて。予想していませんでした。楽しんでいただけたのかな。

 

ポッドキャスト「米粒写経のガラパゴスイッチ」

こちらでのプロモーションや、Youtubeで米粒写経を追いかけてくださっている方も大勢いて、動員の助けになりました。

TBSラジオ「たまむすび」でも浅草キッドの玉袋筋太郎さんがコンビで出させてくださり、

また水道橋博士さんはツイッターに番組に、私たちのことを応援してくださり、

本当に感謝感激、戦車突撃です。

私は、自分たちの歴史のなかに位置づけてみたとき、どうしても浅草キッドさんに憧れてこの世界に入ったことを忘れるわけにはいきません。その後、東京ボーイズさんや前田隣先生、喜多八師匠にもお世話になり続けていますが、漫才としてはまず最初にキッドさんなのです。

 

長尺の、噛みごたえのあるエンタメをできる芸人は減っています。

ネタ尺が短くなっているのと同時に、横断的になにかを語れる人が少なくなっているからです。

 

今回は、台本を作らず、おおまかな進行だけを用意して、本番に挑みました。

お客さんあってのものなので、通し稽古もできず、なんとなく45分くらい、進行確認の稽古をしただけにすぎません。

また、私たちの場合は、稽古しすぎるとおもしろさがわからなくなっていくので、しすぎないようにもしています。

そういう意味では、大いなる一回性でもあるのですが、

二日とも、こういう感じにもなるんだなあという、やってて面白い90分になりました。これは芸人人生すべてが問われる舞台なんだなとつくづく思いました。

 

やって良かったです。

 

少なくとも、私たちのようなスタイルを望んでいる人たちが、平日の夜、万難を排してお金を払って会場にくる人たちだけでも数百人はいることが確認できました。

「わからないからこそ面白い」、「わからない部分は将来わかる楽しみがある」という思想のもと、「でも届いたときは楽しい」というものに仕上げました。

 

わかんなくなって、顔がおもしろきゃ笑えるし。それでいいんだよ。

 


 

差し入れでいただいたお酒「寿限無」。


 

居島一平画伯の原画の前にて記念撮影。

 


落語研究会の遠藤、池田、藤山さん、ありがとう!


たまむすびさん、新宿レフカダさん、ありがとう!

JFNさんからもお花いただきました!イマドキ用語の基礎知識、聞いてね!


WOWOWぷらすとさん、ありがとう!

 

 

唯一使用したOPとEDの音楽は、大好きなアニメ「PING PONG」から(松本大洋先生原作のあのPING PONGです)使いました。

出会ったときから居島さんは私のなかでペコです。私はスマイル……だったらよかったんですが、アクマですね。どう考えても。

アクマ好きだし。

でもアクマとペコの漫才ってのもいいもんです。

ペコっていうと、立川こしら師匠とかも私のなかではペコっぽいかも。ヒーローだぜあいつ。

 

今も居島一平はかっこいいですし面白いです。

コンテストのことだけ考えたら、このコンビではない人生があったかもしれません。が、18歳のとき感じたあの感覚を裏切りたくはないのです。

この相方で良かったと思えた夜になりました。

そして私も負けません。お互いが斬るか斬られるかくらいの緊張感と距離感があるから、コンビは面白いのです。

 

ありがとうございます。

 

タツオ

 

2016.10.09

posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 15:07 | comments(2) | trackbacks(0) |-
【米粒写経「朝日カルチャーセンター」で講演@新宿 5/24(火)、30(月)夜】
米粒写経で、カルチャーセンターに講演しにいきます!
朝日カルチャーセンター「楽しく学ぶイマドキ用語」

JFN系列で3分番組「米粒写経のイマドキ用語の基礎知識」をやっておりますが(リンク先から音声が聴けます)、
その出張版とでもいいましょうか。

新語、流行語を紹介している番組ですが、この講演では新語ができる流れや、言葉そのものについてお話できればと思います。
5月24日(火)、30日(月)19:00〜20:30です。

どんな人たちが聴きにきてくださるのか、楽しみです!

2016.05.12
 
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 18:07 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【『米粒写経のガラパゴスイッチ』ご来場ありがとうございます #米粒写経】
4月29日(金)『米粒写経のガラパゴスイッチ』、
ご来場くださった皆様ありがとうございます。

隔月最終金曜日に開催しているこの単独ライブも、もう数年に渡って完売記録が続いております。
今回は祝日にも関わらず大勢の方にご来場いただきうれしいです。

第一部のネタパートは、新ネタ「モノマネしりとり」と、「ふくわらい」(外国人の教えにくい日本語 その2)でした。
オフィス北野のホロッコ、シルキーラインにも出てもらいました。
なお、最初の30分ほどフリートークのコーナーでは、来る5月21日(土)にオンエア予定のCBCテレビ『本能Z』の収録の様子や、その後の水道橋博士さん邸での、居島一平 VS 博士チルドレン の様子を。やー、笑った笑った。

第二部のトークパート、今回は映画史、時代劇研究家の春日太一さんをお招きして、「陰謀史で読み解く徳川260年 その1 家康編」という話をしていただきました。おもしろかったなぁ!


iPhoneImage.png
今回のオリシマーズは、春日太一さん


このライブ、年に一度くらい大きめなところでやるとか、なんかしたいですね。
私たちは知的好奇心を満たすお笑いを標榜しているので、そういうものを求めている層がたくさんいるといいな。
地道に続けるしかないのだけれど、こういう方向性の人たちがいるってことだけでも、知ってもらえたらと思います。

次回は6月24日(金)。

 
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 16:33 | comments(1) | trackbacks(0) |-
【CD-BOX『志ん朝 東宝』 スペシャルサイトに寄稿】
故・古今亭志ん朝師匠のCD-BOX『志ん朝 東宝』が発売され、
ソニーのスペシャルサイトにコメントを寄せました。

高田文夫先生、東出昌大さん、『昭和元禄落語心中』の雲田はるこ先生、中野翠さん、読売新聞の森重記者など、
錚々たる顔ぶれに入れていただいのは光栄でありますが恐縮です。
山寺宏一さんはじめ、志ん朝師匠を愛する著名人は山ほどおります。
私以下の世代となるとなかなか生で聴いた、追いかけたという方は少ないかもしれませんが、
それでもここに名を連ねることになったことはとにかく畏れ多いことです。

志ん朝師匠は、私にとって太陽でした。

発売元であるソニーの来福レーベルは信頼のおけるところです。
監修の京須偕充さんには、著作から多大な影響を受けました。
『落語コスモス』という本で、志ん朝七夜という独演会シリーズを仕掛けるにいたる経緯が書かれていますが、志ん朝師匠を知らずともドキドキして読むことができることと思います。名文です。
この独演会を録音した音源がソニーから出ている志ん朝師匠存命中に発売されたCDです。これも奇跡かっつーくらいの傑作です。

没後、さまざまな音源やDVDが発売されました。
きっと存命だったら許可なさらないであろうものも世に出ました。
それもまた仕方のないことなのですけれど、伸び伸びしている明るい志ん朝師匠に出会える音源、それがこのシリーズです。

特典でついているネタ帳は、当時の古今亭志ん八、のちの古今亭右朝師匠によるもの。
右朝師匠は寄席文字の橘右近師匠のお弟子さんとなり、本格的に寄席文字に携わっていた時期もあり、そののち落語家になられたので、尋常ではないうまさです。
右朝師匠は、18歳のころに「早稲田文学」という文芸誌の編集をしていた際に出会って以降、たいへんお世話になりました。
いろいろなところへ飲みにつれていっていただきました。
厳しさのなかに優しさもあり、どこの馬の骨ともわからぬ学生相手にいろいろ教えてくださいました。
私だったらできないです。

そんな右朝師匠について、おなじサイトで高田文夫先生が書かれています。
日本大学芸術学部の落語研究会で、お二人は同級です。

雲田はるこ先生がお描きになっていた、志ん朝師匠の「手」の表現。
志ん朝師匠は着物姿がとても美しかったですが、なにより手のかたちの美しい師匠でした。
といってうるさくない。
ヒザの上にほんの少し置いているような、いや、もしかしたらヒザの上に「浮かせている」くらいおなじところに両手を添えていました。ベタっとヒザに置かないという。
手を動かすときは一挙手に意味があるとき。そんなストイックなところからも、どちらかというと父・志ん生師匠よりは、八代目桂文楽ないし、兄馬生の影響を見ることができました。ですけれど、身体全体から発する愛嬌などは、どうしたって志ん生譲りなのです。
すごかったです。

志ん朝師匠をじかに聴けたというのは末代までの自慢ですが、あまりしゃべりすぎると最近落語を好きになった人に、面倒なマニアが思い出話をするような、昔自分がもっとも嫌いだった人種になるので、あまりしないようにしたいなと自戒しています。
ですけれど、いまの時代の人でもすっと身体に入ってくる落語なので、音源でもその魅力は充分に伝わると思います。

非常に恐縮しましたが、これをキッカケに志ん朝師匠を知る人がひとりでも居てくれたらそれで仕事は果たしたかなと思うので、そういう方がいましたら、ぜひお手にとっていただだきたいと思います。

04.19
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 12:27 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【大学がはじまりました】
一橋大学、2016年夏学期、はじまりました。

早稲田に在学していたときは、都電沿いの早稲田から面影橋あたりまでの桜が日本一だと思っていたけど、
一橋で教えることになってから毎年国立駅から大学までのこの桜並木を見ていると、
まわりに高い建物のないこのおおらかな場所にあるこの桜が、
一番なんじゃないかと思ってきました。





この日は、風が強く桜が散りはじめ、文字通り桜の雨でした。

今セメスターでは、どんな留学生がくるのか。
毎回強烈な個性が現われるので楽しみだ。
添削は泣くほどつらいんだけど、学生にやる気があるから救われる。

今年度も日本語上級前半のクラスと上級後半のクラス。
どんな課題で書いてもらおうかな。

2ヶ月ぶりに教員のみなさんの顔を見たりしたのだけれど、
あれ、あの先生どうしたんだろうと思ったら、特任教授だったので任期つきだったので、別の大学に就職されましたよ、と聞きビックリ!
知らなかった!
唯一毎年ツールの話できる先生だったのに!
N先生…今年このサガンの活躍に期待してください。

学生にやる気がなくて添削の授業とか、マジ地獄だろうなあ。

2016.04.07
 
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) |-
【浅草・東洋館 3月 出演してきました】
米粒写経で活動しているのですが、
新宿周辺でのいくつかのライブのほかに、隔月で数日、浅草の東洋館という演芸場にでております。
これは、ボーイズバラエティ協会という、オトネタをもっている芸人たちが中心となっている団体に、なぜか私たちがそのなかの「色物」として漫才をやるということで所属しているからであり。

浅草、この年になると好きですわ。
いまでは隔月でこの場所に行くのがちょっと楽しみ。
昼間の出演なので、お年寄りがニコニコしている、常に満員、という特殊な場所ですので、ネタは毎回、泥臭く笑いを取りに行くおなじやつを、マイナーチェンジを繰り返し。

自分たちの前後に出演なさる、立川流の落語家さんたちの落語も楽しみで楽しみで。
もちろん、ボーイズの師匠たちのネタも楽しい。



実は最寄駅は浅草ではなく田原町。
浅草から演芸場に向かうと、観光客だらけでとても歩いていられない。
というわけで、銀座線で向かっています。

田原町駅の階段をのぼりきるとある焼きそば屋が大好きです。
前通っただけでおいしいよ。



演芸場にいく間にある看板なんだけど、噺をきいてクスリとするのかといつも思う。




知らない人だらけだと思うんですけど、秘境ですよ。
まだ見つかっていない人たちばかり。
というか、私たちを含め、見つからないままかもしれない人たちの、演芸場を愛するピュアさに触れるのもいいかもしれない。
とはいえ、昔からずっと売れている師匠方もおり。

若手のお笑いライブもいいけど、ホントにここは時間の流れがちがうんだよ。

お笑いは、「おもしろい」と「つまらない」しかないと思っている人がたくさんいると思うけど、そのほかに「くだらない」という美学が存在する。
そして、いろんなパターンを見尽くすとこの「くだらない」という第三極が俄然力をもってくるのよ。

ハッキリいって暴力、というくらいズルい笑い。大好き。

…隔月くらいがちょうどいいのかな。

3月は、23日、28日、30日の出演でした。
30日はスペシャル寄席、これはなかなか入らないんだ。
今度出るときは宣伝してみる。

2016.04.07
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 23:22 | comments(1) | trackbacks(0) |-
【伊豆修善寺図書館 講演「もっと辞書を知り楽しむ講座」】
伊豆修善寺図書館。
大好きな静岡県、なかでも伊豆は大好きな土地なので、こういうところからお声かけいただいてうれしい。
交通費さえ出していただけるのであれば、あとはお気持ちを添えていただけるだけで、講演は日本全国にうかがっております。



モダンな建物です。
お声かけいただいたのは、図書館の職員さんだったのですが、この方は以前朝日新聞社主催の、三浦しをんさんとの国語辞典の講演会にいらしてくださって、お声かけくださったようです。繋がっているよろこびがあります。
いまの館長さんは、事務所の先輩、「親方」ことガダルカナル・タカさんの同級生だそうです。
ビックリしました。

講座の受講者は、地域の図書館司書のみなさん、そして学校職員、教員という方の模様。
身が引き締まる想いです。

司書の方、教員の方に限らず、本屋さんも国語辞典の違いについてはよく知らないことが多いです。
本屋さんの棚を見ればそれが一発でわかります。

新宿の紀伊国屋書店では、一時期拙著『国語辞典の遊び方』の出版社ごとの国語辞典擬人化キャラを使用して国語辞典コーナーに掲示してくださったほどです。

一冊3000円程度、CD一枚分の金額に、国内の印刷技術の粋がつまり、情報量も最大。
しかも種類が豊富。こんな本がこんな価格で買えるなんて、奇跡です。

ユーザーにあった辞典のオススメ方法や、辞典の特性とその由来などについてお話しました。

今後もこういうのあるといいなあ。
お声かけくださった職員さんは、4月から部署変えで転属になるとのことでした。
一期一会です。素敵な方でした。ありがとうございます。

2016.04.07
 
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 01:37 | comments(0) | trackbacks(0) |-