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【朝日新聞書評委員の仕事】2017.08.25 Friday
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この4月からはじまった仕事がいくつかあるんですが、とても楽しい仕事が書評委員の仕事。
朝日新聞の毎週日曜日の書評欄に、書評を書いています。
「書評を書く」って言葉が重なっていそうで重なってないやつですね。
隔週で委員会に出席し、まず読む本をゲットします。
書評委員全員で集まって、読みたい本に入札していき、入手できるかどうかがカギになります。
また、この委員会で、読んだ本の感じを全員の前で述べます。
人の本の感想というのはとても面白い。また、この委員会ではなぜ読んだ本を書評しない道を選んだのかということも述べ合うので、大学院のゼミのときのような雰囲気もあって大変勉強になります。
現行のメンバーになってからは、私が一番年下なので、勉強になることばかり。
そろそろ委員のみなさんの顔と名前も一致してきて(お名前は以前から存じていたが、顔を知らない、といったパターンが非常に多いんですよね。みなさんタレントではなくて専門家なので)、毎回行くのが楽しみです。
タイミングが合えば書評を書かせていただく機会を与えられ、
400字、800字、1100字と求められる分量を書いていき、掲載となるわけです。
紹介したいけど、タイミングが合わなかったり、
読んで楽しかったけど書評には向いていなかったり、
似たようなジャンルが重なって書評できなかったり、
ほかの人に取られてしまい書評できなかったりすることもあります。
だから、読んで楽しかった本の書評が無事掲載となったときは、なにかその本と運命めいたものを感じます。
本を読むことが仕事になるなんてこんな幸せなことないじゃないかと、10年前の自分なら言ってかもしれないですけど、
この仕事は責任重大です。
責任の二文字が嫌いでこの職業に就いているところがあるので、なかなか複雑ですが、どうにか折り合いをつけて楽しんでいる。
先日は『ゲームの支配者 ヨハン・クライフ』という大書を書評しました。
これまで書評する機会に恵まれた本(運命の本たち)は下記のような本です。
ジェシー・ぺリング著 鈴木光太郎訳
『なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学』(化学同人)
長谷川昌一著
『オレたちのプロ野球ニュース 野球報道に革命を起こした者たち』(東京ニュース通信社)
樫尾幸雄著 佐々木達也(聞き手)
『電卓四兄弟 カシオ「創造」の60年』(中央公論新社)
出口逸平著
『研辰の系譜 道化と悪党のあいだ』(作品社)
内藤正人著
『うき世と浮世絵』(東京大学出版会)
山本淳子著
『枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い』(朝日選書)
窪園晴夫編
『オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで』(岩波科学ライブラリー)
武田康夫著
『地球は本当に丸いのか? 身近にみつかる9つの証拠』(草思社)
ディートリッヒ・シュルツェ=マルメリンク著 円賀貴子訳
『ゲームの支配者 ヨハン・クライフ』(洋泉社)
これまでは以上の9冊。400字のものもあったけど、当然のことながら上記のプロセスを経ているので、私にとってはどれもおもしろい本でした。
もちろん、書評にいたらなかった本も幾冊もありますが、そこは縁なのでしょう。
自分なりに考えを整理することと、知らない人に興味を持ってもらうような場所で書評するということ。正解のわからない難しい作業ですが、だからこそやりがいのある仕事だともいえますね。
芸人が書評書くなんて、と思われる方が読者のなかにも、著者のなかにもいらっしゃるかもしれませんが、
私はあまりそういうのは気にしない質です。ようは「なにを書くか」で勝負するものだと思っています。
肩書で勝負しているわけではないです。
これまでうれしかったのは、書評欄に、オードリーの若林さんがインタビュー掲載されてて、ピース又吉さんの小説が書評されてて、私が書評を書いていたっていう日でしたね。三人も芸人が書評欄に登場した記念日でした。
『研辰の系譜』の出口先生はわざわざお礼状まで書いて送ってくださり感謝です。
本は、書いた人が一番えらいです。感謝をいうのはこちらです。
書評は、たくさん書いて文字数削っていくのも大変、そのぶん命も削ってます。
けれど、楽しいです。
あと1年半がんばる!
ということで、なにを言いたいのかというと、私はこのほかにBLなども読むので忙しいので、献本などされても読むひまがないので献本とかはしないでください、読みたい本は買います、という話。
って、かわいくないね☆
2017.08.30
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