Profile
  メッセージを送る
Calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
米粒写経HP
米粒バナー
サンキュータツオと居島一平のコンビ「米粒写経」。 オフィス北野所属。
アニメ会公式HP アニメ会公開秘密基地
アニメ会バナー
「オタク芸人トークユニット」アニメ会のホームページ。 サンキュータツオもメンバーのひとり。
東京ポッド許可局
東京ポッドバナー
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオ、3人の文系芸人が行間を、裏を、未来を……読むラジオ。エンターテイメント(楽しい)とインタレスト(興味深い)を両立させた「おもしろい」があるポッドキャスト。毎週日曜日更新。
アニメ会のポッドキャスト「ヲタめし」
ヲタめしバナー
アニメ会(国井咲也、三平×2、サンキュータツオ、比嘉モエル)でお送りするポッドキャスト。これさえ聴けば、いまどのアニメがおもしろいのか、いまアキバ系でなにが熱いのか一発だ! というわけで、いますぐ「ヲタめし」あれ! 毎週火曜日更新。不定期出演。
漫才バカ一代
漫才バカ一代バナー
米粒写経が主催する漫才オンリーライブ。年4回、3,6,9,12月開催。 ですが、レギュラーメンバーのスケジュールが合わず、次回は未定。 漫才バカ一代のページ、またinfo@kometsubu.comでもご予約受け付けます。
オフィス北野
オフィス北野バナー
所属事務所のオフィス北野です。
北野笑科大学
北野笑科大学バナー
携帯で事務所のタレントのネタが見れる!?
DVD『珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜』(1)(2)(3)

サンキュータツオの初声優作品!? 漫☆画太郎先生の傑作が春日森監督によってフラッシュアニメ化! 酒の肴にどうぞ。
サンキュータツオ
オリジナルデザインTシャツ
Tシャツリンク_1 Tシャツリンク_2
「一コマ目から好きでしたっ」
オタク心を代弁した魂の一枚をあなたも!
Links
New Entries
Category
Archives
Recent Comment
  • 【『栄養と料理』連載:2月号「グルメ」 サンキュータツオのそのコトバ、国語辞典に聞いてみよっ】
    akikom (11/13)
  • 歌詞が頭に入ってこない
    とも (10/26)
  • 【東京ポッド許可局JAPANツアー ご来場感謝 #tokyopod 】
    薔薇が咲いてるね (10/19)
  • 【東京ポッド許可局JAPANツアー ご来場感謝 #tokyopod 】
    はー (10/19)
  • 【東京ポッド許可局JAPANツアー ご来場感謝 #tokyopod 】
    ひー (10/19)
  • 【東京ポッド許可局JAPANツアー ご来場感謝 #tokyopod 】
    ふー (10/19)
  • タモリの弔辞は白紙だったか検証してみた。
    てつ (10/14)
  • タモリの弔辞は白紙だったか検証してみた。
    いー (08/01)
  • 【4/23(日)サンキュータツオ プロデュース公演「ていおん!」下北沢シアターミネルヴァ 来てね〕
    koko (05/25)
  • タモリの弔辞は白紙だったか検証してみた。
    とたか (05/19)
Recent Trackback
  • 水道橋博士のメルマ旬報 連載:サンキュータツオのお笑い文体論 「POSION GIRL BAND研究」連載開始しています
    Nowpie (なうぴー) お笑い芸人 (08/09)
  • 【ネタバレあり】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 タツオ解釈DAT編 〜やはりDATは見ていた!〜
    しげの樹 (11/25)
Search
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
♪沈黙の山手線
♪沈黙の山手線

学校に泊り込みの、春休みの部活の合宿が終り、私たち三人は、駅に向かっていた。
何日にも及ぶ練習のせいで、それはもう、体中筋肉痛で、いつもの通学路でさえ疲れ果てて駅までもが苦しい道のりだった。

私たち三人は、帰る方向もおなじだったので、だいたいいつも三人で帰っていた。
体は痛かったけれども、合宿を終えた高揚感もあって、帰り道は冗談を言いながら、買い食いなどもして、束の間の自由を満喫しながら、いつも以上に騒いで歩いていた。
それが、中学高校と6年もおなじ学校、おなじ部(私の学校は、なぜか「班」と言っていたが)の私たちの流儀だった。
帰り道には、必ず夕方に出ている焼き鳥の屋台で、一本50円の焼き鳥を一本買い、レバーを食べるか皮を食べるか、さんざん迷っては、みんなで違う串を買って分け合うのだった。

いつもは10分ほで到着する駅には、30分くらいかけて着いた。
あとは電車に乗るだけだ。
内回りの山の手線を待つホームで、三人でベンチに座り、体の痛みを愛でながら、その合宿での出来事を笑いながら振り返っていた。

と、間の悪いことに、そのホームでおなじく帰宅の途に着く生活指導の教員と遭遇した。
その教員は洒落が利かないほどに厳しいことで有名で、いつも影でその厳しさが笑いの種になるほどだった。

教員は私たちを見て、
「そこの三人、帽子はどうした?」
と言った。

私の学校は、男子校で制服は軍服っぽく、通学中でも制服・制帽・製靴を義務付けていた。
まるで軍隊のような学校であった。
しかし、常に制帽を被っていては、街中では恥ずかしい。
帽子だって海軍風で、とても通学中にはかぶっていられないのが普通の生徒の感覚だろう。
多くの生徒は、中学二年くらいになると、帽子をつぶし、なるべくかさばらないように鞄につめ、学校の近くになると、教員に叱られぬようにちょこっと頭に乗せる。
教員も生徒も、表向きはそれでよしとしていた節があったが、
この生活指導はそんな建前を許さず、立場もあってか帽子を被っていなかった我々を容赦なく断罪した。

「はい」と言って、田中は大きな荷物のなかから、ぺったんこになった帽子を取り出し、恥ずかしそうに被った。
問題は大山と私である。
春休み中の学校での合宿とあって、そんなにうるさい教員もいなかろうと思い、そもそも帽子なんぞ家から持ってきてもいなかったのだ。

「学校に忘れてきました」
「僕もです」
全く息のあったウソを、私たちは探したフリをした後に並べた。探したってないことを知っているのでそうなる。

「じゃあいまから取って来い」

とんでもないことを言う教員がいたもんである。
30分もかけたあの道、しかも途中に大きなのぼり坂のある道を、この体中筋肉痛の学生に、戻れとのたまうのである。

「わかりました」

明確な殺意を抱きつつも、完全に顔が割れている大山と私は、ふてくされつつも改札に向かうそぶりを見せて歩きはじめた。
田中は、おいどうすんだお前らという顔でこちらを見ている。

学校に向かうというのはあくまでフリだけにしておいて、一本電車が来れば、その教員は電車に乗ってしまうだろう。
そう思って、一旦改札を出て、電車が来るのを待った。

念のためと思って内回りの電車が2本くらい行ったのを待って、我々はまたホームに入った。

するとまだその教員は仁王立ちでホームにいた。

「だから取りにいけっていってるだろ」

全く向こうも意地である。
なにが彼をここまでにしてしまったのか、まるでその気持ちがわからない。
手段が目的化した取り締まりに、本気を見た我々は、諦めてまたすごすごと改札を出ることにした。
田中は、おいどうすんだお前らという顔でこちらを見ていた。

「あいつ本気だな。どうする?」
「学校戻るとか、あり得ないよね」
「というか体力的に無理だろ」
「どっかで時間つぶさね?」
「そうしようか。田中はどうする?」
「さすがに帰るでしょう、ある程度時間かかるのはわかってるはずだし」
「だな、あ、じゃああそこのラーメン屋でラーメン食おうぜ!」
「いいねー」

学校まで戻れといった教員への、せめてもの抵抗に、我々は学校には戻らず、ラーメンを食べに行った。
そこのラーメン屋も我々のテリトリーのひとつで、
いつも赤いシャツを着たおじさん(通称:赤シャツ)とも顔見知りである。
買い食いしたばかりなのにラーメンを食べてしまえるのだから、若者の胃袋は驚異的である。
二人でついさっき駅で起きたことを、もう笑い話にして、ラーメンをすすり「うまい、うまい」と絶叫した。
逆にあいつ来なかったら、こんなにうまいものを食えなかったな!などと言いつつ。
呑気な二人であった。

ラーメンを食べ終わって、事件から30分後、駅のホームに戻ると、
そこにはまだ田中が待っていた。
正直大山と私は、こんなに長い間彼が待っているとは思いもしなかったので、急に申し訳ない気持ちになった。

「おめーらなにしてたんだよ?」

完全に田中はおかんむりである。
顔でわかる。これは冗談が通じる場面ではない。

しかし、最初から帽子なんて持っていなかった私たちは、真実を伝えるしかない。

「ごめん。ラーメン食ってた」

こんな、火に油を注ぐようなことをよく言えたもんである。

「っざけんなよ」

それから田中は黙り込んでしまった。
弁解の余地もない私たちも黙らざるを得ない。

三人は、電車に乗り、別れるまで完全に沈黙していた。

山手線


このことが、いまだに三人で会ったときに一番に出てくる笑い話である。
posted by: サンキュータツオ | 土曜♪随筆(開設〜2009年9月まで) | 18:40 | comments(4) | - |-
うふふ。こういう「土曜♪随筆」もいいですね。ラーメン食べた後に待っていたのはサイコ入ったような教師ではなく、気の毒な+健気な田中君だったのね。田中君…頑張れ〜!
しかし若者の食欲を改めて思い知らされました。焼き鳥食べた後にラーメンですと!?ここ2〜3日、胃痛に苦しんでいる私には少しだけ羨ましい話です。
| koko | 2009/04/11 7:07 PM |
>kokoさん、

切ない話ばかりではないのです。
将来的に切なくなる話も書くのです。
部活やってる高校生の胃袋はブラックホールですよ。
| タツオ | 2009/04/12 3:13 PM |
ぐ…軍服っぽい制服に海軍風のぼ帽子……か。

ポー
| | 2009/04/16 9:31 PM |
>名無しさん、

マジで海軍服ですよ。
ホックだし。
上着の丈短いし。
学校は刑務所みたいなところでしたけど。
| タツオ | 2009/04/28 2:11 AM |