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M-1のオンバト化、鳩山政権化2009.12.20 Sunday
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やっぱり「M-1グランプリ2009」とは「爆笑オンエアバトル」である。
終わりましたねー。
コンテストを勝ち抜くのは、結局のところ「ベタと大きい声」。
M-1は、オンバトです。
オンバトの、負けた人もオンエアする番組なんです。
新しいことをやりそうで、ほかのと大差ない感じになりつつある。「鳩山政権化」してきている番組になっちゃったかなー。
ハリのあるツッコミと、一行ごとにボケていくテンポ。完成度。
パンクブーブーが優勝したのは当たり前かもしれませんが、「M-1」という番組の役割からすると、アンタッチャブルが優勝したときの時間に逆戻りしてしまったよう。
もちろん、彼らはすごかった、完成度はすごい。
でも、
これだったら、流れ星でも磁石でも、みんなに優勝の可能性がありますよ。大差ない。
私に言わせれば、完璧なるアンタッチャブルのコピーであり、進化も退化もなく、ただ10年を過ぎて出れなくなってしまったアンタッチャブルの代価物に見える。
たしかに、8組いれば、こうした「規定演技」に近いスタイルの枠が1つあってもいい。
ただ、それが優勝するというのは、どうにもM-1らしくない。
M-1は、「新しさ」を評価するコンテストであり続けて欲しいです。
もちろん、予選の審査員が見せたかった「新しさ」は、決勝でネタが見れるだけでもいいのかもしれません。
でもここ数年の、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、サンドウィッチマンが出てきた時とは、明らかにトーンダウン。
物議を醸してでも、「新しさ」に比重を置いてもいいのではないでしょうか。
NON STYLEのネタは、後半細かい「大喜利」の回答の羅列で、パンクブーブーのネタは「場面」としての展開があったので、細かいネタの違いはあるものの、結局今年は漫才コントが多すぎて、やっぱり「わかりやすい」ものが受け入れられ、「失敗をしない」人が勝つわけで。
最終決戦の「笑い飯」は、1本目の「ナイナイ」ネタも良かったですけれど、2本目のネタでネタを2本、しかも「野球」と「ラグビー」という、女性には受けないと言われている、ある種のお笑いの「タブー」に挑み、以前2回ネタをやって酷評された年のネタに対するリベンジもあり、あまつさえ、最後にちんちん、チンポジなど「下ネタ」をもってきた「男のネタ」でした。ラストイヤーというアングルもあり、別に優勝させても良かったのでは、と思うほど。
あそこで笑い飯を優勝させていれば、「M-1」だったのですが、結局そうならない。それこそが、M-1がオンバト化してしまったことの象徴なんだと思います。
だって、確実に爪あとを残したのは「笑い飯」だったわけですから。
去年、オードリーを優勝させなかった審査員は、今年もおなじ基準で測った、ということなんでしょう。
個人的には、最終決戦の3組が決まった時点で「ドキドキ」はなくなってしまったのですが、これがいまのM-1の限界。
「爆笑オンエアバトル」でいいんじゃないでしょうか、この番組は。
もっと言うと、NON STYLEの「大喜利」的展開は、おなじ「大喜利」を展開する笑い飯のシステムの前にはどうしてもかすんでしまうし、ツッコミが普通の「オーソドックス」タイプのネタは、NON STYLEとパンクブーブーだったら、新鮮味のあるほうが勝つのはしかたない。
私は今年のNON STYLEは昨年の「かぶせ」を封印した点、つっこまれた後の石田さんの愛嬌ある「ボケ」然とした表情など、昨年より好意的に見ましたが、それでもオーソドックスはそれ以上でも以下でもない。
だいいち、今年の決勝メンバーにあったはずの「存在感のあるツッコミ」というテーマ(勝手に私が言ってるだけです)が、8番手と9番手の「わかりやすさ」の軍門に下ってしまったのは、ホントに見ていてしのびない思いでした。
大事に育てられてきた、お笑いの進化を本気で考えて、悩みに悩んで予選審査員に選ばれたあのメンバーが、「わかりやすさ」の前にかすんでしまうのが、ホントに悲しかった。
日本のお笑いはここまでなのか……そんなことすら考えてしまうほど。
個人的には、今日の出演順に関係なく、1本目を見た時点で見たかった4組は、
ナイツ、南海キャンディーズ、笑い飯、ハライチだったかなあ。
ハライチは序盤とオチのミスが得点を下げた感じがしますが、決勝行くべきだったのはこの4組のうちの3組。
ハライチの2本目は見てみたかったです。
このうちどれかだったら、「トキメキ」があった!
そう、今年は「トキメキ」のない最終決戦でした。
出てたコンビはみんなすばらしかった!
M-1は、審査基準を変革しない限り、今後予定調和な番組になっていくのだろうと思いました。
これだけのメンバーをそろえながら、審査員が客席と「一体化」してしまい、安定してしまった。
客との一体化、視聴者との一体化を目指すのであれば、最初から審査員はいらない。
客席投票でよい。
つまり、オンバトとおなじなのですが、「1年に1回やるオンバト」ゆえに、豪華なタレント、重鎮を用意して権威付けをしているようにしか機能していない。
視聴率を取るだけの「お飾り」でしかない。
その象徴が、今回の東国原知事だった。
「え、そんなに高いの?」「え、そんなに低いの?」「え、明らかにこっちが受けてたのに」
そういうギャップが会話の俎上にのぼり、物議を醸してみんながみるようになっていまのM-1になったはずなのに、これじゃ「たしかにパンクブーブーが一番おもしろかったよね」以外の感想をだれも持ち得ないではないか。
M-1はエヴァンゲリオンほどに、視聴者が「納得いかない!」と叫べる余地があったからこそM-1足りえたんだと思います。
きれいにまとまったM-1は、こんなにときめかないものなのかと痛感したのです。
したがって、
個人的には、メンバーを見たときの期待を下回る結果になりました。
細かいことは、今日これから「東京ポッド許可局」でおしゃべりしてきます!
もはやM-1が、語ることがない「普通」のコンテストにならぬよう、祈るばかりです。
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今までのM-1の経緯や多くの論評から、「手数」「目新しさ」を注目して見る様になった今回のM-1の決勝は確かに「トキメキ」が少なかったですね。
「オンバト」も「M-1」も好きな自分としては満足な結果だったんですが、やはり「一番面白いコンビ」に比重を置きすぎてもいけないんでしょうね。
それにしても番組が終わった直後に、これだけ整理され解りやすい文章を書けるタツオさんに本当に憧れます。
あと、タツオさんが南海キャンディーズのどの部分に「トキメキ」を感じたのか、とても興味を持っています。(蔑む意味では全くありません)
去年同様、「タツオさんの視点が欲しい!」と羨んだ鋭い意見満載のM-1評、期待しています!
| とっとこ | 2009/12/20 9:42 PM |なんか、審査員が……。
システムの不備>準決勝の審査員の意図を汲みきれなかった決勝の審査員(のなかの幾人)。という印象です。
「M-1グランプリ」って、モードであるべきでファッションはレギュラー番組に任せるべきだと思うな! プンプンッ!!
| ネトスタ公録帰り | 2009/12/20 10:01 PM |私の中の優勝はナイツでした・・・。| すだちガール | 2009/12/21 1:16 AM |コージー冨田
松本人志の顔色を伺う紳助のモノマネ
http://www.youtube.com/watch?v=n4bP6-hl_ks
――笑い飯に大会史上初の100点を出した。
島田「僕や松本(人志)はね、笑い飯に優勝して欲しかった。けど、絶対に最後スベると思ってましたわ」
僕や松本wwwwwwwwwwwwww
島田紳助、カンニングの瞬間!!!
http://koideai.com/up/src/up33951.jpg
http://koideai.com/up/src/up33950.jpg
島田は自分の意見や採点に、よっぽど自信が無いんだな。
だから、どうしても隣の採点を覗き見しちゃうんだな。| | 2009/12/21 1:18 AM |笑い飯は来年も出る
今年がラストイヤーじゃない
そしてナイツは信心が足りないからノンスタに負ける
あれだけ敵視しておいて負ける。かっこ悪。
パターン自体が飽きられてるから仕方ないかもね。所詮はダジャレ言い間違え漫才。| 大作万歳 | 2009/12/21 1:45 AM |また居酒屋かどこか、聴きとりにくい収録で、M-1のことをグダグダ言うの?
そんなことより、どうやったら自分は売れるのか、オフィス北野のマネージャーと
真剣に討論しあうべきなんじゃないの?
たけしさん等の番組に出してもらって、論文ネタをやらせてもらうとか、交渉したら?| ? | 2009/12/21 5:00 AM |?とやら、嫌悪を催すなら聞かなければいいし、ブログも見なければいい。
なぜ、わざわざ↑の様な書き込みをするのか理解に苦しむ。
サンキュータツオの魅力の一つとしてお笑い考察があると思う。これは既に他のお笑い芸人と一線を敷いているのに、其れが無くなったら如何なものかと、個人的に思う。
名を世に広める方法は人それぞれ。?とやらに言われなくとも深慮熟考している事だろう。
| キョン | 2009/12/21 9:18 AM |他人のことをとやかく言うのなら、自分も突っ込まれて当たり前でしょ
どこかのFMラジオでお笑い論をかましたら DJに
「じゃー何でタツオさんは、その理論で売れないの?」と聞かれたけど
そりゃ言われるわなぁ| | 2009/12/21 10:07 AM |その評論が興味深いものならば、それで良いのではないでしょうか。タツオ氏の分析は笑わそうとするものではないでしょうし。町山氏の映画批評をよむ感覚で楽しむのが作法だと思います。| 不識庵 | 2009/12/21 2:22 PM |その理論でいくと
芥川賞作家を評論する人はみな芥川賞をとっていなければならない
になっちゃう気がして、そんなくだらないことをいう人がいるのかと、本当に嫌な気持ちになる。
タツオさんの感じたことは、大筋、的を得ていると思いますよ。| | 2009/12/21 7:12 PM |タツオさんは自分が売れないかもしれないことは百も承知なのでは?
原や長嶋に抱かれたくないと思っている時点で。
それから、芸っていうのはわかっていてもできなかったり、そうはしたくなかったりするところに奥深さがあるんじゃないの?
少なくとも、他人の発想をかっぱらってネットや雑誌にコラムを書いちゃうような人とは比べるべくもないと思う。| 茄 | 2009/12/21 9:38 PM |どんな手を使ってでも売れて
親に大学と大学院の学費を返してやる!
ってなぐらいの気概が欲しいよね、たっちゃんは| 49 | 2009/12/21 10:07 PM |Podcastで話してたM-1の展開予想、凄い的を射たものだったと証明されましたね。
あの番組本当に面白いんで、アーカイブにどんどん過去放送分を追加して下さい。
宜しくお願いします。
| 昼飯・晩飯 | 2009/12/21 10:12 PM |ただ、審査員に対する部分については愚痴に近いものがありますね。
あの審査がどうして客との一体化に繋がるのでしょうか。
僕はどちらかというと準決勝の審査員に対してセンスのなさを感じますけど。
タツオさんが挙げられた過去の方々は新しいことをやりつつ、一番面白かった訳で。
違和感を感じなかった部分がないと言えば嘘ですが、
今回、スタンダードを打ち倒すことの出来るほどの腕力をもった「新しさ」がなかっただけのように思います。
少なくとも、新しさという評価基準は大半の決勝審査員が持っていて、手数という部分も把握した上で、一番面白かったコンビを選んだだけですよね。
つまりは、審査基準を変更する必要は全くないし、どんなメンバーを決勝に残すかって部分が大事だと思います。
トキメキと書いたタツオさんの想いは芸人というよりお笑い好きすぎ、お笑いオタクの目線に近いですよね。
だから、芸人の審査員の思考とギャップが生まれている気がします。
ちなみに、僕は素人なんでNONSTYLE石田さんの自分を戒めるツッコミボケがなかったのは残念でしたね(笑)
もちろん、今年の方が上手かったのは言うまでもないですが。
では、コメント失礼しました。
お仕事頑張ってくださいね、応援しております。| 笑い男 | 2009/12/21 10:39 PM |盗用した人が荒らしているのか| | 2009/12/22 12:01 AM |ポッドキャスト毎回聞かせていただいてます。
私にとってのM-1は東京ポッド許可局を含めてM-1です。今回も最高です。仕事しつつ3回目きいてます。
今回、スタッフに好感が持てたのは、
くまだまさしを前説にもってきて、極力重い空気を作らないようにしたところでした。
松本さんの入場で去年までの眠そうな顔を見せなかったのも、ある意識を感じました。
これは良い大会になる!
と思ってわくわくしていたところに知事でのノッキング。
引きつる今田さんの顔。。。歪む空気。
せっかく笑いやすい空気の客席に緊張感を
もたられていたように思いました。
本当に悔しい。
それがなければ、ナイツ、南キャン、東京ダイナマイトはもうちょっと浮上していたような気が。。
気のせいなのかもしれませんが、私は知事が憎い。。。
彼を視聴率のために呼んでしまったスタッフが憎い。。
と思ってしまいました。
視聴率のためですが、やっぱり敗者復活組をアナウンスするのは1組の前が良いですね。。。
| 齋藤拓 | 2009/12/22 1:16 AM |確かにパンクブーブーのスタイルはアンタッチャブルのそれと似ているけど、コピーは失礼。二組に対して。
>これだったら、流れ星でも磁石でも、みんなに優勝の可能性がありますよ。大差ない。
こう言い切れるのが不思議。スタイルが一緒だからといって面白さも同じレベルとは限らないとタツオさんならわかっているでしょうに。
他、共感できる部分が多くあるけれど、どうしても気になってしまったので。| あらら | 2009/12/22 2:46 AM |たしかに、Mー1という「番組」「コンテスト」みたいな事については、同じように思いました。
しかし、オンバト、キングオブコントにはあり得ないモノがMー1にはあると思います。
少しズレてる事は承知で言いますが、「漫才の技術、新しさ」よりも「Mー1」が大事であって・・
Mー1という存在がオンバトにはなり得ない・・・というか・・・・・・
芸人なのによくそんな冷静にMー1を見れますね。
もしかしたら・・・| | 2009/12/22 3:11 AM |別に、芥川賞とってなくても芥川賞作家を評論するのは勝手やし、M-1でグランプリとってなくてもお笑いを評論するのは勝手。
それが、的を得てようとも、そうでなくても、評論家ならそれで良いんじゃないでしょうか?
でも、それはただの評論家であり、
で、芸人として、人を笑かすプロとして、
どーなん?って言いたいんやと思いますよ。
| タツオさん | 2009/12/22 3:19 AM |あららさんに共感です。
このスタイルはアンタッチャブルが発明した訳でもないでしょうし、同じであろうが、その中での最高作を作り上げたことに評価が付いたという認識です。
むしろレッドカーペットを毎週見ているお茶の間はきをてらったスタイルの数々に目が慣れてしまって、斬新さが新鮮さにならなくなっている気がしています。
(家族を見ていてそう思いました。)
私は2回戦から客席でほとんど見ていましたが、今回の大会で飛び抜けていたコンビはいませんでした。
個人的に涙を流しながら笑ったのはハライチでしたが、タツオさんがおっしゃる通りで、
ファイナルで規模が小さくとも爆発を起こしたパンクが優勝したのは納得がいく結果です。| 雨女 | 2009/12/22 7:25 AM |今年の採点について、まぁ妥当・無難・順当といった意見は多く聞きました
私も別に文句はないけど印象に残ってまた見たいと思ったかは別で、
若いハライチや南キャンのツッコミ技術、自分のスタイルを貫いた笑い飯のほうが気になりました
でも結局視聴者の多くがオンバト化を求めてるんかな…
博士の誘導で来たのですが、とてもわかりやすく面白いM-1評でした、ありがとうございました!| SS | 2009/12/22 7:44 AM |おもしろかったと思ったけど、
そんな見方もあるのだな、っと
聞いてて思いました。
また聞きます。| | 2009/12/22 5:47 PM |「プレイヤーがプレイヤーを評論してはいけない」
という考えは大きく間違っている。無知すぎる。
だいたい文学の世界では作家が他の作家の作品を評論するのは普通のこと(文学に限らず美術や映画でも)。
そういう思想が蔓延しているから「お笑い批評」は他分野に比べて極端に遅れている。ファンの頭が悪すぎるのもその一端を担っている。
大体、「お笑い芸人=おバカさん」なんて図式信じてる人間なんて、今日び、もうほとんどいないんだから「芸人が評論なんてしたら笑えなくなる」なんていうは、ただの思い込みでしかない。
そもそも「人を笑わせる者」って何だ?
君は正確に定義できるの?
君の勝手な思い入れで形成された概念じゃないのか?
少なくとも「学者」であるタツオ氏は君の言っていることなんか、曖昧すぎていて相手にすることすら出来ないだろう。
思い入れは「学問」にはならない。
「学問」って言葉についてちゃんと調べてみてください。
| | 2009/12/23 2:45 AM |↑
まー芸能人としてそこそこ売れている
又は、大学の非常勤講師(アルバイト)じゃなくて
准教授とかが評論するならアレだけど
そんな親に14年も大学の学費を出してもらって
今も実家で生活してる甲斐性なし芸人が
何を言っても説得力が、、、| ■ | 2009/12/23 7:16 AM |↑
権威主義、健在のようでなによりです。
がんばれ、プレモダン!| | 2009/12/23 5:34 PM |東京ポッド聴きました。
お三方とも思い入れがかなり感じられましたが、タツオさん今回はまた絡みますね〜;
マキタさんがブレーキかけようとするたび、「あ、もっとそこ聴きたいのに」とか思ってしまいましたが。
読み解きのほう後半も楽しみにしておりますー。| onu | 2009/12/23 10:42 PM |あの番組は、どれだけ世間に己の顔と漫才を売るかが目的なので、
そういった意味では、笑い飯に軍配があがってますよ。
M-1終わって数日たつけど、中学・小学校のあの番組をみた息子達や同級生達は、
M-1=「チンポジ」≒笑い飯になってますから!
これ事実です。(笑)
| チャッピー | 2009/12/24 9:41 AM |あの審査おかしいよね!ってお前が言い合えてるじゃないかww
それがM−1なんじゃないのか?
矛盾しすぎ。
それとお前が客席とかけ離れてるだけだろww| | 2009/12/29 1:14 PM |