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本年もお世話になりました。2009.12.31 Thursday
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サンキュータツオのブログ、本年も大勢の方に来ていただきました。
誠にありがとうございました。
コメント返し、全然できてなくてごめんなさい。
本年は、
NHKラジオ第一『渋谷アニメランド』にはじまり、
J-WAVE『PLATON』に三回出演、
そしてTBSラジオ『荒川強啓のディ・キャッチ』のコーナー担当と、
ラジオに出られたことが本当に嬉しかったです!
また、自主制作の
『東京ポッド許可局』、
『アニメ会のヲタめし!』
ともに多くのリスナー様に支えられ、まだまだがんばっていきたいと気持ちを新たにしております。
というか、いつの間にかラジオ芸人!?
この方向も、望んでいた方向ではあるので嬉しい限りです。
来年も、どこかでみなさんとお会いできるのを楽しみにしております。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
今日は、これから大川興業さんの、『すっとこどっこい』大忘年会スペシャルに出演してきます。
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◆2009年オレ的アニメディー賞発表! タツオ外部ブログ更新情報 09年12月最終週2009.12.31 Thursday
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2009年オレ的アニメディー賞発表!
タツオのハートを射抜いたのはこのキャラだ!
タツオの外で書いたブログ記事! アニメ会関連 外部ブログ更新情報!! 12月第5週☆◇楽天ブログ「アニメ会の日替わりアニメ定食」
▼サンキュータツオのそういえばですけど ここ一週間の各アニメ感想
そういえばですけど 09.12.30号
※「2009年オレ的アニメディー賞」作品賞発表!
そういえばですけど 09.12.30号 2
※「2009年オレ的アニメディー賞」主演女優賞、助演女優賞発表!
そういえばですけど 09.12.30号 3
※「2009年オレ的アニメディー賞」その他受賞 発表!
◇アニメ会の『ヲタめし!』
▼第95回配信 「アニメ会の一存」番外編
※全編に出演しております。年末特別番組として、2009年のアニメ作品を振り返り! そして、アニメ会への質問にも、時間が許す限りお答えしております!
≪解説≫
〇はい、というわけで、年の瀬に、2009年にお世話になった作品を振り返りつつ、
個人的な「アニメのアカデミー賞」、「アニメディー賞」の受賞作を発表いたしました!
改めて思ったのは、私はつくづく元気で明るい子が好きだなということでございます。
上のリンクから飛んで、是非読んでいただきたい。
いったい、私のこの「暗い子、おとなしい子苦手」というのは、どこから来ているのでしょうか?
三次元でそんな苦い記憶もないように思うのですけれども。
かれこそ数時間に及んで悩みに悩んだ結果、あんな形になりました。
『源氏物語千年紀 Genji』六条御息所と、『初恋限定。』千倉奈央さんに、新しい扉を開けてもらった、というのが、この2009年ですかねー。
裏テーマで言うと、今年はBLに染まりぬいた1年でした。
〇「ヲタめし!」のほうでは、ありがたいことにアニメ会への質問が多数!
すべてにお答えすることはできませんでしたが、なかなか私どもに聞きたいことなどないなか、リスナーさんたちが質問をしぼって考えてくださった、ということなのかしら?
意外なる私の黒歴史も明かされておりますので、無料です、良かったら聴いてみてくださいませー☆
〇今年はやはりアレですね、百合要素が多かった1年ですね!
というわけで、来年はどんな作品が出てくるのか、楽しみです!
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◆『ニューシネマパラダイス』SUPER HI-BIT EDITION2009.12.30 Wednesday
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劇場初公開版が復活! 是非こちらを! 完全版は観ないで!
『ニューシネマパラダイス』
ジュセッペ・トルナトーレ(1989)ニューシネマパラダイス』
もはや、映画好きや映画を見ていると自負している人の前で、「なにが好きですか?」と聞かれたら、とてもじゃないけど言えない作品、それが『ニューシネマパラダイス』である。
思い切りバカにされること請け合いである。
しかし、そうであっても、私がこの作品を好きなのは、これを中学生のときに最初に見た感動、その気持ちの揺さぶられかたのハンパなさをいまでも覚えているからであり、いい意味での「トラウマ」的作品だということもあるだろう。
だから、こっそりとこの作品が好きだということにしているのだが、なかなか人前では言わないようにしている。
というのも、最近『ニューシネマパラダイス』を観ようと思っても、どこのレンタルショップに行っても「完全版」しかなかったからなのである。
ここに断言しておくが、『ニューシネマパラダイス』の完全版は、0点である。
この作品ほど、劇場公開版と完全版で、解釈が180度変わってしまう作品もないのである。
「粋」と「野暮」の言葉の意味を同時に覚えた人は、是非両方味わって欲しいくらいのものである。
そんななか、この2009年に、ようやく待望の、
『ニューシネマパラダイス』SUPER HI-BIT EDITION
が発売されたのだ。
きっと私のような声が大きかったに違いない。
このDVDのコンセプトは、
数々の賞を受賞し、興行記録を打ち立てた劇場初公開版。一切の特典映像を排して映画本篇のみを収録しクオリティを追及。
だそうである。
そう、それでいいの!
アマゾンなら1000円台で買えるの!
カンヌグランプリを獲ったのは、この劇場初公開版であって、オリジナル完全版じゃないから!
気をつけてください、みなさん!
ジュセッペ・トルナトーレ監督は、この後、『みんな元気』『明日を夢見て』『海の上のピアニスト』『マレーナ』など撮りましたが、あえて言いますと、この『ニューシネマパラダイス』の劇場初公開版は、偶然に出来てしまった傑作と言ってもいいでしょう。
私のなかの解釈では、このトルナトーレ監督は「人情映画」を撮りたいわけではなく、もっと言えば「泣かせたい」というより、どうやら「笑わせたい」人なのである。
『海の上のピアニスト』は、感動映画としてみたら最低なんですけれども、コメディ映画と思ってみると極上なのである。
それほどに、この映画がこの監督のその後の作品を観るときの足かせになってしまっているのは仕方のないことかもしれないが、どうか、もう一度まっさらな気持ちでこのSUPER HI-BIT EDITIONを観て欲しい。
オリジナル完全版は絶対に観ないで欲しい。
どうしても観てやろう、という場合は、どうか最初にSUPER HI-BIT EDITIONを観たあとに、私の言ってることを確認するために観て欲しい。
そもそも、「オリジナル完全版」だとか「ディレクターズカット版」なるものが、劇場初公開版を超えたことは歴史上ない。
マジ頼みます、完全版観ないで。完全版で評価しないで。
いや、ホントにこの映画好きって単純に言ってしまうと見識を疑われてしまうのは、大人になってみたら仕方のないことなのかもしれませんけれども、それでもこの劇場初公開版はいまだに私の涙腺プレーの、最高のおもちゃである。
どうぞバカにしてください。
名優・フィリップ・ノワレの代表作であると私はいまだに思っていますし、音楽のエンリオ・モリコーネの才能もここが到達点だとすら思っています。
いろんな要素がかみあって、偶然に出来上がってしまった、劇場初公開版。
どうか、この値段だったら、一家に一台置いてやってください。
江戸に息吹いた「義理・人情」のような、江戸っ子的「粋」が、実はイタリア、シチリア島にあったということを実感できる映画だと思います。
この映画は、いまのどの落語よりも落語だし、浪花節である。
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◎年末バカ騒ぎ2009.12.29 Tuesday
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◎年末バカ騒ぎ
この一週間のタツオ動向(首相動向みたいな感じで)。この一週間の「週記」の火曜日です。
うろおぼえで。
▽27日
毎年恒例、GAINAXコスプレ忘年会出席!
言わずとしれた、日本が誇るアニメ制作会社「GAINAX」の忘年会は、参加者全員がコスプレをしなければ参加できないという掟。
毎年人が増えている印象。どうやら去年よりも200人増だとか。
もう人でビッシリ!
この忘年会に参加しないと、年末な感じがしないことになっている私はいったい……。
ここ数年は司会で参加しておりましたが、今年はリストラにあい一般参加です。
いつもお話する暇もなかった方たちと語らえました!
私は当然のごとくムスカ大佐で。
毎年、ムスカにあうカツラを探しているのですが、なかなか見つかりません。
こちらは、GAINAXの我らがアイドル、M嬢。
この方が女装しているところをはじめてみたような……。
今年はオリジナルだそうです。昨年は、『黒執事』のシエルお坊ちゃまをなさっておりました。
和装にネコミミってのが、素敵ですな!
髪の毛長いのもわかってらっさる!
東京ポッド許可局のみち局長も参加しておられました!
牛丼太郎のコスプレって!
どんだけ好きなんだよ!
みなさん!
うしじまさんですよ、うしじまさん!
あのうしじまさんと会っちゃいましたよ!
しかも綾波さんコスですよ!
「あ、あの、写真取ってもらってよいかね」
と発するのが精一杯でした。すげー、生うしじまさんだよ!
体型的には完璧な綾波さんでした。ここで青いカツラをつけないところが、うしじまイズムでございますなー。
クルル曹長!
実はお知り合い(しかもえらい人)だったのですが、このコスプレ、面を取らない限りだれだかわからないというデメリットが。
しかし、すべて手製という気合の入りぶり。
授業参観時のクルルという、非常にマニアックな設定でおいででございました。
左の人はギンコです!
右の人は、どこの素人さんでしょうか?
これでコスプレだと思ってるのでしょうか、この右の方は。
比嘉モエルさんという方だそうです。
アニメ会の三平さんと国井さん!
国井さん、ライフル二丁持ってたし、全身黒のSWATみたいな服だったし、「普段使ってる服」とか言ってたし。なんなんでしょう、この病。
セクシー川田。
なんだよシャナのコスプレしてこいよ。
会場にいた「けいおん!」の合わせコス!
こうしてみると、律ちゃんてホントに実在したらそうとうかわいい子かも、と思いました。
そんなこんなで、来年のコスプレ忘年会はどうなるんでしょうか!
今年は劇場版の公開もあってか、そしてGAINAXという会社ですので、
『エヴァ』コスと『グレンラガン』コスが多かったです。
そうですよ、それでいいのですよ。
私はなんでムスカなんていう、GANAXの近所にある会社の作品で来ちゃったのでしょうか?
毎年反省しております。
▽28日
TBS『たけしのもう一度だけ見ちゃいけないTV』
参加させていただきました!
もうホントに、最高に下品でくだらない、楽しい生放送でした!
らっきょさんには笑いすぎて死ぬかと思いました。
通販番組ネタで売りに出された、手前からロールスロイス、
赤いフェラーリ、
白いポルシェ、
青いランボルギーニ。
こんな車を一人で所有しているなんて…。
さすがすぎる!
朝まで一同での打ち上げにも参加させていただき、ホントに楽しい番組でした!
こんな番組できるのは、日本ではもう殿しかおられません!
いやー、笑った笑った。
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†『乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつあ』のラストスパート2009.12.28 Monday
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†『乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつあ』のラストスパート
『乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつあ』、最終回までのラストスパートは誠にもって見事の一言に尽きた!
お約束もここまで集めてくると、笑ってしまうくらい心温まるものになるというのをまざまざと見せ付けられた。
そもそもこの物語は、学校のクラスメイトで超資産家で超美人のお嬢様が、実はちょっとオタク、というところから、主人公のオタクの男の子がその「いとやんごとなき」お嬢様、乃木坂春香とちょっといい仲になっていくという、設定からしてご都合主義満載のアニメでした。
もうこの時点でバカバカしいんだけれども、この二人がお互いを好きでありながら、なかなか距離が縮まらないまどろっこしさも見所のひとつで、というか見所そこしかないくらいの勢いなんですが、いままでさまざまなラブコメがゴールまでに「延命」する手段を集大成させたといっても過言ではない、「どこかで見たことある」ことの連続。
そこをあえてやってこう、という姿勢が好感もてたというか、期待せず見れたというか。
ヒロインの乃木坂春香の役を、『君に届け』の爽子役もやっている、能登麻美子さんがやっていたというのも、最後まで見れた原因ではあると思う。それほどに能登パワーというものはすごい。
最終回の1回前、
春香が、悪い友達にだまされて、自分では受けるつもりのないアイドルオーディションを受けることになったのだが(なんだこの設定、初見の人にはさっぱりだろう)、
それをしった主人公の裕人(ゆうと)は、「春香はアイドルにふさわしい人だし、オレなんかがそばにいちゃだめだ」とかオタク的思考に陥り、「なるな」の一言がいえず、
そのオーディションを見に行かない、というところからはじまる。
もうこの時点でおわかりかと思うが、結局裕人はアイドルオーディションの、優勝者発表の前に会場に到着する。
そして、春香に「アイドルになんかなるな! オレのそばにいてくれ!」というのである。
このゴールはわかっているものの、どうやって会場に流れ着くのかを楽しみにみていたら、
「それでは、優勝者の発表です」のアナウンスのあとに、いきなり会場のドアがあき、「春香〜ア」と叫んで壇上まで走ってくる裕人がいるではないか!
もちろん、警備員に取り押さえられる。完全な不審者なのである。
この時点で爆笑を禁じえないのであるが、そんな「オレのそばにいてくれ」宣言があっても、この二人は付き合わないというじれったさがもうたまらん!
最終回なんて、雪山にスキーに行くんですよ。
もうこの時点でおわかりかと思うんですが、二人は当たり前のように遭難するわけです。
しかもそれは、乃木坂さんが裕人にもらった指輪をなくしてしまい、大雪のなか指輪を探していたら行方不明になってしまったという展開。
心配になって春香を探しにいった裕人は、春香を見つけるが、二人して遭難、結局二人は山小屋みたいなところで暖をとることに。
そうなると残る選択肢はもうひとつしかない。
「裸で抱き合い暖をとる」である。
まさかとは思うがやってのけた。
このアニメはそういう「もう忘れかけていたあの手」を堂々とやってのけたところに大きな価値があると思うのだ。
結局、いい感じになった二人はいよいよキス!……という寸前で、仲間が助けにきてギャグ処理終了という、これまた「知ってる!」の展開なのである。最後まで「知ってる!」を遣り通してくれたのである。
一視聴者としては、二人のキスを見たかった、そのほうがスッキリできたのであるが、「スッキリしない」ことがこの作品のアイデンティティであることも否定できない。
結局、二人がどんな関係であっても、そうなってしまうのは時間の問題だし、いちゃいちゃされたらされたでむかつくので、こういうことにしかならない。
そういう意味では終始安定した戦いをみせた乃木坂春香、最後まで裏切りのない展開が、実はちょっとクセになっていた。
頭の悪い私のようなオタクには、やはり愛すべき作品、最高の時間つぶしである。
しかし、2回見ようとは思わない。これこそが「ジャンクアニメ」の真骨頂であるからだ。
しかし、この作品の上述のラストスパートだけは、どうにも頭から離れないインパクトがあって、どうしても書き留めておきたいと思った次第である。
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◆自分がもし、タイガー・ウッズだったら 東京ポッド許可局、第108回配信2009.12.27 Sunday
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自分がもし、タイガー・ウッズだったら
『東京ポッド許可局』、第108回配信
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオの3人による、どんなに流行っても絶対タイトルを噛むラジオ、『東京ポッド許可局』、第108回配信。PCさえあれば、機種・メーカー問わずだれでも聴けますよー★
【本日のキーワード】
タイガーウッズ/浮気/透明人間/超能力/中田カウス/石川遼/羽生名人/聖人君子/ハンカチ王子/広末ベーカリー/風俗/男系男子/田嶋陽子/一夫一婦制/欲望の総量/アインシュタイン「自分がもしタイガーウッズだったら」を考えることは、「自分がもし年末ジャンボに当たったら」を考えることより、大切な空想である。
※許可局「Twitter課」を開設致しました。局からのお知らせ等、局員の皆様ご確認ください。
http://twitter.com/tokyopod
<解説>
〇その名の通り、空前絶後のくだらない回ですが、こういう話が一番3人らしい!
〇これを持ちまして、東京ポッド許可局、2009年内の放送はこれで最後です。
今年もありがとうございました!
みち局長、一年間ご苦労さまでした!
3人のワガママな局員をまとめている、みち局長に敬礼しましょう。
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年末年始出演情報2009.12.25 Friday
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米粒写経の年末出演情報
・26日(土)
『雷ライブ』@浅草・東洋館 18:10頃出演(トップ?)
『超☆ブレイク☆笑NIGHT』@渋谷・アップリンク 21:00過ぎ
・28日(月)
『ビートたけしの絶対見てはいけないTV』?
・29日(火)
『浅草東洋館 昼席』 コンビではほぼ1年以上ぶりの出演
・31日(木)
『大川興業 すっとこどっこい大晦日スペシャル』@下北沢スズナリ 24時過ぎ頃出演
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M-1グランプリ2009 9組がやったこと(中編)2009.12.25 Friday
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M-1グランプリ2009 9組のやったこと (中編)
「M-1グランプリ2009 9組がやったこと(前編)」の続きです。
「一芸人はこう見た」レベルの感じで読んでいただければと思いますが、目くじらを立てずに読んでいただければと思います。最後まで読む人はそういないと思いますので、逆に安心です。
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6.ハライチ
「んー “カモシカにベッド” 」
「ガチャピン! ムックが大変なことになってるよ!?」
<「ノリツッコミ」の進化 新しいシステムを示したハライチ>
今年の夏くらいから、このコンビは決勝行くのではないかと私が言い続けてきたハライチ。
◆ハライチの発見 〜今月の『GetNavi』裏話ブログ〜
詳細に関しては、上を一通り読んでいただければ、もっと言うと、『GetNavi』の過去のバックナンバーを読んでいただけたらと思います(はい、もちろん皆さん、持ってますよね?)。
一番最後に「って関係なくなっちゃったよ!」というのがあるので、
そうなんです、このスタイルもやはり「大きいボケ」なんですよね。
一文レベルではなく、パラグラフ単位でノリツッコミをしている、と解釈することもできます。
「ノリボケ」漫才といわれているように、笑いをとっているのは、ツッコミ(ノリ)の澤部さんなんですが、あくまでボケは岩井さん。
このスタイルは従来の「ノリツッコミ」の「って、おい!」の部分を削除した発見、
そして「ノリ」の部分の「想像の膨らませ加減」の表現力が魅力。
いやあ、だって、ノリツッコミに関しては、いままでたくさんの芸人が開発に着手してきては失敗してきましたもん。
いや、正確に言うと失敗ではなかったですが、ここまで手数とリズム感と笑わせる精度を高めたスペックには昇華できなかった。
それもこれも、「って、おい!」の削除という、「0」の発見に近い芸風の発明が一番大きい。
一昔前、「兄貴会」という、私の事務所の先輩のガンビーノ小林さんと現・鳩山来留夫も、ノリツッコミに関してあるひとつの試行をしておりました。
どちらかがボケて、どちらかがノル。最後に「ちょいちょい!」と、「って、おい!」の部分をキャッチーなフレーズに置き換え、どちらもがボケれるスタイルに仕立て上げた、結構な「発見」でした。
私はこれは大発明だと思い、おなじころ私のコンビでもハライチ的な「ノリツッコミ」の開発をしていたのですが、「兄貴会」の存在を知り封印しました。
残念ながら、「兄貴会」は、そのシステムを活かしきるだけの「表現力」という部分で、現・鳩山来留夫に若干の難ありだったのか、陽の目を見ずに解散してしまいました。
これとおなじようなことが、けっこう多発していたのです。
「ツッコミ」時代に突入した今、「ノリツッコミ」をなんとかできないものか、と。
それがハライチの出現によって、「ノリツッコミ戦争」が、終止符を打ったわけです。
それくらい、この二人が考案したシステムは無駄がなく、また澤部さんの表現力が高く、うまく使いこなせていた、ということです。なにより大喜利的で時として軽いネタに見えますが、その代償に手に入れた「リズム感」で爆笑につなげることができる機能を有しているスタイルです。
「あ、やられた」。ノリツッコミについて技術開発していた芸人たちは全員そう思ったことでしょう。
岩井さんはボケでありながら、すでにそこで笑おうとするものはおらず、単純に言って、見せ場を「ノリ」だけに絞った決断が功を奏しています。
「ボケ」のキーワードから、それがいったいどんなものであるか、イマジネーションを具現化して笑わす、結果的に、「ボケ」のキーワードも面白く見える、というものです。
ボケが「フリ」化した究極例、それこそがハライチの漫才でありシステム、スタイル。
「A+B」からはじまる大喜利のパターン。
「よくなつくペット」も「A+B」で分解すると「よくなつく」+「ペット」で、
ハライチのネタはほぼすべて、第一段階「A」のバリエーション、第二段階「B」のバリエーション、の組み合わせで成り立っています。
「ペットが欲しい」「どんな?」という流れで、岩井さんがボケる。澤部さんが広げる。ノル。
ボケのバリエーションは、下記。
1.おとなしいペット 基本形
このように、「A+B」の形のうち、
2.よくなつくペット A変形:基本形からのマイナーチェンジ
3.空気読むペット A変形:1よりも擬人化したA
4.抜け目ないペット A変形:3と同一スロット(変項)
5.場なれしたペット A変形:3と同一スロット
6.食べられるペット A変形:A受け身化
7.ふしだらなペット A変形:3と同一スロット
8.おんぼろなヨット A変形、B変形
9.すかすかのニット A変形、B変形
10.横顔のアップ A変形、B変形
11.安すぎるチップ A変形、B変形
12.驚きのタッグ A変形、B変形
13.控えめなフック A変形、B変形
14.奪われた物資 A変形、B変形:Aを動詞化、受け身形
15.ボンゴレのロッソ A変形、B変形
16.見られてるずっと A変形、B変形:副詞的にBにかかるA
17.控えめなフック A変形、B変形:カブセ
18.カモシカにベッド A変形、B変形:AにB
19.水色のムック A変形、B変形
「A(形容詞的)」+「B(撥音「ッ」を含む名詞)」
というルールを設けて、バリエーションを提示。
これを基本形として、Aを形容詞ではないもの、副詞的にかかるもの、などのバリエーション、
Bには、「ッ」を含む三文字、という厳密なルールの上でのバリエーションを用意した。
おわかりかと思うが、このバリエーションは無限である。
たとえばAを大きく変化させたり(動詞化、副詞化、名詞化)、Bの文字数を大きくしたりすると、もっと無限。
だけれども、自由度を高めてしまうと「なんでもあり」なものになってしまうので、これくらいのシバリでの大喜利に持ち込んだ。
そこで重要なのが配列とリズムになってくる。
澤部さんの表現力もあってか、いたって見やすい形に洗練されている。
23歳とは思えぬ舞台度胸、
しかも、今後このシステムは「A+B+C」のような形にも変形可能であるし、「1+2」をもって「3」とし、ノリバートを変化させることや、ノリを5回くらい連続して同一のものにする「反復」というパターンを採用することもできる。
限りない可能性を有したシステムである。
例えば、上の10くらいの位置に「場慣れした、ふしだらなペット」や「空気読める、食べられるペット」、「抜け目ないすかすかのニット」などの、ボケのカブセ倒しもある。
悩んで悩んで、なにも出ないパターン、つまり「0」もあるはずで、出てきたのが、「カモシカにベッド」のくだり。
「カモシカにベッド」
「んー(頭を抱えて)、カモシカにベッド! 悩んだんだけどね」
のやりとり。
このようなバリエーションのほかにも、「ぷよぷよ」のように連鎖技のボケを提示して、ノリの部分が、まったく違うものになって別の情景を見せることもできるのである。
だからこそ、2本目が、果たしてこのままのパターンなのか、それとも上のようなバリエーションの連鎖をもってくるのか、反復をするネタなのか、非常に気になったので、どうしても見たかったわけである。これはレッドカーペットの尺では見られないので、ぜひ見たかった。
岩井さんの含み笑いに関しては以前から気にはなっていたが、演者としては非常によくわかる部分があり共感しながらも、もっと明確に澤部さんを立たせるために、観客の気をそらせるようなことは禁物。最後まで無表情のほうがやはり良い。
せっかく「ボケ」が自己主張しないように、長くなりすぎず、違和感がありすぎずのボケを選択しているわけだから、存在は最後まで消したほうがベター、なのでしょうか。
あるときフッと明確に存在感を示す「むちゃぶり」のパターンもあるでしょうけれども。
開始早々の「ペット飼いたい」までのスピードの遅さで観客のトーンを下げてしまった点、オチのもたつきなど、たしかに減点対象ではあったかもしれない。もったいない取りこぼしではあったが、それでも次も見たいと思わせるに充分。
笑い飯同様、自らのスタイルに甘んずることなく、来年度、新たなバリエーションをまた見たい。
このスタイルは知れ渡ったところで、あとはネタにいかに「重厚さ」を持たせるかが課題だろう。
それにしても世代交代を感じさせる、初登場とは思えぬ澤部さんの貫禄と表現力に、同業者ながら敬意を表したい。
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あ、ハライチだけになってしまったっ!
こんなことやるんじゃなかった!
もう心が折れかけています……すみません、無料でやってることなのでご勘弁を……
言語的側面からの分析、客観的な証拠。
お笑い評論にはなぜこういう観点がずっとないのだろう。
ま、たいしたこたないんだけども。
よし、専売特許だにょろー
もしかしたらあとで書き足すかもしれません。
書き足さないかもしれません。
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◆オレだってプリキュアになりたい! タツオ 外部ブログ更新情報 12月4週目2009.12.24 Thursday
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オレだってプリキュアになりたいよ!
タツオの外で書いたブログ記事! アニメ会関連 外部ブログ更新情報!! 12月第4週☆◇楽天ブログ「アニメ会の日替わりアニメ定食」
▼サンキュータツオのそういえばですけど ここ一週間の各アニメ感想
そういえばですけど 09.12.23号
※『乃木坂春香の秘密ぴゅあれっつあ』『あにゃまる探偵キルミンずぅ』『君に届け』など
そういえばですけど 09.12.23号 番外編
※とあるクリスマスカードに秘められた想い!
◇アニメ会の『ヲタめし!』
▼第94回配信 鈍感な主人公をどうすればよいか 編
※全編に出演しております。珍しく。「鈍気系委員会」、国井さんのコーナーなのに、自分が考えていたこととリンクしてしまし、しゃべりまくっちゃいました。
≪解説≫
〇ううー、1クールで終わったしまうアニメって、どこかで勢いをバサっときられているような気がする。
〇『乃木坂春香の秘密』おもしろすぎた件。関連記事
†「ハーレム」によるイライラ解消システムの試行 〜アンチハーレムについて〜
「プリキュアになりたいよ」
独り言!?
東映アニメーションに頼んでみます。
それがダメならコスプレで我慢してください。
〇今年こそ、ミニスカの美女サンタが、かわいい妹をプレゼントしてくれますように。
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■『談志 最後の落語論』2009.12.23 Wednesday
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これは本当に遺言である。
なにも言わない。ただ「読め!」
立川談志(2009)『談志 最後の落語論』梧桐書院
「落語に対する能書きを本にするのは最後になるかもしれない。書けるところまで書いてみるとする。」
「まえがき」の末文にこうある。
この本は、“プレイヤー”談志と、“落語評論家”談志、いやもっといえば“哲学(落語)者”談志の、遺言である。
西洋哲学、東洋哲学というジャンル分けを認めるならば、落語哲学というものがたしかに存在する。
キリスト教やヒンズー教、仏教などの宗教があるとするならば、落語教がたしかに存在する。
「落語とはなにか」に(自分なりの)答えを提示した、史上初めての落語哲学者こそ、立川談志である。
その偉大すぎる足跡は、数百年後でも語り継がれるものであることを私は確信している。
談志とは、落語史におけて、安楽庵策伝や三遊亭円朝に匹敵する巨星である。
そういうことを踏まえてこの本を読むと、もう首肯すること必至、首が痛くなるほどだ。
そして、なによりも目から鱗ばかりか、涙まで流れてくる。
「落語とは業の肯定」、そして「業」とは「非常識」。
いままで積み上げてきた哲学に、今回は「江戸の風」という概念を提唱する。
この人の偉大さが、いまもって正確に世間に伝わっていないこと、それはつまりテレビというメディアが巨大になったことの証でもあるように思う。
私は、「落語右翼」として、この本をなにもしらない人に読んでもらいたい。
いま、こんなことを考えている人と、まだおなじ空気を吸っているという感動を味わってほしいのだ。
内容に関しては大きくはふれない。
ただ、「読め!」としか言えない。
あ、そういえば浜ちゃんが昔そういう本出してた!
表紙をはがすと、なんと談志師匠の高座のお姿が!
かっけー!
この表紙を見るだけで、数々の高座が目に浮かぶ。声が聴こえる。もがき、苦しんで、解体し構築しつづける談志師匠。
神。
あえて言おう、談志は神! ネ申!
演者としても若き日よりその才を輝かせ、理論家として落語に向き合い、解体し、それを伝える表現力を持ち合わせる。
これにより、最高の弟子たちを育てた。「継承」されるのは、古典だけではない。イズムもである。
こんなことを可能にした人物は、歴史上、だれもいない。
まだまだ、1秒でも長く、どうかどうか、しぶとく生きていてほしい!
談志師匠が亡くなってしまったら……なんてことをいまはまだ考えたくはないのである。
この人物と同時代の空気を吸えたことに、いまはただ酔いしれたい。
関連記事
◆談志が神になる 〜立川志らく『雨ん中のらくだ』について〜
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