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<読売新聞 連載:サンキュータツオのただアニ!『四月は君の嘘』>


11/27、読売新聞夕刊。
連載「サンキュータツオのただアニ!」。

今回は『四月は君の嘘』を紹介しました。

満天の星空の下、おんぶされながら号泣するシーン。
詩的でした。



 
posted by: サンキュータツオ | 書き物 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0) |-
<『DVD&ブルーレイ VISION』連載:サンキュータツオのアニメ論考『甘城ブリリアントパーク』>


毎月20日発行。
『DVD&ブルーレイ VISON』。
今月の「サンキュータツオのアニメ論考」は京都アニメーションの新作『甘城ブリリアントパーク』です。

この連載、命削って書かせてもらってますので、ぜひご一読を!
posted by: サンキュータツオ | 書き物 | 00:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『渋谷らくご』(シブラク)、本日はじまります。:タツオによる見どころ解説など #シブラク
10.15の投稿で、『渋谷らくご』ユーロライブ プロデュースすることになりました
とご報告しましたが、
まだあれから一ヶ月も経っていない本日8日、ついに初日を迎えます。

ありがたいことに、お笑いナタリーさんでも記事にしてくださいました。
サンキュータツオが渋谷から発信する新感覚の落語ライブ
ヤフーニュースなどにもなってありがたい!

11/3の文化の日は、オーナーの堀越謙三さんが東京新聞の一面でこのことについて語っているのが掲載されたりと、もうビックリの連続(小田克也記者による記事:渋谷に落語ホール 「新しい若者文化育てたい」)。

そんな「渋谷らくご」。
これから毎月第二土曜から4-5日間連続で開催されることになります。どの日、どの時間に見に来てくださっても愉しめる落語会を目指しています。そういう人選をしました。
この時間のないなかに、出演を快諾してくださったすべての出演者の方に感謝です。

番組はこのようになりました。
(詳細はユーロライブの公式HPで)
今週木曜の『WOWOWぷらすと』でもお話させてもらう機会をもらい、ここはひとつ、「落語に興味があるけど、どこにいけばいいかわからない」人のために、ひとまずここに来てみようよっていう場所を作ってみたいなと思ったわけです。大きなお世話ですねー私。


 
8
(土)
14時─16 「渋谷らくご」 立川談吉
三遊亭遊雀
昔昔亭A太郎
柳家三三
17時─19 「渋谷らくご」 瀧川鯉八
入船亭遊一
春風亭正太郎
林家彦いち
9
(日)
14時─16 「渋谷らくご」 春風亭昇々
柳亭市楽
瀧川鯉斗
立川吉笑
17時─19 「渋谷らくご」 立川吉笑
桂 宮治
三遊亭歌太郎
橘家圓太郎
10
(月)
18時─19 「ひとりらくご」  
春風亭一之輔
20時─22 「渋谷らくご」 立川吉笑
入船亭扇辰
立川志ら乃
春風亭一之輔
11
(火)
18時─19 「ひとりらくご」  
柳家喜多八
20時─22 「まくら王」 笑福亭羽光
柳家わさび
昔昔亭A太郎
立川生志
桂 歌春

































完璧な布陣です。
「おじさんの昔話」にならないよう、同世代の現代人が話しているというリアリティがもてる人選で、私としてはホントに満足しています。
また、今回スケジュールの都合で出演できなかったですが、次回以降にお願いすることが決まっている方々もおり、大変頼もしく感じております。

素敵なチラシもできました(今週だけど)
デザイナーさん、ありがとう!





各回の魅力などは、当日配布するミニペーパーなどでも詳細に書いております。

以下、興味のある方は、行ける日の番組を見たり、これを読んでここ行きたい!という回にでも来てください。
今月は告知期間も4日くらいだったので、大変空いてる状態でのんびり観られるお得な公演だと思われます。

▼8日 土 14:00〜16:00 「渋谷らくご」
立川談吉 たてかわだんきち
三遊亭遊雀 さんゆうていゆうじゃく
昔昔亭A太郎 せきせきていえーたろう
柳家三三 やなぎやさんざ

⇒ポイント
記念すべき「渋谷らくご」第一回公演!
三三師匠、ありがとうございます! この多忙な方が、「渋谷らくご」に出てくださった心意気に感謝! 落語ってこういうものだ、というのをバシッと決めてくださる安心感。最高ですよ!
「渋谷らくご」で注目していただきたいのが、トップから平等に25分〜30分の時間をお任せしている、ということです。そしてどの回のトップも、私が考えるところの「破壊者」からはじまっている、というところです。
談吉さん。立川談志師匠の最後の直弟子です。「渋谷らくご」の記念すべき第一回目の初日、トップをお任せするのはこの人しかいません。最近まで髪の毛が真っ赤だった。そういう発想、大事! この談吉さんが作った雰囲気を、まるで音楽のような心地よい落語をなさる遊雀師匠がどう変えてくるのか、楽しみです。そして呑気でおかしい雰囲気のA太郎さんがワールドを展開してくれると思います。そして三三師匠が締めます。この回のテーマは「空気の変動」かも。さあ、どういう展開になるのか! お楽しみに!


▼8日 土 17:00〜19:00 「渋谷らくご」
瀧川鯉八 たきがわこいはち
入船亭遊一 いりふねていゆういち
春風亭正太郎 しゅんぷうていしょうたろう
林家彦いち はやしやひこいち

⇒ポイント
出ましたおしゃべり大魔神、彦いち師匠! もうこの師匠の漫談から落語への流れはホントにすごい。すべて「自分の言葉」なのです。もっというと、すべて「現代人の自然な言葉」なのです。「渋谷らくご」にはなるべく自然なしゃべり方でお話している演者さんに出ていただいておりますが、彦いち師匠はそのなかでも「彦いち落語」と呼ぶべきジャンルと言っていいくらい、だれでもが理解できる楽しい落語です。
その彦いち師匠につなぐのは若手ですでに名前の売れている正太郎さん。愛嬌がすごい! ちなみにこの方は明治学院大学の出身だということで、たしか師匠の正朝師匠も明治学院大学だったはず。THE ALFEEも明治学院大学。戦場カメラマンの渡部さんも、声優の古谷徹さんも織田哲郎さんも奥田瑛二も作家の鈴木おさむさんも明治学院大学。なのこの大学!
鯉八さんという自由な芸風がとっても素敵な落語家さんが作った空気を、本格派の遊一さんがどう受け取るのか! 大すきな二つ目さん三人に、彦いち師匠。この回のテーマは「自由」です。
軟⇒硬⇒やや硬⇒かなり軟という雰囲気の順番だと思いますが、さてどうなるか、お楽しみに!


▼9日 日 14:00〜16:00 「渋谷らくご」
春風亭昇々 しゅんぷうていしょうしょう
柳亭市楽 りゅうていいちらく
瀧川鯉斗 たきがわこいと
立川吉笑 たてかわきっしょう

※この公演には、トーク「落語体験」:春日太一(時代劇研究家)&サンキュータツオ があります。

⇒ポイント
この公演には二つ目さんしか出ないという超チャレンジ回! しかもトリが吉笑さんという、5年目の落語家さん。前代未聞。ただしこの落語家、才能がほとばしっています。入門からわずか1年半で二つ目昇進。「そんなに早く昇進させるなんて、ぶっちゃけありえない!」ということになり、その後立川流には「二つ目は最低3年」というルールができた。つまりルールを作った男! こういう怪獣が出てくると落語は遠心力を持ってきて楽しい。
そういう意味でいうと、昇々さんもおなじ。正直、この人の目を見た瞬間、「本物だ」と思わずにはいられないほど狂気を感じました。高座を拝見して、「やっぱりな」と思いました。 鯉斗さん、一目みて大ファンに。名古屋で暴走族の頭やってた過去あり、バイトしていた居酒屋にきた鯉昇師匠の芸の惚れて入門。もう『タイガー&ドラゴン』を地で行っています。しかもイケメン! 噺が雑! ということで底知れぬ大器、こういう人を待ってた! 市楽さん、このメンバーのなかにあって唯一の……と言いたいところですが、この人もそうとう変人です。聴けばわかると思います。
というわけで、この回のテーマを言うならば「狂気」! そして実は「全員イケメン」!
トークコーナー「落語体験」には、そんな狂気の回にふさわしい、私の知る限りもっとも狂っている春日太一さんをお呼びしました。


▼9日 日 17:00〜19:00 「渋谷らくご」
立川吉笑 たてかわきっしょう
桂宮治 かつらみやじ
三遊亭歌太郎 さんゆうていうたたろう
橘家圓太郎 たちばなやえんたろう

※この公演には、トーク「落語体験」:中井圭(映画解説者)&サンキュータツオ があります。

⇒ポイント
14時の回でトリをとった吉笑さんが、ここでは開口一番。破壊者はどう出方を変えるのか!?
この回のテーマは「明るさ」とでもいいましょうか、見ているだけで気持ちよくなるような、華のある方に出演をお願いしました。
圓太郎師匠、実は私が学生のときに主催した落語会で、真打昇進襲名のお披露目をさせていただきました。たったひとりで真打になり、そのお披露目で都内四ヶ所の寄席で40日間トリを取り続ける人ってなかなかいないのですが、この師匠はもともと面白かったのに加えて、その40日間でさらに上の次元に至ったような感じがしました。泣きそうでした。そういう私の「思い入れ」のある方です。 宮治さん。実は私とおなじ年の東京生まれ。入門が08年といいますから、M-1でいえばナイツとオードリーとNON STYLEが頂上決戦した年です(2000年代はM-1で覚えている)。この6年でもこんなに上手く楽しく明るい人が出てくるのだ! 歌太郎さん、私が米粒写経として毎年司会をつとめる「北とぴあ若手落語家競演会」の2013年チャンピオン。文句なし!だいすき!
トークコーナー「落語体験」には、華のある映画解説者(マジイケメン)、中井圭さんをお呼びしました。この人理屈っぽいからなに言うか楽しみ。


▼10日 月 18:00〜19:00 「ひとりらくご」
春風亭一之輔 しゅんぷうていいちのすけ

⇒ポイント
おそらく業界初の試みであろう「ひとりらくご」。独演会ほど重くない。でもたっぷり聴きたい。名前を聴いたことある人を、ためしに一席聴いてみたい。聴いてから食事に行きたい。友だちを誘いたい。長時間ではなくコンパクトに楽しみたい。
そんな人のために設計された、一時間、一人だけに一席お任せする「ひとりらくご」。こんなにストイックな回はございません。
2001年、演芸仲間から珍しく電話がかかってきた。「飛んでもなくうまい前座がいる」と。あまりの熱意に気圧されて江古田にある会場、二階の畳座敷に聴きに行った。噂にたがわぬ上手さだった。その前座は「朝左久」といった。しかし、若いころから上手くて器用な人は大成しない。小さくまとまっておもしろくなくなる。脱皮を怖がる。安定しがたる。想像を超えずに平凡に収まる。落語研究会あがりはオタクが多いから、落語を卒なくこなしてダメにする……とか思っていました。そういう人も少なくないのです。それ以来、朝左久を見るのが怖くなり、噂だけを聴いて過ごした。
しかし。およそ10年後、この前座は21人抜きで真打に抜擢された。聴きにいったら超絶おもしろくなってた! 私が間違ってました! そして私は、「うまい=おもしろい」と確信した。つまらないのは、下手なんだ、と。
今回、こんなに売れっ子の一之輔師匠に、ダメもとでオファーしたところ、二つ返事でOKしてくださいました。
そういう人です。


▼10日 月 20:00〜22:00 「渋谷らくご」
立川吉笑 たてかわきっしょう
入船亭扇辰 いりふねていせんたつ
立川志ら乃 たてかわしらの
春風亭一之輔 しゅんぷうていいちのすけ

⇒ポイント
落語を聴きだすとみんな「入船亭」が好きになる。最初は「にゅうせん、てい?」とか言ってた人も、いっちょまえに「いりふねてい」とか言い出すのだ。多くを語らず、でも確実に「行間」で多くを語ってくる入船亭の芸。現在のトップ入船亭扇橋師匠は、もとをたどると名人三木助と国宝柳家小さんのブレンドってところが最高なのですが、扇橋師匠の一門はこうした「行間」の色っぽさをみんな持っていると思う。そのなかでも扇辰師匠! こういう「職人」が、渋谷らくごという文脈では光輝くのではないかと思うのです!
志ら乃師匠。この方のことは学生時代から存じているが、仲良くもなく悪くもなく、適度な距離感を保ち続けている。正直志らく師匠に入門した当時は、二つ目の昇進だって難しいのではないかと思えるほど、一門はカオスを極めていた。しかし、この人は泥臭く、着実に、前向きに、自分で挑戦権を作りあげることからはじめた。『うじうじ』などの著書を読めば、その生真面目さがいかに面倒くさく面白いかがわかると思う。この人の失敗も成功も、みなさんには見守っていただきたい。「ドキュメンタリー 全身落語家化」という作品を見るように。
吉笑さん、志ら乃師匠という「異端」。扇辰師匠、一之輔師匠という「王道」。食うか、食われるか!?
ガチンコという意味では一番見応えのある回かもしれません。テーマは「王道と異端」。


▼11日 火 18:00〜19:00 「ひとりらくご」
柳家喜多八 やなぎやきたはち

⇒ポイント
私が落語を聴きはじめた頃から、私や私の周りの落語研究会の面々にとって、喜多八師匠はアイドルでした。やる気なさそうに出てきたのに、噺に入るとそんなことを忘れさすほどの熱演!(すみません、ネタバレになってしまいました)。
目つきの鋭さ、そしてなんというか、芸の「とめ・はね・はらい」みたいなものの的確な感じ。とにかく色っぽくてカッコよくって面白いのです。何度も何度も聴きにいきました。お酒の席でも、だれとでも壁を作らなそうに見えて、実は気遣いの名手でもあり、学生相手にも話しかけてくださる。正直、私には考えられない! 痛い落語オタクの学生と話すなんて!
でも、師匠はどんな人の話にも耳を傾けるのです。学生にまでヨイショする腰の低さがありながら、芸に対してはだれよりもマジなのです。あの時すみません師匠、ってことが何度もありました。でも、喜多八師匠はこのオファーを受けてくださいました。
顔つきは、最初に捕まる前の清水健太郎みたいな、渋くて危険な香りのする感じですが、怖い人ではありません。もちろん、薬やってません(と思います)。
淡々とやってるなーと思ったら、いきなりギラリと喉元にナイフをつきつけられるような、ハッとする箇所がたくさんありますので、みなさんボンヤリしながらも気を抜かずに聴いてください。こんな機会は滅多にないです!
ちなみに、喜多八師匠はこの日、シブラク終わりで、寄席でトリをとります。そんななかOKしてくださったんです!
そういう人です。


▼11日 火 20:00〜22:00 「まくら王」
笑福亭羽光 しょうふくていうこう
柳家わさび やなぎやわさび
昔昔亭A太郎 せきせきていえーたろう
立川生志 たてかわしょうし
桂歌春 かつらうたはる

※この公演には、トーク「落語体験」:岩崎太整(音楽家)&長田ゆきえ(ラジオディレクター)&サンキュータツオ があります。

⇒ポイント
11月の「渋谷らくご」、最後を飾るのは、業界初「噺家に、噺をさせない落語会」です。
こんなに失礼なオファーはありません。「落語ではなく、漫談をしてほしいんですけれど…」というオファーです。
なぜこんなオファーをしたのか。

『まくらは落語をすくえるか』という本があります。沢田一矢さんという方の書いた、89年に筑摩書房から出された本です。この本の紹介にはこう書いてあります。
「落語家のセンスが自在に生きるまくらこそ、古典落語に新しい血をふきこむ切り札ではないのか。面白い落語を面白く聴きたい。だから、こだわりたい。人情風俗が変わり、分かりにくくなったとみえる落語の世界も、活きのいいまくらが再生しうる、と。舌先三寸、時代を斬る肉声を待望する、もう一つの現代落語論。」

名著なので機会があれば読んでいただきたいのですが、現代、この情報化社会にあり、趣味も多様化しているなかで、なぜ私たちはわざわざ昔話である「落語」を聴かなければならないのか。おもしろいから? 珍しいから? ノスタルジー?
今日あったこと、最近あったことって、実は何百年も前からあったんじゃないの? あの噺のこの人物がやったことみたいなことが、昔からあったんじゃないの? 人間て、日本人て変わらないね、あはは、ということを知るためではないのだろうか。落語は、現在を否定も肯定もしてくれない。ありのままの人間の業を描くのみである。
だとしたら、「今日あったこと」「最近あったこと」「気になっていること」という問題意識が、落語を聴くのに一番大事なんじゃないだろうか。意味を求めるのは野暮という考え方もわかります。ですが、それだけではなにも変わりません。
だからやるんです。面白い人がやるからこそ、落語は面白い。まくらにセンスが思い切り出ます。
落語の未来は、まくらが切り開くんだと思うのです。だからやるんです。
そして、この才能たちが集まってくれました。感謝しかありません。歌春師匠には、落語もお願いしております。
楽しみです。
トークコーナー「落語体験」には、超売れっ子音楽家、ドラマや映画の音楽を手掛ける岩崎太整さん、そしてラジオディレクターの長田ゆきえさんをお迎えし、率直な感想をうかがいます。

落語をある程度聴きこんでいる方であれば、この番組の意味などは顔付を見るだけでご理解いただけるかと思います。
つまり、そういうことです。
聴きごたえあると思いませんか。

どうかどうか、落語に触れる、気軽に足を運べる場所になりますよう。
一度来てみてもらえると嬉しいなと思います。

2014.11.8
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 05:53 | comments(3) | trackbacks(0) |-
原田まりる『私の体を鞭打つ言葉』
 原田まりる『私の体を鞭打つ言葉』
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以前、『WOWOWぷらすと』でもよくご一緒した、原田まりる氏。
腐男塾というアイドルグループを卒業後、もともと大学などで学んでいた哲学の素養を活かし、このたび書籍を出版した模様。

まりる氏は漫画オタク、アニメオタクでもあり、BL好きということもあって話しも合う数少ない友人なのであるが、
ショーペンハウエルやベルクソンの話をできる女性ということもあって、
その存在の希少性は計り知れない。
アイドルの口から「ショーペンハウエル」とか出てこないよ普通!

というわけで、そんな自我の方が大人しくアイドルやっているわけはない。
もちろん、そういうアイドルがいても面白いのだが、本人的にどこかで区切りをつけたのだろう、ほどなくしてこういうことになった。

さらに驚くべきことにこの人は文章がうまい。
いや、自我のある人は表現という行為に対して昔から意識的なので文章がうまいのは当たり前といえば当たり前なのだが、なかでも描写が素晴らしい。
この本はサンマーク出版という、自己啓発でおなじみの出版社から出ているのだが、
自伝的小説として読むのが一番適正だと思う。

アイドル時代に暴漢に襲われたときのこと、恋人に猛烈に嫉妬すること、SとMを平然と語り、自然に具体的なエピソードから哲学の話へとシフトしていっている。
これは、過去の哲人と対話する女性が主人公の、小説なのである。

暴漢に襲われたくだりひとつとっても、
「浅黒く焼けた大きな手を口に押し当てられ、息のできない状態にされていた。逞しい骨格と、独特の匂いから、すぐに日本人ではないことはわかった。
 私はもがきながら必死に抵抗した。
 口に押し当てられている手に噛みつき、相手がひるんだ瞬間を見計らい、
 「誰かー! 助けてー!」
 大声で助けを求めた。
 すると男は驚き、さらに力強く私の首を締め、黙らせるために舌を強引にねじ込み、口を塞いできた。私はさらに抵抗し、思いっきり相手の舌を噛む。攻撃は効いたようで、相手は体勢を崩した。
 その瞬間、私は相手の急所を蹴り上げ、マンションの外へ逃げようと急いで立ち上がった。立ち上がった瞬間、男に再び後ろから羽交い絞めにされる。マンションの外へ引きづられ、再び押し倒される。しっかりと覆いかぶさられ、身動きの取れない状態で、口を塞がれて息ができない
 頭の中が、視界が、意識が、かすんでくる。」
(p.72「本当にあった怖い話」から抜粋)
という緊張感あるシーンの文章。
センセーショナルなお話かもしれないが、文章はいたって冷静。

なにがすごいかって、まず過去形と現在形の混在。
最初は過去形で状況を描写しながら、「私はさらに抵抗し、思いっきり相手の舌を噛む。」で突如現在形が顔を出す。
ここからは動画再生されるように、徐々に現在形が優位に立ち、再現VTRはフラッシュバックするよう。
「羽交い絞めにされる。」以降は、「押し倒される」、「息ができない」「かすんでくる」とすべて現在形で描写される。
これは明らかに意識的であり練達ぶりを感じさせる。これは個人文体で代筆ではない。
「誰かー!助けてー!」のあとも、普通なら「と、大声で助けを求めた。」と「と、」を入れるのが普通だが、ここでは省略されている。「説明」ではなく、「状況の再現」に比重が置かれているので、事実を時系列に羅列することで緊迫感がでる。
「頭の中が」「視界が」「意識が」という「が格」の畳み掛けは、マンガ的手法と言ってもいい、じょじょに絵が黒くなっていく瞬間を3分割に切り取って描写している。
「立ち上がった。立ち上がった瞬間、」も、普通は「その瞬間」と引き継ぐが、ここは音楽性というか、リズムと「動作の羅列」を優先して「立ち上がった」を反復する。

 
だから小説的なのだ。いたるところに隠し切れない描写センスを感じさせる。本編の内容とは別に、またこういうところで読み手を愉しませてくれる。少なくとも私はそういうところを重点的に楽しんだ。
 
この本は面白い!
それは原田まりるがなんとも説明しにくいパーソナリティであり、説明しにくさとは同時に「唯一性」でもあるから、当然その人が語るものは面白くなるからだ。
次は原田まりるの小説を読みたい。
 
ところで、また仕事をしたいものである。

2014.11.8
posted by: サンキュータツオ | ★コラム | 06:20 | comments(0) | trackbacks(0) |-