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5月29日『ヘンな論文』トークショー with 伊藤紀之先生(湯たんぽ研究)
拙著『ヘンな論文』(角川学芸出版)の、発売後はじめてのトークショーが5月29日(金)に開催されます!

サンキュータツオ『ヘンな論文』トークショー with 伊藤紀之先生(5月29日@新宿紀伊国屋書店本店)

新宿、紀伊国屋書店の本店8Fでのイベントです。
上をクリックしていただければ、詳細でます。
電話予約です。

湯たんぽ研究の伊藤紀之先生をお迎えしてたっぷりとお話をうかがいます。
研究生活の全貌を見渡したうえで、「なぜ最後に湯たんぽだったのか」ということが見えてくるトークショーになる予定です。
伊藤紀之先生、ご高齢ですがこの日のためにお客様の前でお話してくださいます。
貴重な機会ですのでぜひ『ヘンな論文』を読んで興味を持ってくださった方、いらしてくださいねー!

 
posted by: サンキュータツオ | おもしろ研究論文 探索 (2009年11月〜) | 13:14 | comments(2) | trackbacks(0) |-
まもなく! TBSラジオ特番放送『嗚呼、素晴らしき珍論文』17日(日)23:00〜23:55 #tokyopod #tbsradio 朝日新聞掲載
TBSラジオ、517()23:0023:55
あの「今晩は 吉永小百合です」の後の23時台、サンキュータツオ特番が放送されます!


拙著『ヘンな論文』(角川学芸出版)
(アマゾン、たまに在庫切れになりますが、すぐに補充されますので)

は、
そもそもTBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ』で、17時台の「メキキの聞き耳」というコーナーで紹介しはじめたのをキッカケに、以降月一回くらいのペースで定期的にご紹介していたものをまとめたものです。

いままでも、この『ヘンな論文』、
個人の方から、各媒体までいろいろなところでご紹介いただきました。




本日、5/17の朝日新聞。
「著者に会いたい」のコーナー。


5/11、東京新聞
「私の本の話」のコーナー。


4.28売り 週刊朝日
「書いた人」のコーナー

全国の書店の皆さま、POPとしても使用してくださーい!
大学生協などでは積極的に販促してくださったるところもあったりするとうかがっております。
ありがたいことです。

そのほか、『WOWOWぷらすと』でも「ヘンな論文」で2時間しゃべらせてもらったり。
春日太一さん、トミヤマユキコさんをまじえて、研究者の視点から読んだこの本の感想や、
研究者の生態、環境について、文系の研究者あるあるを含めてお話していただきました。

今回は、この書籍で紹介した論文の「著者」をお迎えしての、画期的番組です!

タイトルから先生のお話まで、珍論文の魅力を余すところなく語りつくした番組です。
ゲストは、
伊藤紀之先生(湯たんぽ研究)
小林茂雄先生(傾斜面に着座するカップルと他者との距離 の先生)
飯倉義之先生(河原町のジュリー の先生)
のお三方!
たっぷりお話をうかがいました!

そして、一緒に番組を進行するのは、お茶の水女子大で修士号まで取得した、
小林悠アナウンサー!!
さらに、法学修士、工学博士という経歴のナゾの升田尚宏アナウンサー!!

お楽しみに!
 
posted by: サンキュータツオ | 書き物 | 22:59 | comments(0) | trackbacks(0) |-
「渋谷らくご」をめぐる議論について #シブラク
5月の「渋谷らくご」も終わり、6月の「渋谷らくご」12日から16日までの公演の準備に入ろうとしているとき、
ツイッター上で、とある方の発言を目にしました。
私はその方に自分からツイートをしにいき、その後何度かの会話をしました。
私は、落語の話や考え方に関して、まずもって共感をしてくださる方がいなかったので、この方の発言は厳しかったけれども全面的に正しいと思っていて、しかも「渋谷らくご」のコンセプトも理解してくださっており、ありがたいものだったと思って会話しました。

事の発端は、昨年12月の「渋谷らくご」において、とある師匠に出ていただいた回で、お客さんが少なかったことについての怒り、さらには、昨今の「渋谷らくご」のプレビューへの不満、といったどちらかというとネガティブな発言だったわけですが、
私がなにに一番感動したかというと、まず去年の11月にモヤっと唐突にやることになった「渋谷らくご」の、12月の公演の段階に、すでに情報を得て、会場にいらしていたということ(あるいは、会の存在を気にしていただいたこと? つまりかなりのリテラシーの高さ)、さらに「渋谷らくご」の理念を理解し、賛同してくださっている上での、お叱りであったことです。
出会い方がちがえば、私はガッチリ握手したい方です(いまからでも落語の話をしたいくらい!)。

「渋谷らくご」は、まだ存在すら知られていないように、宣伝もほとんどできていなければ、よくわからないけれどもイヤなイメージを愛好家のみなさんに持たれてしまっていますが、それは仕方ありません。私のような人前に出ている人がきっとはしゃいでやっているだけだろうとか、そんなに覚悟なくただ落語は客入るらしいぞという安易な考えでやってるだけだろうと、思われる節もありますし、そう思われても仕方ないと思います。
なにせ「渋谷らくご」は、HPすらまだ完成しておらず、ツイッターの告知を主にやっているだけで、正直動員は師匠方、そして出演者の皆さまの知名度や宣伝に頼っている部分がほとんどです。スタッフも正規なものは1名です。しかもネットができるわけでもありません。正直オーナーからお話をうかがったときは、ナメてんのかいなと私も思ったほどです。ですが、いろいろあって、やることになりました。

そんななかで、ツイッターなどをなさっている方で(落語ファンはネット弱者も多いので、うれしいのです。何百人も入る会が終わっても感想がどこにもないこともあるほど)、「渋谷らくご」のハード面に反応してくださり、立ち上げてすぐの段階に足を運んでくださっているという点、またお叱りもすべて私が自分でできていないよなと思っていることだったので、ホントにスタッフとして入っていただきたいレベルの方なんですよね。落語会は都内でも無数にあって、でもツイッターなどネットで感想を言ったりする人は、増えてはいるけれども、分母は限られています。

「好きな演者さんの会にお客さんが入っていないことへの怒り」は、そもそもなんの興味も先入観もない人からしてみたら謎の感情ではあるのですが、愛好家あるあるではないでしょうか。私はすごくよくわかります。演者心理としては、それはお客さんが気にすることではないでしょ、ということなのかもしれませんが、宣伝とかちゃんとしろよと思われるのも、私は客としていろんな落語会やお笑いのライブなどにも行ったり見たりしていたのでわかります。
で、その方にごめんねっていう気持ちを表明したわけです。
ただ謝罪を繰り返すばかりでなにも答えていない、と見た方もいるようですが、そうではなく、おっしゃる通りです、と私が書いたように、その方の主張は、私の考えとほぼ同期していると言ってもいいくらいでした。賛同しています。そうするべきだ、と私も思っています。完全一致でした。

演者さんや落語会をどう紹介するか、というのは非常に難しい作業で、ただ何年にだれに弟子入りしたかとか、どういう人柄です、あるいは、こういう噺をします、と見どころを紹介したからといって、それは説明したことにはなるけれど、興味をもってもらえるものなのかどうかはわかりません。というわけで、ここ数ヶ月、いろいろ試しているわけです。
なかには、「これはおかしいだろう」というものもあるかと思います。私も人間ですので完璧は無理ですけれど、でも、続けます。いろいろ試してみるべきだと私は考えるからです。

「他己紹介」という、自分ではない人の紹介文を、大学の授業でも学生に書いてもらったりするのですが、毎回学生たちで議論するのが、「何年生まれで、どこの国のどの大学出身で、なにを専攻しているか、という紹介は、果たしてその人を紹介していることになるのか?」という議論です。またどれくらいの量で伝えるのか、長すぎてもダメ、短すぎてもダメ、でも印象には残したい、とかいろいろ議論されます。情報をどれだけ削っていくかということも考えていかねばなりません。

ここに、落語家Aさんがいたとして(A太郎さんではありません)、「みんなが知ってるあの師匠のお弟子さんだよ、こういうタイプの話をするよ」と伝えるのも有効だし、「ダウンタウンの笑いが好きな人は、もしかしたらハマっちゃうかも」という他ジャンルへのリンクのさせ方も有効だし、「アイドルが好きんだよ」という面をアピールすればおなじ趣味の人が、おなじ現代を生きる人が落語やってんだと共感度が高まるかもしれません。「剣の達人は、斬られた人さえもわからない、あるいは、斬られて気持ちいいそうです。そんな落語家さんです」と紹介すると、内容はわからないけど興味がわくかもしれません。そして紹介は毎月あります。どこをどう切り取るべきか、そしてそれが正解なのか、答えはわかりません。
とはいえ、「これはダメだろ」と言われたらそうなのかもと思います。「これはいい」と言われたら、それもそうかのかもと思います。私は、自分を信じるしかありません。
ですが、決してふざけているわけでも、不真面目にやっているわけではありません。
本職は、ふざけたり不真面目にすることですが、「渋谷らくご」の主役は落語家さんとお客さんです。私の試行錯誤はずっと続くのだと思います。ですが、真面目にやってはいます。あくまで自分でそう言っているので、「つもり」と言われればそれまでですが、「はい、不真面目です」とは言えません。

ハード面に魅力を感じていただきながら、ソフト面の不備、あるいはこれもできるだろうとかあれもできるだろうとか、じれったく思う気持ちは痛いほどよくわかります。私自身もそのジレンマに苦しめられています。ですが、いろんな事情でできなかったりすることが多くて、でも諦めようとは思っていませんし、同志が集える場所にしていこうと思っています。
今回、ご意見をくださった方との会話は、そういった意味で私は理解していただいてる部分と、不備に対する不満双方をうかがえたので、非常に良かったと思っています。

とはいえ、人のこうした話し合いに、当事者でもないのに入ってきたがる人というのはどこにでもいるもので、それも流れを追わないで人を非難したりする人たちや、まとめを見ただけでなにかをわかった気になって賛否を表明したがる人たちもいて、それもツイッターの醍醐味なのですが、私は当事者ではない人が軽々しく賛否を表明すべきではないと思っています。
私はエゴサーチをします、それは言及された当事者ですし、「渋谷らくご」「シブラク」で検索もします。それは当事者だからです。引用して言及もします。対話できる雰囲気があれば、対話をしたいですし、基本的には性善説に基づいて対話をしたいと思っています。
当事者ではない方も表明するのは自由です。またそれができるルールなのがツイッターの面白さです。演者さんは当事者のなかに入りますが、演者さんたちは主催者にもお客さんにも立場の弱い人たちですので、どんな発言であっても大目に見てもらいたいです。それくらいの許容の幅は欲しいものです。少なくとも私は渋谷らくごに出演してくださっている落語家さんたちは全員尊敬しています。そしてそれは「人柄がいいから」とか「考え方が好きだから」とかではなく、「芸がいいと思うから」です。人柄や考え方はオプションです。というか、人柄も考えもよくわかりませんし、ツイッターでは全然わかりません。なので、貶めたくはありません。どんな発言をしようが、芸がよければ、残念には思いません。こういうことがあると、演者さんたちはツイッターやめたり、なにも言わなくなったりすることが多いのですが、そういうことになったら、ホントに申し訳なく思います。

いろいろな議論を通して、いま現在は、ネットなどをやっている情報に敏感な落語愛好家の方には、嫌われてしまっているかもしれませんし、そういった意味では多くのお客さんを失ってしまったのかもしれません。それは私の責任です。
ですが、時間が経って、一度でもいいからのぞきにいってやろう、と思われる会にしていく。それしか私がやることはないのです。

自戒をこめてここに書き残すことにします。

6月の渋谷らくご、どの日にきても楽しめるはずですので、興味があればいらしてください。

5月28日の「WOWOWぷらすと」で、「渋谷らくごを振り返る」というテーマでお話する機会がありますので、
良かったら見てみてください。

 
posted by: サンキュータツオ | 渋谷らくご | 00:13 | comments(6) | trackbacks(0) |-
TBSラジオ特番、放送決定!『嗚呼、素晴らしき珍論文』5月17日(日)23:00〜23:55 #tokyopod #tbsradio
TBSラジオ、5月17日(日)23:00〜23:55で、サンキュータツオ特番決定しました!

拙著『ヘンな論文』(角川学芸出版)は、
そもそもTBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ』で、17時台の「メキキの聞き耳」というコーナーで紹介しはじめたのをキッカケに、以降月一回くらいのペースで定期的にご紹介していたものをまとめたものです。

そんな縁もあって、スタッフの熱意でダメもとで出した企画書が、なんと見事に通過!
今回の特番となったわけです。

番組タイトルは、
「サンキュータツオプレゼンツ 嗚呼、素晴らしき珍論文」
です!

タイトルから先生のお話まで、珍論文の魅力を余すところなく語りつくした番組です。
ゲストは、
伊藤紀之先生(湯たんぽ研究)
小林茂雄先生(傾斜面に着座するカップルと他者との距離 の先生)
飯倉義之先生(河原町のジュリー の先生)

のお三方!
たっぷりお話をうかがいました!

そして、一緒に番組を進行するのは、お茶の水女子大で修士号まで取得した、
小林悠アナウンサー!!
さらに、法学修士、工学博士という経歴のナゾの升田尚宏アナウンサー!!

私からしたら、こんな完璧な番組ありません……。
感無量。

すでに収録を終え、お一方30分〜45分くらい話を聞いちゃったので、
いまスタッフが吐きながら編集しております!
情熱に感謝!

なんと日曜の、「こんばんは吉永小百合です」の後ですよ!
毎週私が聴いているあの番組の後!
すっげーうれしい!

なんとなんと、番組の最後には、うれしいお知らせもあるよ!
ひとつだけ言っておきます。
29日の夜は空けておこうね。



 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 15:40 | comments(1) | trackbacks(0) |-
「渋谷らくご」(#シブラク #rakugo)5/9日 17-19時レビュー 立川志ら乃/神田松之丞/昔昔亭A太郎/林家彦いち ゲスト:劔樹人
「渋谷らくご」2015年5月公演 2日目
5月9日(土) 17:00-19:00

立川志ら乃-長短
神田松之丞-青龍刀権次
昔昔亭A太郎-ほれうそ
林家彦いち-青菜

 ◎トークゲスト(落語体験):劔樹人(ミュージシャン、漫画家など)

「あらかじめ決められた恋人たちへ」のメンバーとして、また「神聖かまってちゃん」のマネージャーとして、さらには『あの頃』などの漫画著作などでも有名な劔樹人さん。
この、なんとも説明できない、平気でジャンル横断しちゃう人がとても好きで、どうしても落語を聴いたらなんていうかを聞きたくて、この回にブッキング。
実は、小学生のころは落語を暗記して演っていたという30代男子。珍しすぎる! 近所では「天才落語少年」と呼ばれていたんだとか。その後、どうしても生の落語を聴きたくて、親にねだって連れてってもらったのが、新宿の末廣亭だったという、そしてそれが初の上京だったんだって! そこで、なにかゴールを見たのか、そこから興味は音楽へと移っていったという。
この回を観たあとのトークで、「音楽もライブハウスとかがなくなり、こういうふうになるんだろう」といった予見であったり、古典がクラシックだとかスタンダードジャズだとか、創作がロックだとかそういう話を。とっても楽しい話でした。
もちろん、アイドル、というかハロプロファンとしても有名なので、そのお話と、落語をめぐるファンまわりの類似点など。
ももちこと、嗣永桃子さんが、いかにブレークスルーし、自己演出能力にたけているか、など、芸人にとっても参考になる話。
「閉じている」と見られがちなジャンルにて、なにが起こっているのか、そんな興味深い話を、エンディングでは志ら乃師匠を交えて延々と。


立川志ら乃「長短」

ホントはトリをお願いしたいクラスの真打を、トップにお願いできる贅沢。これを許してくださる師匠。
さすが、ハロプロの応援話から一門の話、もうマクラから縦横無尽に話をつないで、沸かせてくださった。松之丞さんが二つ目昇進の会に素人時代に観に来てくれていたときの話とか。
そして落語「長短」。これ、気の長いほうの気の長さに途中からイライラしちゃうとストレスのかかる噺なんだけど、志ら乃師匠はいい具合に省略の痕跡を残し、「気が長い人なんだけど、聴いている人にはストレスがかからない」工夫を随所にしてくださっていて、とっても気持ちいい。このコントラスト、実に不思議なやりとりなのだが、呑気な感じがホントにすき。
なんでもできるなァ、この師匠。ホントにすごい! 
以前聴いた「無精床」もすごく好きなんだけど、この人には、なんか「柳家」がいるんだよ。ゆっくりやると柳家が見えてくるんですよ!(思い込みだけど。あ、志ら乃師匠の師匠の師匠の師匠が、柳家小さん、という方だったのです)


神田松之丞「青龍刀権次」

出た!松之丞の古典!
カッコいい! ひゅー!と言いたくなるような、なんというか、超絶ギターソロを聴いたときのような興奮を、松之丞さんの古典、とくにアクションシーンには感じる。ギター聴かないけど。
この噺は、昼の部にもしかしたら玉川太福さんがやっていたかもしれない候補のネタだった。しかし、結果的に昼は太福さんが新作を選択したことで、この日「権次」は松之丞さんが演じることになった。長い話のなかでも「エピソード1」の部分。
談志師匠もこの噺は好きだった。
「薩摩侍」が、湯島で芸者を斬りつけるシーンなんかは、ホントに映画を観ているよう。しかもモノクロの。個人的には仲代達矢が演じている雰囲気。
幕末から明治にかけての時代の雰囲気の説明も、良かったなァ。なんか、私はこの時代に生まれたかったのだ。明治10年くらいに生まれたかった。どうでもいい話なんだけど。この時代は、若い世代が国を動かした、歴史上でも稀有な時代なのだ。
見せ場になると、会話の間をショートカットし、カミシモもそんなに大きくは切らず、声色とリズムでもっていく気持ちよさ。これはもう、生で味わうに限る。これだけでお金を払う価値がある。しかも伸び盛り、キレてて気持ちいい。貴重なものを観ていると実感する。
松之丞さん、月曜はトリです。受付にてDVDも販売しているので、渋谷らくごにぜひ。


昔昔亭A太郎「ほれうそ」

この人は、端正な見た目と、ネタのくだらなさから、根っからの明るさを感じる人もいるかもしれないが、えてしてこういう人は闇を抱えているものです。
今日はそんな闇を、というか、「渋谷らくご」ではそんな闇が、時折というか、けっこう頻繁に出ているんですけど、それがまた良い!
嘘と毒。芸人としてのどうしもない性がいつにも増して顔を出した愛らしい一席だった。
あと、この落語家さんは、ある瞬間から、階段を一歩ずつ上がらないブロックに入るのだ。つまり、いきなり「飛ぶ」。
今日の創作落語「ほれうそ」でも、「鶏の反対は?」「ナムル」というくだりあたりから、「?」という言葉にならぬ声をもらしていたお客さんがちらほらいたのだけれど、そこが面白い。だれにでもわかるものをやる必要はなくて、雰囲気だけでもいい、「おもしろげ」であれば。そこ説明しちゃったら、もうおもしろくなくなるから。飛ぶことでしか表現できない面白さが絶対にある。
感動的なまでに、感覚的であり論理的であるという、不思議な演目。これは癖になります。


林家彦いち「青菜」

まさかの「青菜」!!
いや、まさかと言ってはいけない。彦いち師匠だって古典やってくださるのだ、そして彦いち師匠にとって落語に「古典」も「新作」も実は存在しない、そこには「彦いち落語」しかない。
五月になってあたたかくなってくると、そろそろ「青菜」だなって季節なんですが、彦いち師匠の青菜が聴けるとは!!
そこは彦いち師匠、身体性を入れてくるあたりが、さすが創作落語をなさっている師匠。
古典の解釈が、ひとつひとつ「どこか隙がないか。もっとおもしろくなるのではないか」という批評眼と隣り合わせ。
こういう落語家さんのおかげで、落語は長生きしているとさえ言えるのだ。
隠居と植木屋の会話から、酒を飲み洗いを食べってところで、もう浮かれいく植木屋のさまがおかしい。結果、隠居に好感をもつ、素直に「符牒」に憧れる、という流れができる。江戸っ子は、ご機嫌でないと「けッ、知識をひけらかしやがって」となるからだ。
植木屋の奥さんが、「短命」の奥さんレベルに、口の悪い奥さんで笑っちゃう。
古典でありながら、すべての会話が彦いち師匠の言葉、現代風の言葉、それでいて世界を壊さない、そのバランスのなかで成り立っている。これは奇跡のバランスだと私は思っているんだけど、今日もその奇跡のバランス。楽しい!


古典、古典、創作、古典、と結果的には古典のナンバーが色濃い会になったけど、そんな硬さを感じた人はだれもいないと思う。
終演後にも劔さん、志ら乃師匠と、お話は盛り上がりました。
みなさん大熱演、いやー、幸せだっ!

タツオ
posted by: サンキュータツオ | 渋谷らくご | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) |-
「渋谷らくご」(#シブラク #rakugo)5/9日 14-16時レビュー 立川吉笑/隅田川馬石/玉川太福/立川生志 #ぷらすと
「渋谷らくご」2015年5月公演 2日目
5月9日(土) 14:00-16:00

立川吉笑-新銭形平次
隅田川馬石-四段目
玉川太福(曲師:玉川みね子)‐三ノ輪橋とか、くる?
立川生志-百年目

 ◎ニコニコ公式生放送『WOWOWぷらすと』ストリーミング配信
  トークゲスト:東美樹、池田裕子


あたたかい季節になってきた。
こうなると、春らしい演目なのか、初夏らしい演目なのか、古典の演じ手は考えちゃう季節のはざま。それが5月。
毎月恒例となっている、ニコニコ生放送「WOWOWぷらすと」でのストリーミング配信はこの回となった。
生志師匠の定点観測的な意味合いもでてきた。
とはいえ落語は、お客さんと演者で作り上げていく芸。ぜひとも実際にユーロライブに足を運んでくださいね。
一人でも、そういった方がいてくださると信じて、演者さんにも協力してもらって成立している番組です。
番組スタッフにも感謝です。土曜返上で働いてくださっています。なによりも2万人近い視聴者と生のお客さんの前で演じる難しさを了承してくださっている落語家さんたちには感謝してもしきれません。


立川吉笑「新銭形平次」

トップの吉笑さん。
先月から封印していた、渋谷ならではのマクラ。とにかく「渋谷らくご」では毎回おなじツカミのバリエーション違い(マイナーチェンジ版)を出していて、個人的には「毎回新しい」という気持ちで楽しんでいる。
のだが、「オチ」がおなじだと多くの人が「おなじ」と錯覚してしまうのだろうか、「オチ」の部分がネタバレはじめると、そこがウケなくなっていく。しかし、本来このツカミが考案された経緯は「フリ」をマイナーチェンジできることの面白さだったはず。
開演前の池田裕子さんの「吉笑さんのあのマクラが楽しみ」というエクスキューズに急きょ応える形にはなったものの、ここで件のツカミが復活、相変わらず道中のフリに変化があってとても楽しかった。
そこから、引っ越しにあたり、はじめて自分でカレーを作ってみた、というマクラに。「人生初」の話は、その新鮮さをきちんと伝えてくれたら、だれの話だって私は大好物だ。「カレーを一晩寝かせる」という比喩的表現から、実際にカレーが起きてテレビを見ているといった世界に飛ぶのが吉笑流。このマクラも素晴らしかった。
吉笑さんは、ちゃんとマクラで「想像することに慣れてもらう」ことをしゃべってくれる。
会場を出て歩く想像、カレーを作る想像、カレーと話す想像。見事に、ホップ、ステップ、ジャンプになっているのだ。
ネタは、銭形平次が、銭を投げたあとに銭を拾っているのかどうか、といったところから着想を得たような、楽しい噺「新銭形平次」。
だれの心にもあるかもしれない「本音」と「建前」だとか、プライドとか、銭を投げることで起こる「もしかしたら平次はこういう悩みにさらされていたのかもしれない」といった、物語の裏側を読む楽しさ。笑いが多かったということは、共感した人が多かったんだろう。こういうパターンにも持っている落語家さんだから不思議だ。


隅田川馬石師匠「四段目」

この師匠のやる市井の人々はかわいらしい。芝居(歌舞伎)が好きで好きでたまらない定吉は、旦那に嘘をついてでも芝居を見に行ってしまうが、そのウソもちょろいものですぐにバレてしまう。蔵に閉じ込められておしおきされるのだが、その蔵のなかでさえも芝居のマネゴトばかり。呑気な噺で大好きだ。芝居の知識がなくても、「この人は本当に芝居が好きなんだな」ということが伝われば成立する噺。
こういった噺を、もしかしたらはじめて落語を聴く人、画面の前で落語を聴く人がいるとわかっている状態でかけてくださるその心意気が、本当にありがたい。
マクラの、時計がないはずの時代に時計を見るシグサをする、という失敗談も意図的だったかもしれない。
まったく文句のない、素晴らしい出来。これが「良いもの」と私は思っているし、それが伝わるまでずっとこの落語会は続けていくつもり。


玉川太福さん「三ノ輪橋とか、くる?」

緑の着物を着て、都電荒川線の「三ノ輪橋」駅商店街のとある純喫茶「フレンド」での、若者二人の会話。
そんな極小の出来事を、浪曲という仰々しい芸で歌い上げるのが、太福さんの醍醐味。
そんななかにも、ささやかな人の感情の揺れ動き、人情、会話になっている部分と、会話になっていない部分の心の会話があって、それを理解できる、日本人ならではの機微。そして、忘れたくない、失われつつある風景。
風景、人間二人。これだけあれば太福さんの浪曲は完成してしまう。
古典の楽しさも、新作の楽しさも、「浪曲」という魂を活かして表現してくださる。場内大爆笑。
「カッコいいイケメン」
「それ意味重なっているからさ…」「ここだけ聞こえてないのかよ」…などなど。おもしろフレーズ連発。
稀有な才能です。ホントにすごいスタイル。これは浪曲の「発見」である。


立川生志師匠「百年目」

旦那と番頭、またさらにその下の使用人。馬石師匠の「四段目」では、厳しいなかにも優しさのある、旦那と小僧とやりとりだが、この「百年目」はもうひとつ上の世代、大旦那と番頭のやりとり。
百年目は桜の季節の噺で、ちょうど桜が満開のなかを、どうしても外に出たくないという番頭を、芸者連が船で連れ出したら、まさかまさかの旦那に出くわすという噺。
しかし、あの花見の船のシーンでは、とくにこれといって緻密な描写がないものの、両岸に満開の桜、そして花びらがチラチラと散りつつ、なんなら水面を桃色にしているくらいの映像が、どうしたって想像される。しかし、それはとりもなおさず、私が日本人だからなのだ。
ちょうど、船のなかを閉め切ると「暑い」というくだりは、この時期にきくとちょうどいいのかもしれないけれど、寒い4月に聴いたら、春から夏への予感にも満ちて、とっても幸せな噺でもある。
ちょうど、川岸には「長屋の花見」の一同や、「花見の仇討」の面々も出てきたりして、遊び心満載の「百年目」だった。
理想の上司、あるいは部下の育て方、そんなキーワードも出てくるような、酸いも甘いも知り尽くした人こそ、上に立つべきなのかもなあなどと、いろいろ考えさせられる、気持ちのいい噺です。
さすがの生志師匠の「百年目」。人の優しさに、ジーンときます。番頭に説き伏せる直前に、使用人を説教するところが効いてて、良いよね!

太福さんが短めに終わったことで、引き出せた生志師匠の「百年目」だったかもしれませんが、まったく長さを感じさせない「百年目」でした。

んー、いい会!みんな好き!


 
posted by: サンキュータツオ | 渋谷らくご | 21:54 | comments(0) | trackbacks(0) |-
30歳の神田松之丞 #シブラク
5月の「渋谷らくご」、11日の月曜、20時の回は、特別な回です。

立川談奈/橘家文左衛門/春風亭一之輔/神田松之丞

「渋谷らくご」っていっているのに、講談の、しかも芸歴8年目の二つ目である、神田松之丞さんにトリをとってもらうことになりました。
松之丞さんは83年生まれ、現在31歳。
この4月に、DVDが発売になりました。



DVD実物↓

講談師 神田松之丞」(アマゾン)

素晴らしいDVDです。
松之丞さんの魅力を余すところなく引き出しているDVD。インタビューも収録されていて、今現在の松之丞さんがなにを考えているのか、非常によくわかる内容ですが、なによりも、「講談ってなんだ!? 落語となにが違うんだ?」と思っている方にもおすすめできる、講談初心者向けでもあるものとなっております。
もちろん、従来の講談ファンは、すでにこの天才の存在を知っていると思うのですが、神田山陽さんが忽然と姿を消してからというもの、男性の講談師にはもはや期待してはいけないのではないかという風潮すらあったなかに、この男が現れてからというもの、にわかに事態は変わりまだ講談の世界に入って10年経っていないこの講談師によって、講談界はおそらく今後数十年、この男を中心にまわっていくことになることを予見しているでしょう。

DVDに収録されている時点で、松之丞さんはあと二週間ほどで30歳だと言っている。
20代の男性講釈師は、唯一私だけだと、言っているのである。


このほど、「家元の軌跡 談志30歳」というCDを聴いた。


家元の軌跡 談志30歳」(アマゾン)

30歳のころの談志師匠の音源である。
源平盛衰記、らくだ、芝浜、蒟蒻問答……ハッキリ言って「震撼」の一言である。
なにより、当時の客席の教養の高さが高座からもうかがえる。
談志師匠は29歳で『現代落語論』を著し、その翌年。伸び盛りの芸というには、あまりにも完成された変幻自在かつ華のある高座。
わかんないところがあっても、楽しい気持ちにさせてくれるCDだ。
このあとの45年、いったい談志師匠はなにを考え、どう一席一席と向き合っていったのか、そんな途方もないことすら想像させてしまう。だって30歳でこのレベルって、どうよ!?っていう。もう普通に上手くなることには、そのうち興味なくなっちゃうでしょこれだけできちゃうんなら!という。

さて、松之丞さんのDVDを観て、この30歳のときの談志師匠を当時生で見ていたらどんな気持ちになっていたのだろうと想像していたが、もしかしてこんな気持ちなのかも、とすら思うほどに、私は30歳の松之丞さんを聴けていることは存外の幸せなのではないかと思っている。

謙虚さもあるがもちろん自信もある。
自分にできることがどこまでなのか、絶対的に信頼を寄せている師匠・神田松鯉に師事し、いま温かく見守られながら、ひとつの才能が開花している。
知識も、技術も、表現力も創作力も、さらには愛嬌もある。
松之丞よ、よくぞ講談を選んだ!と快哉をあげてしまうほどに、彼が見せてくれる可能性は無限に思える。

談志師匠が30歳のころから時代は変わり、観客の演芸に対する教養は年々下がっていっているのかもしれないが、それでも大衆に寄り添うのが演芸だ。
彼はときにはアジり、煽って自らを追い込んでいく。
彼を飛躍させるには、講談界は狭いのかもしれない。落語界にも狭さを感じているかもしれない。
松之丞さんは、つねに自分の存在を証明するために戦いつづける孤高な存在、ジャンルはちがえど、批評的でありながら実践的な、談志的な存在だと私は思っている。

そんな才能に、みなさんぜひ「震撼」してもらいたい。

松之丞さんと出会う縁があり、「渋谷らくご」に出演してもらう運びとなり、現在まで欠かすことなく毎月出てもらっているのだが、
彼が主催者の期待を裏切ったことは一度もない。
「一之輔師匠の出る回に出たい」、彼は最初にそう言った。
不思議なことに、まだ一度も一之輔師匠とおなじ会に出たことがないということだった。
そして「渋谷らくご」で共演は成った。今年の頭のことである。

そして私は先月のこのDVD発売を知り、トリをもちかけた。
文左衛門、一之輔の両師匠のあとの、トリである。
並みの二つ目なら押しつぶされてしまうところだろうが、すでにこの人はトリを務める力量と野心がある。

条件が揃えば、トリをとってもらいたい。
ずっと彼に言い続けてきたが、今月、ついに約束の時がきた。

もし、まだ神田松之丞という人を知らない人がいるのであれば、
講談だの落語だのというジャンルのことはいったん忘れ、規格外の人間を見るような気持ちで、
ぜひ一度彼を生で見に来てほしい。できれば、「渋谷らくご」という場所で。
ほかの場所ではなかなか実現できない、通常では考えられない位置で出すことができる、超法規的落語会だからだ。

この機会に、胸を貸してくださる、談奈さん、文左衛門師匠、一之輔師匠にも本当に感謝したい!

そして、こうなったからには、松之丞さん、お願いしますよ。
11日、お時間のある方は、この歴史的な会に足を運んでみてください。

DVDも会場で販売予定です。

 
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渋谷らくご(シブラク) 5月8日(金)~12日(火) プレビュー #シブラク #rakugo #ぷらすと
今月も「渋谷らくご」の時期が近づいてきた。
毎月第二金曜から5日間連続、
渋谷らくご
よろしくお願いします。

5月はこのような番組を組みました。
ちゃんと二つ目さん、若手真打を堪能できる贅沢な場所に入れておりますので、どうぞお楽しみに。

2015年5
8() 夕席
18─19
「ふたりらくご」
 
瀧川鯉八、立川こしら
夜席
20─22
「渋谷らくご」 柳亭小痴楽、春野恵子
春風亭昇々、柳家喜多八
9() 昼席
14─16
「渋谷らくご」 立川吉笑、隅田川馬石
玉川太福、立川生志
夜席
17─19
「渋谷らくご」 立川志ら乃、神田松之丞
昔昔亭A太郎、林家彦いち
10() 昼席
14─16
「渋谷らくご」 瀧川鯉斗、立川こしら
三遊亭遊雀、桂春蝶
夜席
17─19
「渋谷らくご」 笑福亭羽光、瀧川鯉八
玉川奈々福、橘家圓太郎
11() 夕席
18─19
「ふたりらくご」 立川吉笑、立川志ら乃
夜席
20─22
「渋谷らくご」 立川談奈、橘家文左衛門
春風亭一之輔、神田松之丞
12() 夕席
18─19
「ふたりらくご」 入船亭小辰、入船亭扇辰
夜席
20─22
「創作らくご」 瀧川鯉八、台所鬼〆、春風亭昇々
春風亭百栄、林家彦いち
開場:各開演時間の30分前。(出演者は予告なく変わることがあります)「渋谷らくご」は持ち時間は30分。
「渋谷らくご」は、二席目と三席目の間に、2
分間のインターバルが入ります。




「渋谷らくご」を楽しむためには、なんの知識も準備もいりません。
想像する脳みそさえあれば、どなたでも楽しめます!
少しくらいわからない言葉があっても、そういうのがあるんだなくらいに思って聞けば大丈夫。すべてわかる必要もありません。
 
私の仕事はこの番組を組むまで、なのですが、もういてもたってもいられず、今月も見どころなどを簡単に説明したいと思います。
落語気になってんだよ、どこ観に行けばいいかわかんないんだよね、という方から、
普段の落語会とは雰囲気のちがう「なにが起こるかわかんないとこ」を見てみたいという上級者まで、
全方位で、どの回も楽しめる番組に設計したつもりです。

「渋谷らくご」は二つ目と若手真打中心の番組ですが、講談、浪曲、漫才、そして中堅、ベテランの域に入る落語家の方まで出演しております。
どなたか一人でも気になって追いかけてくだされば、最終的には落語界全体を俯瞰して観られるよう、工夫しているつもりですので、まずはこの「渋谷らくご」をプラットフォームとしていただけるとものすごくうれしいです。

全体としての見どころは下記です。


▼どの回でも充実のトリ陣 11日は、松之丞がトリに挑戦! 持ち時間は全員30分!
8の喜多八師匠、
9日の生志師匠、彦いち師匠
10の春蝶師匠、圓太郎師匠
11日は、二つ目、神田松之丞がトリに挑戦、
12日の彦いち師匠 
どの日のどの回にいっても安定感抜群の師匠方がトリをとってお客さんを満足させてくれるはずです。
二つ目も真打も、持ち時間は全員30分! 思い切り力が出るぶん、たっぷり楽しめます。最初の出演者から楽しめる番組です。
 
どなたでも楽しめる、新しい落語「創作らくご」
現代を生きる人であれば、だれでもが楽しめる創作らくご。
今回は、彦いち、百栄両師匠に加え、台所鬼〆さんが初参加。無理やり創作の会にお呼びしましたが、なんとこの回のために創っているという情報も!? 鯉八、昇々というキャラクターの濃い創作の騎手たちが、どんなネタをひっぱりだしてくるのかにも注目!
ぜひお友だちをお誘いあわせの上、ご参加ください。
 
▼平日18時「ふたりらくご」にも注目
18時から19時までの一時間。ちょっと仕事を早めに切り上げてこられる人、学校帰りの学生、買い物の帰りに1時間、気軽に落語を聴くことができる平日の夕方公演。業界の価格破壊とも言われていますが、どうぞお友だちを誘ってきてください。
会社の午後半休とってでも来る価値アリ!
今月は「鯉八×こしら」の鬼才対決、「吉笑×志ら乃」の談志孫弟子対決、「小辰×扇辰」のプチ親子会、
どの回もみどころたっぷりです!
 

▼9()ニコニコ公式生放送『WOWOWぷらすと』で生中継
2万以上を動員し、90%以上の満足度を獲得する「渋谷らくご」の中継。
もちろんアーカイブには残しません。ストリーミング配信です。
出演者の方々にご協力いただき、ありがたく中継という段取りとなりました。ぜひ現場に来ていただきたいです。
落語はお客様と一緒に作り上げる演芸ですので! 
なお、ご来場のお客様はなんら気を使う人はありません。顔も映りませんし、無理に笑う必要もありません。あくまでメインは、会場にいるお客様です。

あとは、充実のラインナップ、具体的に見どころを手短に説明したいと思います。

※「渋谷らくご」には、二席目と三席目の間に「2分間のインターバル」が入ります。
これは、休憩ではなく、「脳を休める時間」です。
落語は脳をつかい想像し楽しむものです。普段あまり使っていない人でも、使っている人でも、2分休めると、より楽しめると思います。
※また、「脳の筋肉使用」の目安を三段階で設けました。初心者でも楽しめるかと思いますが、脳筋肉痛に注意してください。
※「渋谷らくご」は、開演してすぐ出てくる人から30分をお任せし、「トリ」のつもりでやってもらいます。出演者全員「トリ」です。また、出演順は年功序列ではありません。最初からトップギアでお客様を楽しませることをモットーとしております。
※開演前と終演後に「落語体験」というトークコーナーがある回があります。あくまでおまけのようなもので、いろいろな仕事の方をお呼びして、落語を生で体験し、現代人としての意見をうかがいます。お時間ある方はおつきあいください。
 
 
 
▼8 金 18:0019:00 「ふたりらくご」  脳の筋肉使用★★
瀧川鯉八 たきがわこいはち
立川こしら たてかわこしら
 
二つ目の鯉八さん、真打のこしら師匠。二人は否定するかもしれないが、この二人が今後の落語の空気感を決めていく存在になるのはたしかです。
 新作落語で、ほかにない独特の高座をすでに自分のものしている鯉八さん。発想の突飛さもさることながら、表現力も高くて、決していそがず、お客さんを置いてけぼりにしない。なにより「瀧川鯉八」という落語家をキャラクタライズしていて、演出力も高いと思うのです。こんなことを言うと演者さんはやりにくくてしょうがないと思うのですが、ハッキリ言っちゃいます。鯉八さんのキャラの作りこみ、すごいです。しかも、キャラを作ると、やれることに制限がかかってくるというのが芸人のジレンマなのですが、鯉八さんは決してそんなことはなく、むしろこのキャラクターでどんな噺もひっぱっていける、というくらい可能性を感じさせてくれます。
 かたや古典をお笑い的に解体するこしら師匠。素人だったら落語のここに違和感覚えるよなってところを、落語家になって十数年、いまだに持ち続けられる感性。こういう人の解釈によって、落語は延命していくのです。
 評価が定まらない才能のことを、世間は「鬼才」といいます。この「ふたりらくご」は、「鬼才らくご」です。
 
 
▼8 金 20:00〜22:00 「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★★★
柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
春野恵子 はるの けいこ
春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
柳家喜多八 やなぎや きたはち
 
お名前だけはずいぶん前から耳にしていましたが、春野恵子先生の浪曲をはじめて聴いたのはNHK Eテレの『NHK東西浪曲特選』という番組で、とんでもない存在感と歌唱力に衝撃を受けたのですが、彼女が大阪を拠点にして活動していることを知って、すぐに生で聴きたいと思ったものの地団駄を踏んだのを覚えています。その後、西荻窪の浪曲祭りに出演なさるという情報を得て、恵子先生目当てに赴いたさいに、玉川太福先生の新作浪曲にも出会うことができ、この「渋谷らくご」にも出演していただいているというわけです。
生の恵子先生の歌声の迫力たるや! そして浪曲のなかにある日本人のリズム感、テンポ感、すべてが心地よいのだと、彼女は教えてくださいます。そんな恵子先生が、「東京も活動拠点にします」という宣言があり、急きょ出演をお願いしました。無理なお願いにも関わらず、気持ちよく出演を決めてくださいました。
東京の若い人にはなかなか触れることがない春野恵子の浪曲、ぜひ堪能ください! 
  小痴楽さんの元気のよい落語、昇々さんの爆笑落語。威勢のいい二つ目さんで恵子先生を挟みます。そしてトリは喜多八師匠。毎月ぼやきながらも出演してくださっている、温かい師匠です。最高の落語です。
 
 
▼9日 土 14:00〜16:00「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★★★
立川吉笑 たてかわ きっしょう
隅田川馬石 すみだがわ ばせき
玉川太福 たまがわ だいふく
立川生志 たてかわ しょうし
 ◎ニコニコ生放送にて、生中継!ライブストリーミング
 
 立川生志師匠は50歳を超えてもなお30代のパワフルさと謙虚さで、古典落語の世界を極めつつある、観ていてとても気持ちよくなる演者さんです。立川談志師匠のお弟子さんで、談志師匠の独自の教育方法のなかで、二つ目昇進に9年かかり、決して順風満帆な芸能生活のスタートとはいえないのかもしれないけれど、二つ目昇進、真打昇進と、ひとつひとつの「壁」を乗り越えるたびに、談志師匠のエキスと教育が滲透していくよう。生志師匠の骨太な落語にファンも大勢いらっしゃいます。とっても丁寧な落語で、だれが聴いても楽しめる、味わいのある落語です。
 いっぽうおなじ立川流でも、二つ目の吉笑さんの落語は新時代を予見するような、まだ落語が掘り下げきれていない「ロジックの面白さ」を追求する落語。落語という芸能の懐の広さを感じてもらいたいと思います。
 また、隅田川馬石師匠の落語は、無駄のない、それでいて想像するのに必要な情報はたしかに織り込まれている、小気味いいリズムの落語。大好きです。玉川太福さんの浪曲とともに、多くの人に知っていただきたい芸です。
 当日は、「WOWOWぷらすと」の生中継でニコニコ生放送で配信されますが、会場にいらっしゃる皆様は、気にしないでくださいね。
 
 
▼9 土 17:00〜19:00「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★★
立川志ら乃 たてかわしらの
神田松之丞 かんだまつのじょう
昔昔亭A太郎 せきせきていえーたろう
林家彦いち はやしや ひこいち
 ◎落語体験 劔樹人(ミュージシャン、漫画家)
 
 攻めている人だけを集めたらどうなるのか。この回はそんな「攻めの姿勢」の回です。
 若手真打ながら、常に挑戦の手をゆるめない志ら乃師匠。来月にはこの「渋谷らくご」で創作らくごのネタおろしにも挑戦しますし、先月は「まくら王」でトリをとり、前に出たすべての演者のまくらを回収する古典落語を披露するなど、その才能にまだ限界が見えません。声優さんをゲストにして落語をやってもらうとか、『落語心中』を勝手に落語化してしまうとか、仕掛け上手。
 松之丞さんは講談界の希望です。講談界で唯一の若手男性ということで、注目も浴びますが、決して古典の世界に安住することなく、「講談は宝の山」と豪語する肝っ玉。常に落語ファン、講談ファンを刺激し続ける演目と技術で、これからの演芸界を背負ってたつ男です。
 A太郎さんは、新作落語の魔王、昔昔亭桃太郎師匠の門下、師匠譲りのバカバカしい芸風を色濃く継承しつている二つ目さん。創作でも笑わせるだけではなく、聴かせるパターンも持っているという、何が出てくるかわからない魅力のある落語家さんです。
 そして彦いち師匠。中堅の位置にさしかかっても、いまなお創作意欲おとろえず! この「渋谷らくご」でも創作らくごの会を牽引してくださっている、まさに「攻め続ける」真打です。
 この攻めるメンバーを聴いていると、演芸界は希望しかない!と確信するにちがいないです。
 
 
▼10 日 14:00〜16:00 「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★
瀧川鯉斗 たきがわ こいと
立川こしら たてかわこしら
三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく
桂春蝶 かつら しゅんちょう
 ◎落語体験 中井圭(映画解説者)
                                        
先月の鯉斗さんの高座「暴走列伝」には、とにかくときめいた。高校時代、暴走族の総長だったエピソードを30分に渡って展開、「これこのままずっと聴いていたい!」という気持ちにさせる不思議な語りの魅力。この演者さんは、ニコニコさわやかに、あっさりとキラーフレーズを連発する、見ているだけでも楽しい気持ちにさせる華があります。小さくまとまっていないところがなによりも大好き! ぜひそのスケール感の大きさと技術力のアンバランスさに、ひやひやしていただければと思います。ヤンキーが落語やってるんですから! こんなドキュメントありませんよ!
 かたや桂春蝶師匠、落語研究会出身とかのハンパな落語エリートではなく、芸人の家の子という、まさに本物の落語エリート。子ども時代に父親の先代春蝶師匠や、亡くなった枝雀師匠、そしていまの鶴瓶師匠などとひっきりなしに接していたわけであるから、芸人の醸し出す「匂い」をずっと嗅いでいる人です。そんな師匠の高座は、品があってわかりやすくて無駄がない。だれが聴いてもわかりやすい思いやりと、統制のとれた語り口から自分への厳しさを感じます。
 前半の素人っぽいドキュメント落語の流れから、後半の遊雀師匠、春蝶師匠へと色っぽくなってく様をお楽しみください。
 
 
▼10 日 17:00〜19:00「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★★
笑福亭羽光 しょうふくてい うこう
瀧川鯉八 たきがわ こいはち
玉川奈々福 たまがわ ななふく
橘家圓太郎 たちばなや えんたろう
 
 圓太郎師匠、高座からはやさしいオーラが漂っていて、ここ最近の「渋谷らくご」のなかでも圓太郎師匠の出る会はお客さんの反応が一番あったかい、なんて評判です。が、圓太郎師匠は努力と気合の人、もとは福岡の出身で、ヤンキーでしたが、売れっ子の小朝師匠に弟子入りしてから、方言を直したり忙しいなかをぬって稽古、稽古の日々。なによりすごいのは、マラソンもやるしトライアスロンもやるし、そのぶん酒は飲むし、という「気合い」がほとばしっている生き方である。温厚だと思ったら大間違い、なかにはまだまだたぎるもののある、第一線の落語家さんなのです。その師匠の柔和な部分と剛健な部分、どちらも落語に反映されているから楽しいんでしょう。この日はなにをしてくださるんか、楽しみですね!
 浪曲、玉川奈々福さんは浪曲界でも活発に活動している演者さんの一群にあって、他のジャンルの演者さんとの他流試合もさることながら、小説やアニメの浪曲化など、他ジャンルの「浪曲化」などにも積極的に取り組んできた、挑戦者。そんな苦労は表情からは微塵も感じさせませんが、どうやったら浪曲をひとりでも多くの人に身近に感じてもらうのか、ずっと考え続けている芸人さんです。古典の浪曲も、他ジャンルの脚本を経験するたびに、むしろさらに磨きがかかっているようにも感じます。羽光、鯉八という鬼才が暴れ倒したあとに、どう転がっても大丈夫な人たちが後ろにいる安心感。4番がしっかりしているチームの1、2番がむしろ楽しみです。
 
 
▼11 月 18:0019:00 「ふたりらくご」  脳の筋肉使用★★
立川吉笑 たてかわ きっしょう
立川志ら乃 たてかわ しらの
 
 立川談志→立川談笑→立川吉笑と受け継がれた、異端の遺伝子。狂気の遺伝子。
 立川談志→立川志らく→立川志ら乃と受け継がれた、気骨の遺伝子。目立ちたがり屋の遺伝子。
 おなじところをスタートとしながらも、孫弟子になるとかくも変わるのかということを、この二人を観ているとまざまざと感じるわけです。20時からの談奈さんなんかは、談志→左談次→談奈というラインでとらえると、寄席の遺伝子とか、正統の遺伝子だといってもいいわけで、若い落語家さんでも、目指す方向性によって、かくもちがいがでてくるものかと、しみじみしちゃうわけです。
 といっても、吉笑さんと志ら乃師匠、年齢でいえば一回りくらいちがいます。キャリアももちろん全然ちがいます。ですがあえて二人で番組をお願いしたのは、志ら乃さんが上の人にも下の人にもライバル意識を燃やして全力で落語と向き合っているからです。志ら乃師匠は才能に敏感です。それが年上だろうが年下だろうが、つねに才能のあるところに興味をもって突進していきます。先入観もありません。そのひたむきさを、心を打たれます。そして、吉笑さんはまさに、そんな志ら乃師匠を刺激することができる年下だと思います。おびやかしてほしいです。なんなら潰してほしいです。志ら乃師匠を食っちゃってもいいんです。
 そんな激突が見れたらいいなあという、「ふたりらくご」です。
 
 
▼11 月 20:00〜22:00 「渋谷らくご」  脳の筋肉使用★★★
立川談奈 たてかわ だんな
橘家文左衛門 たちばなや ぶんざえもん
春風亭一之輔 しゅんぷうてい いちのすけ
神田松之丞 かんだ まつのじょう
 
松之丞よ、よくぞ講談を選んだ!
先月末に発売になった松之丞さんのDVDを拝見して、改めてそう思うに至りました。高校時代に圓生(えんしょう)の落語を聴いて興味をもち、立川談志師匠に傾倒しながらも、最終的にたどり着いた「講談」。自分に合っていると直感したという自信も気持ちいい。演者には、うぬぼれと謙虚さとが常に同居していないといけない。「講談は宝の山だ」と言い切る松之丞さんは、講談というベンチャーに飛び込んだ若者だと思っていいと思う。2007年に入門して丸8年、講談界はいまこの若者の双肩にかかる。オレがやればそれはすべて講談。落語じゃなくて講談なんだと言い張る感じ。たまらない! こういうスターを待っていた。
「一之輔師匠とまだ一緒になったことがない」と言っていた初登場時。次には一之輔師匠のヒザ(トリの前)をお願いしました。しっかりと会場を沸かせてくださったし、その後もこの「渋谷らくご」には人一倍の熱意をもって臨んでくださっています。「条件がそろえば、トリでお願いしたい」、将来のある若い人が、力のある真打がしっかりと脇を固めるなかで、トリを任される。こんなに楽しみな機会はありません。文左衛門師匠、一之輔師匠の激突も楽しみですし、一之輔師匠がこの位置であがって、松之丞さんにどうつなげるのか、これも楽しみでなりません。
断言します。この回は歴史になります。松之丞さんのための回にしました。師匠方、談奈さん、お願いします!
 
 
▼12 火 18:0019:00 「ふたりらくご」  脳の筋肉使用★★★
入船亭小辰 いりふねてい こたつ
入船亭扇辰 いりふねてい せんたつ
 
扇辰師匠の落語に流れる時間は、非常に濃密です。一言ひとことだけなく、目の動き、しぐさにいたるまで意味がしっかり乗っていて、なにも考えずとも、師匠を観ているだけで情景が浮かんできます。それはとてもとても気持ちのいい瞬間です。理屈ではないのです。見て、聴いて、五感で味わう落語。
 先月の「三方一両損」という演目では、財布を拾った江戸っ子が、財布を落とした江戸っ子のところへ届けにいくというくだりから、なぜか二人が喧嘩になる、というくだりを、ほほえましくもじれったく演じてくださいましたが、もうこの二人の仲の良さといったら! 本当は根っこから似たもの同士だからこそ、反発しあっている感じがホントにおかしくって、涙が出てきました。なんでしょう、そういう「幸せの空間」に連れていってくださるのが、扇辰師匠なのです。基本的に、性善説の落語なのです。
 もちろん扇辰師匠にもお弟子さんがおります。今回お呼びした小辰さん、「渋谷らくご」は初めてなのですが、ご自分の言葉で落語の世界を表現している、気持ちのいい演者さんだと私は勝手に思っています。
 今後も何十年と堪能したい「入船亭」という屋号の芸。私はこの二人を観ていると、もうほかになにもいらないってくらいになっちゃうと思います。はじめて落語聴きますって人に、聴いていただきたいお二人です。プチ親子会。
 
 
▼12 火 20:00〜22:00 「創作らくご」  脳の筋肉使用★★★
瀧川鯉八 たきがわ こいはち
台所鬼〆 だいどころ おにしめ
春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
林家彦いち はやしや ひこいち
 
 創作らくごの会。なぜ落語家は創作するのか。古典だけを追求する日々を選択することもできたのに、なぜ創作をするのか。
 それは、今日この会場に来るお客さんのため。落語に興味を持っている若い人たちのため。明日落語ファンになるかもしれないあなたのお友だちのため。古典もいいけど、創作もアリなのが落語という芸能の懐の深いところ。
 日々、お年寄りを相手にすることのほうが圧倒的に多い方々にも関わらず、創作に打ち込むのは、作ることが好き、楽しませたい、自分の存在を証明したい、まだ落語にはこういう可能性があるんだ、などなど、いろんな理由があるはずです。
 今日のこの場に集ってくださった落語戦士たち(なんてダサい表現なんだろう!)は、ずっと戦っています。古典だけをやっている人が戦っていないというわけでないのです。ただ、登場人物の名前が現代的ではないというだけで、あるいはしゃべっている言葉が現代ではないというだけで、話を聴いてくれない人たちがいます。舞台がなぜ江戸なんだ?なんでいま昔の話を聞かなきゃいけないんだ? そんな疑問を感じる人たちに、いや、こういうのもあるんだぞ、と胸を張って言える根拠を、この人たちは作ってくれているのです。
posted by: サンキュータツオ | 渋谷らくご | 02:06 | comments(0) | trackbacks(0) |-