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ホロッコについて2015:20日、21日はホロッココレクション 
18日の丸屋九兵衛さんのトークイベント、大変面白かった。
私には、勝手に盟友だと思っている人たちが何人かいて、どういう肩書の人であれ、また世に出る出ないに関わらず、この人と出会えて良かったと思う人とは、積極的になにかをしたいと思うし、できればそれが、わずかな金銭だけでも発生する仕事であれば一番健全だと考えている。

そういう意味でいうと、ホロッコというコンビは盟友だと私は勝手に思っている。盟友だし、仕事仲間。私とはそんな関係が心地よいふたり。これが単なる「ともだち」だったらつまんない。
そんな彼らが単独ライブを明日、明後日と行う。
今回はいままでとは毛色の違うものになっているみたいなので、ここからのホロッコはまた見ものだと思うのでぜひ見落さないでほしいと思う。
ホロッコというプロジェクトを追うなら、まだ乗れる船だという意味で。



いままでとちがう点
・自主主催ではなくなった
・プロデューサーをおいた
・何本かネタを人に書いてもらった
・会場が変わった

ホロッコはこれまで毎年、新宿のシアターモリエールという劇場を自分で借りて2公演にわたって単独ライブを行っていた。
これをひとまずやめて、興行的に人に任せてみる、という選択肢をとったことがなにを意味するかを考えたい。
こういうことはライターも好事家もなかなか書かないことなのです。わかんないし、そこつっこまないから。取材もしないし。でもお客さん的には「こういうところが演者の、そして興行の見どころなのか」ということを押さえる点で時間つぶしに読んでもらえればなと思う。

だって、ノーマルな芸人であれば自主主催なんてしないし、だいたい事務所か制作さんがいて単独を打っている。
自主主催なんて、非大手の、しかもいい意味で事務所の締め付けや管理がゆるい我々周辺くらいである。
ライブを自主制作することのメリットとデメリットはいくつかあるけれど、自分でやってみてスタッフワーク、あるいはプロデューサー的な視点を獲得していくことはひとつの大きなメリットだと思う。告知や予約や舞台監督、受付や舞台袖、映像編集、招待客管理……さまざまなこともふくめて、そこに人が関わっており、どういう想いでライブが運営されているのか。知らないでそのままの芸人は多い。
でも、知っているだけでスタッフワークの大変さが身体で理解できているから、「ありがとう」の一言がでてくるかどうかって、その人が売れるかどうかってことと結構大きく関係していると思うのだ。当然、スタッフの出来・不出来もすぐに判別できてしまうわけですけれども。
そんな自主主催単独「ホロたん。」シリーズを毎年秋にライフワークとして続けてきた。あのシリーズがなくなるわけではないが、ひとまず今回一回こういった単独を仕掛けるには、それなりの理由があると思う。

単刀直入にいえば、ホロッコはいま「ほかの人から見えている自分たち」を積極的に受け入れつつある。

私が出会ったのは、考えてみれば2005年とか06年くらいだったと思う。
きっかけは当時私が制作していた「漫才バカ一代」というライブシリーズに、サンドウィッチマンのお二人をゲストに呼んだときだ。
ホロッコのほり太さんは、彼らの事務所の社長だった。
つまり、私とホロッコとの出会いは、ゲストの事務所の社長と社長夫人という形での出会いだった。
ほどなくして彼らが夫婦でお笑いコンビをやっていることを知り、彼らのネタも見るようになった。ライブも何回か一緒になった。
私はホロッコのネタが好きである。

当時は感覚的に、そして現在はけっこう強烈に意識して考えていることだが、私は長くて3〜4分というお笑い芸人のスタンダードなネタ尺に懐疑的だ。
もちろんテレビサイズを意識することは大事だが、みんながそれに合わせていてはライブにいく意味がひとつなくなるし、時間をかけないと表現できない笑いも少なからず存在する。当然テレビ向きということを考えると味つけや手数が多く・濃くなるのが必然なのだが、お笑いにも薄味、かくし味の「味の奥行き」がある。それを表現するお笑いも私は好きだ。その極め付けが落語だと私は思っているのだけれど。
だが、そういったお笑いはすべからくテレビシーンからもライブシーンからも無視されている。せめてライブシーンでトレンドを牽引している人たちにはこういうことをちょっとだけでも考えてくれたらなと思うのだ。コンテストで勝ち抜くものだけがすべてではない。

そしてホロッコはまさに、せめて7〜8分は味わってほしい薄味のお笑い、だと当時思った。
この人たちは声を張るツッコミはしないし、なんならそんなにウケないのを知りながら絶対に変えないボケが存在していたりする。
ただ笑わしゃいいってもんじゃなく、美学をもっているのだ。
ホロッコのネタはどれも好きだが、私の好きなネタにマッサージ師のネタがある。
サラリーマン扮するほり太さんが、出張先のビジネスホテルでマッサージ師(こまりさん)を呼ぶというネタだ。
登場から冗談とも本気ともつかない発言を繰り返すマッサージ師に、ほり太さんはさも実際のサラリーマンが言いそうなセリフから組み立てていく。けっして「なんでだよ!」「失礼だろ!」みたいなツッコミはしないのである。当然そうしたほうがウケるのはわかるのだが、ここはお笑いリアリズムの勝負どころ、我慢のしどころである。
リアリズムが根底にあって、距離の詰め方がリアルなぶん、喧嘩みたいなツッコミはしない。

ところが、ネタの途中に、横になってと言われ横になり、こうやってこうやってとマッサージ師の指示にしたがって動くと最初に座っていた姿勢に戻るというボケがある。そこでサラリーマンははじめて「オレは座椅子かっ! 座椅子のちょうどいいポジションを逃したから、いったん畳んでカチカチカチの、座椅子か!」とツッコむ。けっこうテクニカルかつ、あるある要素も盛り込んだツッコミだ。

はじめてサラリーマンがマッサージ師との距離感を詰めるように見える場面である。
(※なお、現在は冒頭の部分が拡大されわりと序盤に距離が詰まり、この部分は落ち前にくる構成になっている 2015.09.20追記)

私はこのくだりがこのコントのもっともおもしろいところだとかねてから思っているのだが、ウケたところを一度も見たことがない。何回も見たけど、なんでかウケない。
ただ、ここは作り手としては大事な箇所で、これを境にサラリーマンの発言はじょじょにツッコミ然としていく。シーンは変わらないけれど、ひとつのネタに「人間関係の距離感の変化」が盛り込まれている野心的なネタだ。

トレンドやコンテストでいうと、変わった設定だったり、展開が意外だったりというアトラクション感満載のネタが歓迎されている。それもおもしろい。だが、こういうワンシーン作り込み主義のネタを軽んじてはいけない。大味だけがお笑いの核心ではない(この表現は大味も魅力と言っているのに等しい。念のため)。

ホロッコのネタは小津さんシリーズをはじめこういったネタが中心になっている。
微笑ましいやりとりが多いぶん大きい笑いや連なる笑いに展開しない側面があるのだが、この際トレンドはどうでもいい。かと思えば、微笑ましいふたりだと思っていると急な角度からハイセンスなボケが出てきて不意をつかれることもある。だが、それはそれでお客さんはビックリしてウケない。それが求められてもいない。
私は思う。なんでこれ伝わらないの!? このアンバランスが面白いのに!
私はこうしてプレイヤーとしてのホロッコにハマっていった。とはいえ、どうやらお笑い界隈で彼らを評価する声はそんなに多くなかった。

キャリアでいえばホロッコは私たちよりも先輩で、ほり太さんに関していえば談志師匠の弟子でもあったこともあり(決して素行が悪くてやめたわけでもなんでもない、円満な辞め方だった模様)、作家もやったり、芸能事務所の経営者という側面もあったので、人によっては芸人として付き合い方の困る人もいたかもしれない。
だが、私にとってみては、米粒写経のネタを理解し評価してくれる数少ない業界関係者でもあり、また一時期は事務所と業務提携していたこともあって、芸人とマネージメントの双方の事情を深く理解している、心やすく相談できる人たちであった。

いろいろなことがあり、彼らはひとまず経営者として一度休むことにして、私たちのいるオフィス北野に入ることになった。
ライブもともに運営し、これまでのノウハウを共有している。トレンドを分析し若手を育成するシステム(フライデーナイトライブ)にも参加してもらっている。
キャリア10年以上の芸人同士が、腹を割って意見交換することなどあまりできないかもしれないが、私たちはこれまでの関係を築いてきた流れで、売れていく戦略や自分たちに必要なことまで、忌憚なく意見を出し合っている。

そんなときに毎月定期的にやっている勉強会でホロッコが言い出したのが「売れたい」ということであった。
つまり、まずは商品として成立しないと、自分たちのやりたいネタも見てもらえない、ということである。
では、いままでずっとやってこなかった、むしろ自分たちから一番縁遠い、やりたくないことをやってみようではないか、ということで、コント一筋だった彼らに漫才をやることを進言した。ネタもみんなで考えた。彼らはやった。
これまで夫婦であることをかたくなにネタにしてこなかった彼らに、夫婦であることだけでなく「仲良い夫婦」であることを前面に押し出した、ツッコミ一切なしの、声の大きい漫才をやってもらったらどうか。そんなことからイチャイチャ夫婦漫才は生まれた。

もっちゃってた美学は美学として置いておき、薄味だけじゃなくて大味でわかりやすい味もちゃんと出せるレストランに彼らはなろうとしたのだ。あくまでも売りたい商品への導入のために。
ちなみに、ホロッコというレストランの統一のテーマは、「観る人を幸せな気持ちにさせる」であると私は思っている。

夫婦の漫才を仕掛けるにあたって、私は島田夫妻というコンビを、エール橋本(東京ペールワン)と仕掛けたことがあった。一時的には成功し、彼らを大手事務所に所属させることはできたが、芸人経験が少ないことと芸人としての自意識が芽生えたことがあって、目指す方向性が変わった経験をしていた。

ただ、ホロッコに関していえば、どこでどういう技術が求められ、このネタでなにを目指しているのか、即座に理解できる「経験」がある。
これは名刺代わりのネタとしてある程度は成功していると言っていいかもしれない。予定では昨年のTHE MANZAIの認定漫才師に残るはずだったのだが、近いところまではいった。メディアにも何度ものったネタになったし、わかりやすい武器として、世間に存在と名前を認識してもらうものとして、イチャイチャ漫才は今後も開発を続けていくだろう。

こうしてそれまで芸人として売れることを半ばあきらめかけていた、あるいは経営者という視点で遠慮していた部分を、じょじょに解禁して、かたくなさもじょじょにほぐれていき、柔軟に人の意見を取り入れていく考え方も、「ブレ」とはちがうものとして受け入れるようになっていった。
こうした雰囲気は、フライデーナイトライブで醸成してきたものである。マキタさんがじょじょにセルアウトしていき、また別に東京ポッド許可局が知られるようになってきて、私たちが、よちよち歩きながらも直接経験して「集合知」としてなんとなく蓄積してきた、大手からしてみたら「当たり前」のこと。それを身体で感じるようになってきている雰囲気が、近くにいる彼らにも波及しているのだと思う。
ただ、セルアウトが目的ではなく、セルアウトしたのちにライフワークして続けていくだけの「なにか」を持っている彼らだからこれができたと私は思っている。

渋谷コントセンターという、興行的には渋谷らくごと並んでまったく褒められたものではないライブが昨年できて(私は関係者ではないので私にクレームは言わないでくださいね)、「芝居とコントの中間のような、長尺コントができる人を探している」というのですぐにホロッコを紹介した。ふたをあけたらプロデューサー不在、制作不在、観客不在という、渋谷らくごとおなじ運命をたどるまったくの丸投げ興行だったので、紹介して申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、ここでホロッコはその世界観を圧倒的なものとして証明したと私は思っている。
コンテストありきでつくる芸人のネタは、短尺のネタを繋げたものでしかないが、ホロッコは短尺のものを繋げてもそうは見えない。あるひとつの世界のなかでの一話完結のドラマを観ているような作品を提示していた。

これは、彼らのキャリアのなかで、ひっそりと、しかし着実に築き上げてきたものだ。

渋谷コントセンターはいよいよ行き詰って制作を任せる段取りで継続している(ようにみえる)。
とはいっても、すでにコンテストやテレビ番組で評価されている人たちを寄せ集めて客席を埋めるのでは、まったく意味がない。
そこで立ち上がったのが、勉強会のメンバーでもあるワクサカソウヘイさんだ。今回のホロッコのライブで制作、つまりプロデューサーワークを一手にひきうけてくれた、これも芸人であり作家であり小説家でもあるという複層的で最高に面白い人物。

芸人さんには、ネタと稽古のことだけを集中して考える環境を作らなければならない。
それが裏方の理念である。ワクサカさんも例外ではない。この、世間がまだ認識しきれていないホロッコというお笑い界の粗い網の目が見落してきた存在を、ひとりでも多くの人にという想いで、ホロッコをそうした環境に置いてくれている。
それはマネージャーの仕事ではないのかという至極もっともな疑問もあるだろう。ただ、規模の小さい事務所のスタッフは多くのタレントを抱えて馬車馬のように働き続けているし、制作の経験もない、というか制作が存在しないので、いま私たちがその経験を注入しているほどである。文句ではなく、フラットな意見として、現状、頑張ってくれているので、これ以上多くは望めない。
そうした環境にいる芸人を、表舞台に引き上げていくのが、裏方の最高の喜びではないのか。ワクサカさんはそう考えているんだと思う。すでにある程度の名のあるコンビに食指を伸ばしていないのは、そういったことではないかと推察する。やるならもっと別のステージにひきあげるイベントを仕掛けることだろう。それはそれで見てみたいけど。

ワクサカさんがやったのは、ネタをホロッコではない人たちに書いてもらい、その人たちに興味を持っている人たちにもホロッコを知ってもらおうという仕掛けである。
ホロッコを好きな人も、作家が好きな人も、双方楽しめる仕掛け。メディアでホロッコを知った人でもすんなり入り込める入口である。
それが、今回の「きみといつまでも」である。

自分たちではまず発想しないものをやる。それも、自分たちの良さを引き出そうと書いてくれた人たちのネタを。
こんなに幸せなことはない。いいなあ。



私はこうした活動が、いずれはホロッコの本来のネタの核である「小津さん」シリーズや、単独ライブ「ホロたん。」シリーズへと還元されていくと信じている。
小津だけのコントを60分やる単独とか毎年観たいし、そこにゲストを入れたり、それこそだれかにネタを書いてもらうこともあっていい。ホロッココレクションから人気シリーズが生まれることもあるかもしれない。

イチャイチャ漫才を起点として、メディアとライブでの存在を連続的に、立体的にすることで、コンビとしてのライフワークの道筋を立てていけるかどうか。

コンテストやテレビに依存し、タレントとしてのゴールしか見てこなかった芸人たちのなかには、活動の在り方を見失っている人も多いと思う。
でも、自分の力で切り開いてた土地に、ほかの人の種をまいたり、一度土地を預けてみたりして、最終的に肥えた土地にしていくこともできるってこと、彼らに見せてもらいたいと思っている。

これだけのキャリアの芸人が、いまだ進化を続けているという例を、あまり見ない。
いま一番見るべきときなのかもしれない。

会場は、そういったわけで渋谷のユーロライブ。両日とも14時からだ。予約はここ
 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 01:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-
二次元界隈のいくつかのイベントで考えたこと
9月はアニメ関連のイベントの仕事がいくつかあった。
(月末にも先行上映の司会の仕事はひとつある)

私はアニメが好きなほうである。
アニヲタってやつだ。
ありがたいことに新聞やテレビでアニメを紹介する機会を与えられるくらいには。
「自らオタクって言わないのが本物のオタク」っていう美学というか、「上には上がいる」ことは重々承知なのだが、そうでも言っておかないと、「てめー全然しらねえで適当なこと言いやがって」と事情を知らない人が怒ったりすることもあるので、はりけ〜んずの前田さんほどではないけれど、そこそこは知ったうえでやってますよ、という意味で言うようにはしている。
ま、事実誤認や単純に知らないこともまだまだたくさんあるのだけれど。

アニメが好きだって言ってるとありがたいことにイベントの司会の仕事っていうのもきたりすることがあり、それもいままではできる限りお引き受けしてきた。が、近年ではスケジュールが合わなかったりすることもあって減少傾向にある。
とはいえ、私がやる場合は、すでに「作品を知っている人向け」のクローズトイベントだったり、作品発表後のファンイベントだったり。つまり、限りなくファンに近い立ち位置の司会、というくくりの司会なので、そんなに登板機会は多い方ではない。
また、この手のジャンルの司会者といえばこの人、みたいなお決まりのルーティンもあって、N放送のYさんとか、声優業界の表現者さんであり司会ができるWさんとか、あとは芸人の先輩である前田さんとかがそうであって、私は基本的にはそういう人たちがNGだった場合のバックアップってことで、そもそも扱いが雑だったり、オファーが急だったりガチガチの台本があがっててまったく自由がなかったりで、それほかの人でもいいよね的な仕事もたまにあったりするので、いまは積極的には引き受けていない。「仕事選んでるのかい偉そうに」と言われればたしかにそうかもしれません。仕事選んでます。
単独で渋谷公会堂埋めた私が、そんな仕事していたら私じゃなくて芸人が舐められるわけですよ。やりたいからやる、じゃダメなわけです。やりたいけどやらない、っていう選択をしないと結果的に生きていけないのです。基本的にはフリーのアナウンサーとか司会業を専門にやっている人とか、予算がなければ制作スタッフさんや出演声優さん、あるいはその近くにいる人たちやライターさんなどでまわして、無難なイベントになかでキャストががんばるという構図で充分満足度の高いものになると思うし、私にとってもまったく自由のない進行台本をただ読んで時間の管理をするだけでは、まったくうまみもない、どころかキャストのしゃべる時間を削る作業もしなくてはいけないので嫌われるリスクのほうが高い、下手したらデメリットのほうが多い仕事になる場合もある。ただでさえアニメ業界の人は、入れかわりが激しいゆえに、私のことは「ヒマなアニヲタ芸人」くらいにしか認識していないのです。
だから、私はあまり司会の仕事を積極的にはやっていないのです。

「だれでもやれるものではなくタツオしかできない楽しい進行にしつつ、キャストよりは絶対に目立たず彼らや作品を輝く環境を作る」というタスクは、人が思うより難しい仕事です。
芸人だったら目立つたがりだし、キャストをくってしまいかねない。オタクを使って作品を愛する人たちと共有しようとすると進行ができない。専業司会者を使うと作品世界を理解していない。そうなると、作品を理解してくれていてキャストや作品を輝かせる「ほどよい」さじ加減がわかる人が司会をすることになる。そうなると声がかけられる人は限られてくる。
アニメを好きだと公言してそれを売りにしようとしている有名人はたくさんいるし、まわしの技術が高いかどうかはわかりませんがやりたいという人はいまはたくさんいるので、予算に合わせた人を呼ぶことになると思うので、そういう人たちがやればいい仕事だというのが、いまの私の基本的な考えです。
私はどんな仕事でもストイックに自分にしかできないことを求めちゃいがちですけれど、そういう人がそもそも求められていない現場のほうがほとんどだし。いまはまず声かけてこないですよふつう。

私のなかでイベントの司会は、仕事ではなくてご褒美だと思っているので、あんまり収入とかそういうところで目当てにしてません。それをやることを糧にしていると思われてしまっても困るし、また作品を紹介する立場上、ヘンに勘繰られるのもさびしいので、非大手の後輩に紹介したりしている。
昔からのお付き合いのある方とか、進行の自由と段取りの的確さがあれば、喜んでやりたい仕事ではある。生意気いってる自覚ありますが、そういうスタンスでいないといつまでも「だれでもいい仕事をする人」になっちゃうので言ってくことにしてます。はい、事務所には迷惑かけてます。

が、そんななかで興味があってお引き受けしたのが『SHOW BY ROCK!!』というアニメのスピンオフイベント。
これはサンリオが仕掛けたゲームが、クロスメディア展開としてアニメも制作しているものである。
で、扱っているのが「バンド」。劇中には何組かバンドが出てくるのだけれど、当然そうなると楽曲もあるわけで、劇中歌型アニソン展開も視野に入れているモデルである。
また、主人公はガールズバンドなので視聴ターゲットは男性かなーと思わせておいて、主人公とおなじ事務所に威勢のいい男性バンドがいたり、そのライバル的存在のアイドルバンドがいたりと、女性ターゲットも視野に入れててターゲットが広いのも特徴。なんならターゲットの相互乗り入れもできているし。ゲームやってる人からしたら、主人公を選べたりもするわけで、仕掛ける側としては回収すべきマーケットはゲームのほうが大きいわけだからそうなるのは当然といえば当然。
で、さらにその男性バンドにはリアルにバンドやボーカルとしても活躍中の、人気・実力ともに脂乗りまくりの第一線声優を起用しているからこれは注目しないわけにはいかない。
具体的にいえば、「シンガンクリムゾンズ」のメインボーカル「クロウ」役にGRANRODEOで活躍中の谷山紀章さん、アイドル的バンド「トライクロニカ」のメインボーカル「シュウ☆ゾー」役に、アーティストとしても活動している宮野真守さんが起用されているのである。スケジュールをおさえることだけでも大変なこの人たちをホールドしたってことに、サンリオの本気度とかリーチしているマーケットの広さがうかがえる。

6日には、そんなクロウの生誕祭、という名目のイベントが行われた。シンガンクリムゾンズのメンバーが勢ぞろいだ。
紀章さんとは何度もイベントや現場でご一緒してきた。
が、私は基本的には声優さんと仲良くはしない。
進行の打ち合わせと舞台上以外では、そんなに距離を詰めない。
仲良くなりたいわけじゃなく、彼らに、進行を気にしないレベルでイベントに集中してもらうことが重要なわけで、仲良くなってしまうとその弛緩した雰囲気が舞台上に出ちゃうんじゃないかと思って、自分からは積極的に傍にいかない。こっちはただでさえ芸人だからしゃべったら仲良くなっちゃうわけよ! そこを我慢よ!
ただでさえ何回かイベントでご一緒していくなかで、どういう感じの人かお互いわかっていくわけで。

当然、仲良いほうが安心して本番に流れ込むことができる場合もあるだろう。内輪受けもファン向けイベントなら悪くない。進行上トークをぶったぎって悪役になることも必要なのだが、それも仲良いほうがいいかそうではないほうが無感情にできるのか、よくわからない。
ただ、私は緊張関係がない仕事がしたくないだけかもしれない。しゃべるのは舞台上だけ、舞台上に現地集合現地解散、本番一発勝負。それが理想なのだが、芸人のねじまがった根性だろうか。
基本的にはそういうスタンスなのだが、紀章さんは、私にとっては数少ないNBAマニア仲間なので、すこーしだけNBAの話をするくらいだ。
ただ、現場ではそれも控えるようにしている。

紀章さんはGRANRODEOでの活躍も凄まじく、単独でも軽々と武道館埋めるレベルなのに、数多くのアニソンイベントにも積極的に出演している。
音楽活動をしている声優さんはたくさんいるが、紀章さんほどの熱い男は、音楽と声優を両方やってクオリティが落ちたとか絶対言わせないために、単純に人の二倍、あるいはそれ以上の努力をしていると私は思う。そんななかNBAを見ているなんて…!(泣)余談はさておき、それだけでもすごいのに、このイベント。なんとクロウとして8曲も熱唱したのだ! 自分が祝われる側なのに!
8曲って! もちろんレコーディングしただけでもすごいのに、覚えて、練習をし、リハーサルをし、動きもつけて生歌をうたうのだ。この日のために!

いやもうホントすげえって! 尋常じゃねえって! 40歳ですぞ紀章さん!
カッコよすぎるわ!



舞台上でクロウにプレゼントされたケーキ。スタッフさんの準備もたいへん。




さて、シンガンクリムゾンズにはライバル的なバンド「トライクロニカ」がいる。アイドル的人気を誇るバンドだ。
このバンドは3人編成。メインボーカルは宮野真守さんだ。このスピンオフイベントの司会もした。
ガンダム00の刹那、デスノートのライト、うたプリのトキヤ、スタドラのタクト、シュタゲの岡部倫太郎…こちらも数え上げたらキリがない。
「主役声」とでも言おうか、シリアスからコメディまでまんべんなく対応でき表現の幅も広くて飽きない。おまけに舞台ではサービス精神も旺盛、愛嬌もあって歌がうまい。背が高くてかっこいい。ミスターパーフェクト。
声優業だけでも多くの役をこなしているのに、アーティストとしても活躍し、こちらも多くの観客を持っている。そこへきて劇中バンドの楽曲を熱唱。
こちらのスピンオフのイベントは「ファンミーティング」という形で行われたが、歌と比べてトークが楽かというとそうでもない。つかうエネルギーがちがうのでカロリー消費はそうとうだ。それでも2回まわしのイベントを全力でやってのける。
プロ意識が猛烈に高くて、まったく口には出さないけれど、視界に入ってくるものに対していろいろ考えていることが、私はなんとなく感じる。なぜなら一流の人たちはみんなそうだからだ。人に厳しく自分に厳しい。本当はそうであるべきだ。



会場にはファンからの花も!




舞台そでにはマイクスタンド。本番前の生ナレーションはここでやっているのだが、これだってそうとうな分量の台本を本番一発でミスすることなく共演者とも息ぴったりで合わせるのだから、プロとはいえエネルギーはいるだろう。

我々芸人とちがって普段仕事しているときは客前に出ることはない声優さんだが、宮野さんや紀章さんくらいになると、忙しいときはほぼ毎週末どこかでイベントに出演する。そして、キャラクターを背負って世界観を表現し、その上でお客さんを楽しませる。
それでも質は落ちるどころかあがっていく。

宮野さんは30代前半、紀章さんは40の大台に乗ったばかりだが、そんな彼らはまだ10代の役を不自然なく演じている。
95年以降のアニメ量産期を経てからデビューした声優さんの人口はずいぶん増えた。声優さんの仕事も増えた。スクールもできた。ただそのぶん淘汰も激しい職業になっている。しかもそのなかで音楽活動を並行して行う第一線の声優さんが、どう年を重ねていくのか、我々はいま最初のケースに立ちあっている。
彼らの広げてきたマーケットはどこまで大きくなっていくのか。

声優さんもほかのジャンルの表舞台で活動する人たちとおなじく、キャスティングの権限はない。
そうなると、役に恵まれるかどうかは、努力とはまた別のものが作用しないといけない。運だ。
もちろん運を引き寄せる努力も必要なのだが、ただ声をあてるだけでなく音楽を絡めることでキャスティングしやすくなる、結果「どうしてもこの人じゃないと成り立たない」ところまで行けば、役を引き寄せる主導権を握れるかもしれない。
制作側としてそれでは困る話だが、演者や事務所の理屈として認めないわけにはいかない。大勢の人が関わるビジネスに政治はつきものだ。
男性声優の彼らがこれまでにないモデルとして先人になっていく。20年前には多くの人が想像できなかったことを想像した人だけが、いま目の前にいる。さらにこの20年後、50年後、100年後、二次元界隈のビジネスモデルと声優の在り方がどう変わっているのか。非常に楽しみだ。


彼らとはまったくちがう世代の声優さんのイベントでも司会をした。
女性声優の大橋彩香さんである。
大橋さんとは昨年まで『アニメロライ部』というニコニコ動画の番組で一緒にお仕事していました。
知り合った当時は19歳。9月13日が誕生日で、毎年バースデーイベントを開催しているようです。
今年は誕生日当日の13日に。
これまでのイベントは170人、700人と一年ごとに規模を大きくしてきて、今年は1700人!
アイカツ!や、アイマスでの活躍も目覚ましく、音楽活動も忙しくしている。



ライブでのステージングとかMCどうしよっかなとリアルに悩んでいる彼女の姿を見てきただけに、この1年だけでも相当な進化を見せていて、若い力の底知れなさを実感する。
ちょっと会わないうちにめちゃくちゃ歌うまくなってやんの。こういうと失礼だけど。決して前が下手だったとかいう意味でなく。「魅せたうえで聴かせる」歌になってるの。すごいよね。

大橋さんが興味深い存在なのは、ホリプロの人であるということ。
既存の声優事務所の人ではなく、いわゆる芸能事務所が声優ビジネスを仕掛けていること、そしてその先端にいる存在というところが、大橋さんの存在のおもしろさだ。
タコツボ化している二次元ビジネスのなかに、大メジャーの手法を知り尽くした事務所が参入し、現場の若いマネージャーさんがかなりがんばって彼女を育てている。お天気おねえさんをやる声優さんが出てきたり、バラエティ番組をやる声優さんがいたり、民放の番組のナレーションの仕事も多様化してきている。そうなると、声優を売り出したのち三次元地上波のノウハウや人脈をもっている事務所はこれまでにない強みを発揮できる。司会者やアナウンサーの椅子さえ脅かしかねない。ニュース番組のアシスタントにだって声優はなれちゃうかもしれない。そういった未来があるかもしれないからこそ、こののちの声優業界の勢力地図を少しずつ変えていく小さな種になるのかどうか、この人の存在は楽しみなのである。タレント性充分だもん!人を幸せにするパワーあるし。
もちろん声優さんとして活躍し続けることは期待している。女性声優で30歳以降になるといかんともしがたい世代交代が起こるはずだから、そこからが勝負。
そんなことを考えながらも、そのことと大橋彩香さんの魅力はまったく別のことなので、私は仕事で出会った縁もあって、彼女のことはずっと応援していきたいと思っている。






ホリプロの岡部さん。
去年のバースデーイベントのはっぴを着ている。
アニソングランプリでお会いした方と、こうして現場で再会できるのはうれしいことですなァ。


アニメは純粋に作品が好きで見ているだけなのですが、長年見続けると、こういう仕事もいただけるんだなあとしみじみ。何度も何度もやってきたけれど、それでも私にとっては「ご褒美」。

どのイベントにも共通しているのは、
とにかくお客さんが素晴らしいこと。
キャストが目の前に出てくるだけで、大きな声と拍手で盛り立て、笑顔で、目を輝かせて一挙手一頭足に注目している。
どのジャンルのイベントでも、これだけ幸福感に満たされていくお客さんの顔を見ることはそうそうない。

私は、イベントでは正直いなくてもいいほどの存在で、お客さんとキャストのみなさんとのコミュニケーションの現場に、なんか仲人的な感じで「必要とあらばなんか言う」くらいのもんでしかないし、その自分の存在の軽さがけっこう気に入っているのだが、
やってて良かったと思うのは、こうした「大勢の人が幸福に包まれていく笑顔」を間近で舞台上から見ることができたときだ。

お客さんから放たれる幸せのオーラを少しだけ拝借して、明日への活力として自分の活動に還元したいと思える。
舞台上にいる人はこんな私の何十倍もお客さんにパワーをもらっているにちがいない。


2015.09.19
posted by: サンキュータツオ | †二次元ぷにぷにコラム(2009年10月〜) | 22:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-
9/18丸屋九兵衛さんのライブに聞き手で出演
丸屋九兵衛さんは、「米粒写経のガラパゴスイッチ」にも何度も出演していただいている。
わが相方・居島一平とおなじく、私の知る、数少ない「どういうカリキュラムを組んでも、確率論では生まれてこない知識人」の一人である。
どんな話題でもおもしろい。知識や知恵が連続的であり、真実がキャッチ―な言葉でまとめられるほど単純なものではないことを教えてくれる論客である。

その丸屋さんがしばらく前からトークライブをなさっている。
私は彼のことを同志だと思っているので、応援していたのだが、このたび聞き手(丸屋さんはスペシャルホストとかよくわからないことを言っている)としてお呼ばれし、宣伝してくださいとしつこいのでここで宣伝します。

イベントは9月18日
丸屋九兵衛トークライブ【Q-B-CONTINUED vol.3】with サンキュータツオ
というものです。
場所は代官山。時間は19:30からだそうです。
細かいことは、上のサイトを目を皿のようにして読んでください。

よく読んでもなにをしゃべるのか、そして私はなにを聞くのかナゾ。
そして丸屋さんがどこに向かっているのか、どうなりたいかのかもナゾ。

すごく私がいることがプッシュされているようなありがたい告知なのですが、
念のため言っておきますと私はなにもしゃべるわけではないので、
このまだ見ぬ才能をとことん味わうつもりできてください。

ただ、このカオスっぷりが台湾ぽい丸屋さんの持ち味。
そう、「一見わかりにくい」才能こそが次代を制します。
愉しみだね!

 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 17:52 | comments(0) | trackbacks(0) |-
栄養と料理10月号(創刊80周年記念号):連載と特集
現在私が「このコトバ、国語辞典に聞いてみよっ」という連載をしている『栄養と料理』(女子栄養大学)。
10月号は80周年記念号。80年!!
すごい雑誌です。いろんな荒波を乗り越えてきた雑誌なんだろうね。




私の連載、今月は「タラコ」という言葉について、新明解国語辞典の有名な語釈を紹介しながら、国語辞典のビビッドな表現について書きました。



なお、今月は6ページにもわたり、「料理のことば探偵団!」という特集が組まれており、そこにも調理学の松本仲子先生と一緒に登場しております。
いやこれ私たちも編集さんも超大変でした。ですが労力に見合う内容だと思います。永久保存版。



料理研究家列伝みたいな特集も超おもしろい!

2015.09.20
posted by: サンキュータツオ | 書き物 | 04:53 | comments(0) | trackbacks(0) |-
テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』出演:勝手に放送後記書いてみた
本日、テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』に出演しました。

出演してみた、みたいな雰囲気なのでしょうか。
今回は、TVタックル初の試みとして、博識なたけしさんでも知らなそうな世界のことをみっちり調べて、自分で知って、なにを聴かれても大丈夫な状態でその世界をレポートするというお仕事をさせてもらいました。
Youtubeで活動しているYoutuberさんに密着しました。
計4名、ロケ4日、収録1日という、暇だからこそできる贅沢な仕事といっていいでしょう。毎回出会うYoutuberのみなさんが、魅力的なこと!
やっていることはもちろんですが、アイデアとパーソナリティが備わっているからこその人気ある人たち。
さすがのパワーと愛嬌です。

こんなことを言ってはなんですが、地上波からスターになるという夢がなかなか見られなくなった以上、最後のジャパニーズドリームはYoutubeやニコニコ動画といった動画サイトにあるといっていいでしょう。
いま現在、たこつぼ化しているので知らない人は知らない、知っている人は熱狂的なほど知っている、という人たちが増えています。

最初にご紹介したたいぽんさん@TAIPONfilmsは、
めちゃくちゃイケメンかつナイスガイ。受けキャラっぽい優しさと笑顔のキュートさ。これは女性ではなくてもファンになるし、愛嬌があってタレント性もある。しかも体張る!
https://www.youtube.com/user/taibon1205 

バンドもなさっているし、大人気者!お祭りにフラっといったら、人が押し寄せちゃってもう歩けない、といったほどのスター。
取材した日のたいぽんさんは、除毛剤を使って全身の毛をとってみる、というものでした。私タツオもお手伝いしました。
ファンのみなさんすみません、タイポンさんの素肌に触れてしまいました。



すんごいおもしろい人でした!
知り合いからもらった簡単なハンディカムで撮影、編集もノートパソコンでサクサクと。
初期投資が少なく、楽しんで作品を発表するスタイルはYoutuber共通のスタイルですが、
たいぽんさんくらい人気な人はさすがにアイデアが勝負、
ということで、どんなネタをやるかに常に脳みそを使い続けます。
これは大変な労力です。
しかし、最終的には人柄、パーソナリティを楽しんでもらうというところまでいけば大成功!

続いての方は、教育ユーチューバ―の葉一さん@haichi_toaru。
https://www.youtube.com/channel/UCzDd3Byvt91oyf3ggRlTb3A …
もともとは「授業してみた」のしてみた系の方。



収入格差が教育格差になってはいけない、という理念で、塾講師や学校教員にはならずに、ユーチューバ―に。感動!
放送にはのりませんでしたが、ロケでは、葉一さんの未来へのビジョンを聴いてスタッフ一同感銘を受けました。
どのタイミングからでも勉強をはじめられるキッカケになるという意味では、ユーチューブでの教育は将来的にも可能性大です。
葉一さんも撮影はいたって簡素なもの。ハンディカムを置き、その前で講義をやるスタイル。
実際の授業だって一回きりなんだから、撮影もズルしちゃいけない、ということで、基本一発撮りだそうです。
奥さんやお子さんがいるなかで、Youtubeに未来を賭ける姿はホントに印象的です。
机には「2015年度の目標」という張り紙があり、そこに書いてある目標を着実に達成しているのもすごいと思いました。
葉一さんは昔はいじめにあっていたそう。とてもそうは見えないのですが、不条理な理由で集団から排斥された経験がある人は、おなじ経験をする人に言葉をかける資格を得るし、人の希望にもなりますよね。
強く生きてらっしゃいました。


放送の随所で、いろいろ教えてくださっているのは、Yutube認定コンサルタントの坪田さん。
丁寧に収益の仕組みを解説してくださいました。
同世代だったのにびっくり!若く見えるけども!
実は収録当日も間違いがないよう立ち会ってくださいました。
坪田さんによると、子ども教育用の動画は、坪田さんによると視聴者のなかでも大きなシェアを占めるそう。

「踊ってみた」動画で有名な愛川こずえ@aikawa_kozueさん。
初歩的な質問にも気さくにこたえてくださいました。
自宅で撮影していたころ、弟さんが動画で、自分の家に似ているということに気づき、家族に発覚したという話がおもしろかったです。
「踊ってみた」は、ニコニコ動画文化でもありますよね。
この方は私は知っていました。巡音ルカの人ですよ!
初音ミク ProjectDIVAという、私がやりこみすぎてPSP、PSVITAをぶっ壊したゲームがあるのですが、そのゲームのモーションキャプチャをやっている人です!


(取材当日、目の前で収録していた動画です)

愛川さんは昔ひきこもりだった頃、自宅で自撮りでダンス動画を投稿してしていたところから、現在の世界的な活動につながっている、まさにジャパニーズドリーム!
愛川こずえさんのファンとして紹介されていた、動画撮影のもりりんさん@moririn5656。
実は動画撮影、編集はもうプロ並みで、その道では有名な方です。
スタッフも感心するレベルでの手並みの良さ、撮影機材の立派さ、そして愛川さんとの適度な距離感! スタッフの鏡!
ファン、という言葉にしちゃうと上下関係的なものをイメージするかもしれませんが、実際は、撮影者と表現者はここでいうチームといいますか、活動支援者というか、ボランティアスタッフといいますか。
非常に対等な立場です。
もちろん主役は愛川さんだし、決定権もすべて愛川さんにあるのですが、どういう色味だとか、カメラワークなど、専門家としてそこは一任されています。
分業化が明確なのも、このジャンルの特徴かもしれません。

食べられていないYoutuber代表として紹介したヘタレBボーイさん@HetareBBoy。
https://www.youtube.com/user/HetareBBoy
しかし彼とて実は人気にYoutuberです。



安定したお金の収入にはつながらないかもしれませんが、言いたいことをはっきり言うタレント性の塊のような方でした。
口から生まれてきたかのような、リズム感満載のしゃべり。
ニート期間が長かったそうです。
中学、高校と海外で過ごしたこともあり、日本人には違和感のある自己主張ぶりかもしれませんが、実物みたらみんな一発で好きになりますよ!
絶対人気でると思います。『5時に夢中』とかでコメンテーターやったら大ブレイクするような雰囲気の人です。
自分の考えにこだわらずに、素直にそうだと思ったことにまっすぐな熱い人なのですが、そこがブレてると誤解されるんでしょうか。
仕方ない部分もありますが、一回会ったらすぐに好きになっちゃう芸人ぽい人でした。

また放送ではお伝えしきれなかったのですが、ほとんどの方が動画一発撮りで、編集に時間をかけているということ。
編集にもそんなに時間をかけないという方もいました。
あるいは、愛川さんのようにお任せできるスタッフにお願いするとか。
でもテイクも多くは重ねません。
これがリアルな映像として伝わる理由だなと思います。

以上私の『TVタックル』、レポート補足でした。
視聴してくださった皆様、誠にありがとうございます。
メディア的にもデバイスがスマホやPC、タブレットに移行するなか、動画メディアの未来を考えるいいキッカケになりました。
いま、ジャパニーズドリームは、ネット動画にあると思います。
これを地上波でお伝えするというジレンマが楽しいところなのですが、
昨今のAMAZONが動画配信サービスはじめる、などのニュースを見ても、
ネット動画が多様化してくると、最終的にはテレビジョンという動画視聴デバイスはまだ強いのかもしれません。
ただ、テレビが家にない若年層が増え続けると、この先どうなるのかわかりません。

とはいえ、お笑い芸人が全国ネットのコンテスト出ても生きていけない現状と比較してみても、
Youtuberはまだジャパニーズドリームあるなと思えてきます。
考えてみれば、一発撮りの生々しさ、まるでクラスの人気ものが全国的な人気者になるといった感じは、
テレビでいえば、昔ならとんねるず、最近だと「水曜どうでしょう」の大泉洋さんでしょうか。
Youtuberは、そんな人たちの後継者なんだと思います。
オタクカルチャーにせよ、エンタメや音楽にせよ、
広告収入の根拠の確からしさからして、今後も伸びるジャンルなんだなと実感しました。
これがまだ10年の歴史だなんて…。

考えさせられることが多いロケでした。
ボケ一切なしでした。

9/1

 
posted by: サンキュータツオ | フィールドワーク | 01:51 | comments(0) | trackbacks(0) |-