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◆衿沢世衣子『シンプルノットローファー』
漂う文学的味わい。
忘れるかもしれない、忘れられない、少女たちの青春。

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衿沢世衣子(2009)『シンプルノットローファー』太田出版 900円+税

表紙をご覧になればおわかりの通り、女子高生を主人公にした漫画です。
オムニバスの短編漫画、本編は『クイックジャパン』で連載されていた漫画だそう。
作者は「えりさわせいこ」さんという方だそうです。

BLに続き、百合漫画にも触手を出しつつある私は、ある日突然、本屋の「その匂い」のする棚周辺をウロウロしていたのであるが(そうとう勇気のいることです)、この漫画は百合でもなんでもありません。
平積みされていたのですが、表紙のデザインの良さと太田出版!?という意外性に思わず手に取りました。

女子校を舞台にした、クラスメイトたちのささやかな日常。
本編は、おなじクラスにいる何人かの女の子たちを、各話ごとに主人公にしていて、短編でありながら、全く違う話ではない形、クラスでのポジションであるとか関係性が見えながら、「さっきの漫画で見切れていたあの子、どんな子なのかなあ」と思いながら、ちゃんとアンサー回があったりしてとても読みやすい。

ドラマチックな話はひとつもなく、本当に彼女たち一人ひとりが、年をとって思い出すようなエピソードがあるとか、そういう類のものではない。
忘れてしまうかもしれない、忘れられない青春。
同窓会などがあったときに、ふとだれかが「そういえばあの時〇〇ちゃん、あんなことあったよねえ」と言われて、ギリギリ思い出せるかどうか、といった、ささいなデキゴト。
それでいて、すごくキラキラしている、あの多感な年齢の頃の小さな思い出。

友達と、ちょっとだけ距離が縮まったとか、話しているうちに少しだけ考え方が変わったこと、クラスでのお調子者が、本当はこんなことを考えていたかもしれない、とか。
なにかが起こりそうでありながら、なにも起こらない感じ。
でも確実になにかが変わっている感じ。

一昔前なら、「文学」と言われていた短編小説的な味わいを、見事に漫画でやってのけているとすら思う。

特筆すべき、各短編の「結び」、終わり方が非常に文学的なのです!
もう、一編ずつ、読み終わるたびに、本を持ちながら「く〜っ」と言ってしまうほどたまらない結び!
うなりますよ。

5編目の「フリーキック」という話では、体を動かすのが大好きな、スポーティー元気っ娘が主人公。ナカジというあだ名の女の子。
真冬でみんなが寒がっているのに、みんなに「サッカーやろうよ!」とか一人で言って浮いちゃうのです。
いろんな失敗をして、仲間からも煙たがられ、不運も重なって落ち込んじゃう。先生や友達に叱られちゃうナカジ。
むしゃくしゃして掃除中に逃げ出す。
「なんだよ、みんなして」
植え込みの木陰に、いじけて隠れちゃうのです。
隠れているところでは、クリスマスのツリーの点火。
「うわー、クリスマスのにおいだ」
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ気分が変わったナカジ。
クリスマスのにおい、って表現がにくいねコノ。
しばらく木陰でじーーとうずくまっていると、クラスメイトたちがナカジを発見。
「あー、いたナカジー」
「ナカジ!!」
「ごめんね 今日ひとりで叱られ役させちゃって」
みんなが口々に声をかける。
そのうち、友達の一人が「忘れものだよ」と言って、サッカーボールを「パス!」と言ってナカジに投げるのである。
するとナカジは、「はいっ!!」と言って、木陰から飛び出し、そのボールを笑顔でトラップするのである。
最後のコマ、ナカジは楽しそうにボールをけりながら、友達に「帰るよー」と言われて腕をひっぱられているのである。

はあ、なんていい結びなんでしょう!

是非、漫画における「結び」の妙を体感していただければと思います。
オススメです!
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 22:18 | comments(1) | - |-
◆橘紅緒・宝井理人『セブンデイズ』
このBLだけはマジでやばい!
だれでもハマれるBL、『セブンデイズ』!

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原作:橘紅緒 作画:宝井理人(2007〜2009)『セブンデイズ』大洋図書 各630円

「俺とつきあってよ 芹生」
高校三年の篠 弓弦(しの ゆづる)は、月曜日の朝、弓道部の後輩である芹生冬至(せりょうとうじ)と校門で出逢う。
学年を問わず女生徒に人気の芹生は月曜日の一番最初に告白してきた相手と必ずつきあい、週末に必ず別れると噂されている。
一週間限定の恋人――
弓弦の軽い気持ちから出た一言でつきあうことになったふたりだが……(裏表紙より抜粋)

さあ!
この設定だけでもう最高じゃないですか。なんですかこのキャッチーな売り文句は。

超モテモテ男子高校生は、月曜日に告白してきた女の子と付き合って、週末には別れるってんですから。
それでだれからも悪口言われてなくて、付き合ってもらった女の子たちはみんな、「いい夢見させてもらったー」なんて言ってんですから。

そんな後輩の存在は知ってたけど、あんまりしゃべったことねえなあ。ここはひとつ、興味本位でどんなやつか探ってやろう!
なんて思って「付き合ってよ」って、言っちゃいますよ、だれでも!
(だれでも、はないか)

こうして、弓弦と冬至の付き合いがはじまるんですよ。
二巻完結で、このほど下巻のほうが発売されました。
上巻は、『セブンデイズ MONDAY-THURSDAY』、
下巻は、『セブンデイズ FRIDAY-SUNDAY』、
ですよ。
一週間の話を、3年間の連載ですよ。
『24』よりも楽しい展開だと思いますよ。

ボーイズラブ、つまりBL、そのなかでも私が好きな「あんまりエッチじゃないBL」、体以前の純愛、でございます。
鉄板。

しかも二人が入ってる部活なんだと思います?
弓道部ですよ!

ナイスな男が、胴着着て、弓を射ってんですから!
しかも、同性に恋をして、いつも的中する的にあたんなかったりするんですから!

もはや、同性とかそういうのを通りこして、彼らがする葛藤は、
「同性ゆえの葛藤」というよりは、
「恋ゆえの葛藤」。
そして「最初に一週間ってなんとなく決まってるんだよなあ」という葛藤。

そう、この漫画の良いところは、別に同性じゃなくても成り立ってるプロットなんです!
でも、この漫画の良いところは、それでも同性じゃなきゃいけないところなんです!
男女の関係だとここまでの味は出ません!
なぜだ!?
なぜなんだ!?

なぜに同性同士が仲良くしていると、癒されるのだ!?
しかも三次元じゃなくて二次元に!

私のBL道、百合道はまだまだ続きそうです。


ともかく!
この漫画はいい!
『同級生』(中村明日美子)とかにキュンとこられた方には、是非読んでいただきたいですな。
似てはいないですが、方向性としては、あの「キュン」です。

さあ、あなたなら、この展開、どう物語を折りたたみますか?
考えながら読むともっとおもしろいですよ!

BLとか興味ねー!
という方にも、是非オススメの一冊です。
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:28 | comments(4) | - |-
◆磯谷友紀『本屋の森のあかり』
すべての文芸好きにオススメ!
小説のおもしろさもわかる、「本LOVE」の漫画!

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磯谷友紀(2006〜)『本屋の森のあかり』講談社コミックス KISS 400円

本好きなら誰もが心弾む本屋さん。
そこに、やさしくて博識なメガネ男子と、クールなメガネ王子がいたら……?
大好きな本の森で、個性あふれる書店員さんといっしょに新米スタッフのあかりは、どんな物語を織りなすの――?

第1巻の背表紙の紹介文を抜粋しました。
主人公のあかりちゃんは、岡崎の書店で働いていた本屋さんの社員。
それが東京の大きな書店に異動に。
東京の書店は、岡崎の本屋とは違って、冊数もスペースもハンパなくでかい。
本が好きで好きでたまらないけれど、どうしても仕事が遅いあかりちゃん。
でも間抜けなところはあるけれど、いつも前向きな姿に、元気づけられる人も多いはず!

なんか、そういう主人公の性格も、三河人を代表しているといえなくもないのだけれど、
まずこの本の肝は、
各話のタイトルが、実際にある本のタイトルになっており、
その本が、なんらかの形で話の一部分に入っているという演出。

たとえば一巻だと、

「マザーグース」
「いばら姫」
「ロビンソン・クルーソー」
「永訣の朝」
「デイビッド・コパフィールド」

の5話で構成されています。
読んだことのある人は、「ああ、そうそう、そういうのだった」、
読んだことない人は、「なるほど、そういう話なのか」
と、共感、発見できるという、開かれた文芸紹介本にもなっているのである。

これが漫画で描かれている、ということに、私は新しさと時代を感じざるを得ないのである。

これは逆説的にだけれど、
昔、文芸的なことをやろうと思っていた人は、小説を書いていたけれど、
実はいまはもう、ほとんどの才能が漫画に流れていると私は思う。

漫画には、文章もある。
そして絵もある。

これがなにを意味するかというと、
「絵で表現できることは絵で」
「文章でしか表現できないことは文章で」
というすみわけを生んだと思うのです。

むろん、漫画の文章といえばセリフが大半を締めるのですが、
実際問題、「悲しい」とか「嬉しい」という言葉を使わない小説が上質なものとおなじで、
漫画も、「悲しい」とか「嬉しい」とかは、登場人物たちは言わない。「絵」で表現されるからである。

漫画というメディアが登場することによって、
文章は、文章でしかできないこと、という必要性を、強制的に問われ始めているのである。

漫画家たちは、小説家とおなじく、ストーリーを考え、プロットを組みたてる。
しかもその上に、コマ割をし、作画する。

圧倒的に、小説家よりも作業量が多い。
これは文学に携わるものはみな、認めなければならないものであると私は思ってる。

誤解のないように言っておきと、私は文学を否定する気が毛頭ない。
文学は滅びない。
しかし、いまの文学は、むしろ漫画にある。それも圧倒的な量である。

文章でなにかを紡ぐ人は、もっと「文章でしか成しえぬもの」を追求しなければならない。
私が芥川やフランスヌーボーロマンを支持するのはそういう理由からであるが、
果たしていまの小説家たちは、漫画をたくさん読んでいるだろうか。
いや、その前に、この漫画に出てくる小説を読んでいるだろうか。

「芸術」といわれているものには、それが、それ以前の作品への批判であり、批評でなければならない。そうでなければ、新しさを保持できないからである。
それがなければ単なる消費物でしかない。

漫画は、長らく大衆の「消費物」という認識でそのポジションを保持してきた。
それはそれで悪いことはない。
消費されることこそ、新しさも求められるからだ。
それはお笑いとておなじこと。

しかし、この漫画は、そういう意味ではいままでの「文芸」、そしていままでの「漫画」に対する批評本としても読める。
しかも硬い話ではなく、すんなり楽しめる、だれでも読める、そういった形で、である。
つまり、「芸術」の域に達していると私は思っている。
一気に五巻まで買っても、2000円である。
ちょっと高い単行本一冊くらいの値段である。
これでは小説は売れないのは当たり前ですよね。


本店にいる、1日10冊の本を読む草食系メガネ男子の副店長も激萌え!
昔は私も、こういう人になる予定……だったのですが…。
小説はもうほぼ卒業しました。

是非、読んでいただきたい一冊です!

ちなみに、私の好きなエピソードは、漫画棚担当のオタク女子アルバイトの女の子が、すごく仕事ができるアルバイトで、当然社員のあかりちゃんよりも売り上げに貢献していたりするのですが、実はその副店長のことが好きで、副店長の同人誌を描いて、そのファンが書店に副店長を見に来る、という話。
しかもその同人誌を本人に見られる、という『げんしけん』荻上さん的なディープ展開もあるのですが、そんなにジメっとした感じの描かれ方をしていなくて、大変好感もてました!


超おもしろい漫画です。
一生続けばいいと思います。

講談社「ONE MORE KISS」連載。
現在、5巻まで既刊。
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:46 | comments(0) | - |-
◆羽生善治『決断力』
全国民がこの天才に酔いしれるべきである!

これは、ある一人の天才の思想書だ。

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羽生善治(2005)『決断力』角川oneテーマ21 686円

私は、この時代に生まれ、「いまこの瞬間、おなじ地球の息を吸って生きている」ことにすら感動した天才が何人かいる。

一人は古今亭志ん朝であり、一人は立川談志であり、一人はあずまきよひこであり、一人は庵野秀明であり。
「10人の天才」と言われたら、それだけ何時間も悩めそうなくらい嬉しいテーマなのですが、上位三人に必ず入るのは、将棋の羽生善治。

私は天才ではないので、天才に憧れがある。
天才が普段、どんなことを考えているのかに興味がある。

そんなわけでこの本を手にとったわけであるが、ベストセラーなのですでにご存知の方も多いとは思う。
表向きは将棋を知らない人でも楽しめるようにしたい、ということで、出版社の人も悩んだのであろう、「決断力」というタイトルにはなっているが、私はずばり「羽生善治の頭の中」というタイトルでも良いと思っている。

もちろん、内容は将棋のことを知らなくても理解できるものとなっているので、全国民必読といっていい。
内容は本当におもしろい。

およそ、世の中で「天才」といわれている人たちは、「バカ」といわれている人たちとおなじで、ずいぶん頭のなかが自己完結している。しかしそれにはそれなりのロジックがあるのである。「バカ」と呼ばれる人たちもおなじなのですが、ロジックがないだけ。
天才とバカは紙一重、なんて言われているが、紙一重を正確に言い換えるならば、論理的か否か、ということだけである。

天才には、自分の考えていることを言語化する能力がある。
これはスポーツ選手もおなじで、言語化、というのは再現化、ということと同義である。
自分がなにを考えて、なにをしたのか、結果どうだったのか、ではどうしていればもっといい結果が得られたのか。

そういうことをきちんと言語化できるからこそ、天才と呼ばれる人たちは、常にトップの成績を残し続けることができる。要するに「いい感じ」を再現できるのである。

羽生善治は、将棋界にある7大タイトル、それを一年の間に完全制覇した男である。
これだけでも歴史上類をみない強さである。
芸人でいえば、「オンエアバトル チャンピオン大会」と「M−1グランプリ」と「キングオブコント」と「R−1グランプリ」と「細か過ぎて伝わらないモノマネ」と「NHK新人演芸大賞」と「〇〇」、を1年で全制覇するようなものである。
なお、7つめのタイトル「〇〇」のところには、おもしろいタイトルを各自入れてお楽しみください。

それくらいすごいことが、いま将棋で起こっているのだ。

しかも、各タイトルは、5連覇あるいは通算タイトル保持数で、「永世称号」(こいつは一生強え!ってこと)をもらえるのですが、
羽生さんはもう7つのうち、6つで永世称号を得た棋士でもある。
これも前人未踏である(7つ目の「竜王」もあと一勝のところまでいきましたが、渡辺明さんに防衛されました)。

我々は、いままさに、この長い将棋の歴史のなかでも、1000年に1度級の、最強の男とおなじ空気を吸っているのです。
ありがたいことです。

そんな男が書いた本である。
つまらないわけがないじゃないですか。

内容面には触れませんが、非常に興味深いものとなっております。

「これ、ゴーストが書いてるんじゃないの? あんな忙しい人に書く時間なんかあるわけないじゃん」
とおっしゃる方、是非本書を読んで欲しいわけです。
ゴーストなんかに書けるようなシロモノでは絶対ないと断言できます。
少なくとも、本人のしゃべったことを代筆しているとか、そういうレベルです。

なんでそう言い切れるかというと、比喩と例示です。

すごく頭のいい人というのは、比喩と例示が得意です。
なぜかというと、「人がわからないことを、わかりやすく伝えることがうまい」からです。

自分の頭で完結していることを、解体し、0から説明することができるという。
そんな人がよく使うのが、「たとえば」と「のようなもの」という言葉です。

驚かされるのは、羽生さんの話題の豊富さ、引き出しの多さです。
スポーツから産業、政治まで、どんだけテレビ見て本読んで人の話聞いてんだよ!
という、「あんたいつ寝てるのさ」というくらい引き出しが多い。

きっと、一見関係ないように見えるものが、同一のテーマ性や問題意識のなかで、マッピングされているのでしょう。見事に関連付けられているのです。これは凡庸なゴーストライターにはとてもできない芸当です。

先入観や思い込みを持ってはならない、という文脈では、

今、青色発光ダイオードは、交通信号をはじめ広い用途で使われている。「二十世紀中には絶対無理」といわれていた開発に成功したのが、当時、四国の小さな会社の研究員だった中村修二さん(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)だ。そのころ、どこも青色発光ダイオードの材料にセレン化亜鉛を使って実験していた。それが世界の常識だった。中村さんは、人はその常識に惑わされて何の疑問もなくセレン化亜鉛を選択してしまっているだけだと、敢えて「ゼロに近い」といわれていた窒化ガリウムを材料に選んで開発に成功した。(p81)

という例示がある。

大局観の話では、ロジックも必要だが、勘も大事、という文脈で、

たとえば、数学は緻密なロジックによって構成された論理的な学問であると思われている。だが、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを「数覚」と名づけている。中学校の幾何学で、図形の問題は、まず補助線が閃かないと解くのが難しいが、将棋も、この補助線のような閃きを得ることができるかどうかが、強さの決め手になる。(P62)

と、例示の使用があり、そして「幾何学」と「将棋」に比喩的な関係性を置く。
しかも、フィールズ賞に、わざわざ「数学界のノーベル賞といわれる」という連体修飾をつけているあたり、「この文章は、フィールズ賞を知らない人も読む」という、一般向けに開いて書いている、という思想が感じられる。

これが頭のいい人の文章である。

逆に、局面全体から「この一手しかない」ときは、その駒が光って見えたりすることもある。
「光る」という言葉は、スポーツ選手も口にすることがある。たとえば、競馬の武豊さんは、スーパークリークに騎乗してG1で初勝利をあげたときに、「インがあいて、そこが光って見えた」と語った。ラグビーで、当時早稲田大学の今泉清選手は、ボールをもらって敵陣を突破しようとしたときに「光の道が見えた」と言った。

引き出しの多さというか、この記憶力たるやどうか。
まさに感動のレベルである。
自分の問題意識に近い、他ジャンルの人の発言というものは、響くことがよくあるが、それを明確に覚えている人はなかなかいない。

つまり、羽生は記憶と思考という、双方の面から図抜けている人物であると私は思う。

ホントにね、感動しますから、この本。
内容というより、羽生に!

学問をやってきた私にとって、羽生さんの将棋に対する姿勢というのは、学者とまったくおなじである。
常におなじ方法をとるよりは、常に新しい方法の模索をし、不都合があれば改変をしたり、挑戦したりする。
結果はあとからでもいい、とにかく新しい方法を試してみたい、という、好奇心の塊である。


私はこう見えて、将棋はまったくできない(できないのかよ!ここまで語っておいて)のですが、それでもこの人の天才性はわかる。
それは、学問の世界で、常に時代を切り開いてきて、いまスタンダードになっているものを最初に提案した人たちとまったくおなじことを言うからである。

中盤、終盤勝負だった将棋を、序盤の勝負にした羽生。将棋自体のあり方を変えた羽生。
そして羽生世代。
コンピューターのなかった時代に力をつけ、コンピューターのある時代にも対応し、トップに君臨しつづける羽生。羽生世代。

この柔軟性こそ、話題の豊富さと繋がっており、ひいては人間観、将棋観にさえ繋がってる。


どんな人でもビシビシと刺激を受けること受けあいの一冊です。
必読です。


羽生がお笑いやったら、どんなものができあがるのか、是非ネタを見てみたいと思った私であった。

ダウンタウンの松本さんと話が合う人じゃないかと思いました。

posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:11 | comments(2) | - |-
◆ソニー USBメモリー「ポケットビット」
 一工夫こそがソニーっぽい!
USBメモリーを文房具にした逸品。

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ソニー『USBメモリー ポケットビット』

データを持ち歩くUSBメモリーのなかでも、最近で衝撃を受けたのが、ソニーのポケットビット

表には出ていない仕事ですが、私ども米粒写経は、毎月ソニーさんの新商品を、量販店さんに紹介するというDVDに出演しているのですが、そこでは当然、ソニーの新製品に触れるわけです。

このUSBメモリーをはじめてみたときの衝撃といったら!

USBメモリーは、キャップがあって、それをはずしてパソコンに差し込む、というのが一般的です。
でもこのUSBメモリーにはキャップがないのです!

USBメモリーは、みなさんどう持ち運んでいるでしょうか?
私は、なくさないように、筆箱のなかに入れて運んでいます。
わざわざUSBにデータを入れて持ち運ぶわけですから、PCは持ち歩きません。
漫画喫茶とか会社とか、どこかにあるPCでデータを開けるように、USBメモリーを持ち運ぶわけです。

なかには、本当にポケットに入れて持ち運んだり、あるいは会社内で、ノートパソコンに差し込んだまま持ち歩く人も多いかと思います。

そんなとき、キャップがどこかいってしまうことが多いのです。
案の定、私もこのソニーのUSBを購入する前に使用しているUSBメモリー、キャップがなくなってしまって、いつも「抜き身」になっておりました。

しかし!
なんとこのソニーのポケットビットはスライドさせて、まるでボールペンのように「カチっ」と音がすると、

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ほらこのように!
これで固定ですよ。

そう、まさしくボールペンの原理。
ノック式で「肝心な部分」を出したり入れたりできるというすぐれもの!
非常に男性的な仕上がりとなっております。
男性は共感しながら、女性は興奮しながら使用できること請け合いです。
一度「抜き身」にすると、なかなか閉じたくなくなるような仕上がり。したがって仕事効率もアップという相乗効果でございます。

というのは冗談で、ホントにこのノック音は感動の領域!
「キャップをはずすのではなく、ノック式にする」この一工夫が、実にソニーっぽい心配りというか、「プラスアルファ」の精神。
私はいまやすっかりソニー信者なのですが、こういう「安いだけじゃない部分での勝負」に持ち込むという、いっちょやってやろう感がすごい好きなのです、ソニーの。

これがふで箱に入るわけですから、完全に文房具ですよ。
メモリーというより、ボールペン寄りの商品。
実質は電子ノートなんですけど、PCとつないで書いたりするのですから、完全に現代の文房具ですよ!

容量によって色が違ったりするのもわかりやすいです。
ちなみに私は容量というよりは、色でこれを買いました。

みなさん、つぎにUSB買うときは、ぜひこのソニーのポケットビットを買ってください!
オススメです!

posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:02 | comments(0) | - |-
◆グレート義太夫『糖尿だよ、おっ母さん!』
業と向き合う人間の姿。
−たとえば糖尿の場合。

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グレート義太夫(2009)『糖尿だよ、おっ母さん!』Ameba Books 1400円

身内というにはあまりにもおこがましいほど、遠い存在のお兄さんですが、
我らがオフィス北野の、知る人ぞ知る、というか、汁人ぞ汁、とでも言おうか、グレートな義太夫さんの著作。

しかし、この本はホントにおもしろい!
おもしろかったというのもおこがましいですが、非常に普遍的なテーマを扱っている本として私は読んだ。

義太夫さんは、糖尿病を発病され、現在は週三回透析に通われている。
本書はその発病から、じょじょに糖尿病が悪化していく過程を、つまびらかに時系列で体験談的に述べておられるのですが、
もうその病気との向き合い加減の芸人性といったらない。

自分のことでありながら、どこか他人事であるかのような、芸人であればだれしもがもつべき「もうひとつの目」、自分を客観視する眼。
あまりのたくましさと強心臓ぶりに笑いを禁じえないのであるが、
問題はそれが糖尿病であるとか、そうではないとかの問題ではない。

単純な話、人が「業」と向き合ったときに、どこまで自分を見つめられるかという問題なのである。

もちろん、この本では、糖尿病の恐ろしさ、意外と知らない側面(血液の病気であるとか、遺伝性の高い病気であるとか)も知らしめてくれるのだが、
「わかっちゃいるけど……やめられない!」という、植木イズム、否、人間ならだれしもが持っているダメな部分、
そんなものすら語り草にしてしまうという、たくましさ。
否、正確にいえば、積極的にネタにしようというのではなく、ホントにいやでいやでしょうがない、なんとかしたい、できればこんな経験はしたくない、
それでもしてしまう「闇」の部分。
そんなものを垣間見せてくれるのだ。

たとえば、昔、学校の保健室の前に、
「なんでこうなるまで放っておいたかなあ」
という、
歯がひどいことになってる写真とか、足がひどいことになってる写真とか、
見ませんでしたか?

わかりやすく言うと、
あの手の写真の、本人による体験談、
「私は、こういうことでここまでになってしまいました」
という、カミングアウト本なのである。

他人から見れば、
「なんでこうなるまで放っておいたかなあ」
なことが、
実はだれしもにあるということは、もはや疑いようのない事実であり、
むしろそれがない人間のほうが、「人間ではない」感じすらする。

私は鼻が悪い。
中学生のころに手術しなければならぬほど、病状は悪化していた。
病院にいくと、「よくいままで普通に生きてたね」
といわれた。

先日も、大雨の日に出歩いた際に足に水ぶくれができて、
でも病院にいくのも面倒で、
かゆいところは我慢せずにとりつかれたように納得がいくまで掻き続けていたら、
ついに足全体に激痛が走るまでになり、歩行すらちゃんとできないほどになった。
病院に行ったら、足の甲が化膿していたらしく、先生にびっくりされた。

歯医者も嫌いで、
昔はよく、「もう神経抜くしかありません」
なんて言われるまで放っておいたものだ。

だって面倒くさいんだもん。

私は、「面倒くさい」ほど説得力のある言い訳はこの世にはないとすら思っている。
トイレに行くのも面倒くさいときがある。
生きているのも面倒くさいフシがある。

結局のところ、
この「面倒くさい」の果てに、「なんでこうなるまで放っておいたかなあ」という結果がついてくる。
汚い部屋も、
30過ぎてもボケーッと生きているのも、全部この「面倒くさい」の結果なのだ。

〇〇したいも業なら、〇〇したくないも業である。

人間だれしも好きなものはある。
それが食べること、という人もいる。
それでいて、病院に通うのが面倒くさい、とも思う。

そういう人を、「ダメな人」と糾弾する資格を持っている人なんて、世の中にどれくらいいることだろうか?

糖尿患者の多くは、「入退院」を繰り返すそうです。自覚症状がないもんだから、血糖値がちょっと下がると、自分で勝手に「治った」と思い込んで、糖尿で倒れる前の不摂生な生活に戻っていくんです。薬さえ飲んでいれば、注射さえ打っていれば……。そんな安易な考えで、また病院の世話になります。
「だらしないから糖尿病になる」
そう言われても、何も言い返せません。(p23)
いや、ホントはだらしなくなんてない。
「だらしないから糖尿病になる」と思っている世間のイメージに晒され、悲壮感も同情もされず、孤独な戦いを強いられる。
当然、なかには遺伝的に糖尿になる人もいて、不摂生もなにもしていないのに糖尿になる人もいる。

いや、ホントにこの手の病気は、病気であるが病気ではない。
人間ならば、だれしもがなる可能性のある「業」なのだ。
癌や白血病と、なんら変わらない、人間である限り、だれしもがなる可能性のある病気。苦しい病気。

タバコをやめられない。
やめたいけどやめられない。
今日やめよう、いますぐやめようと思う。
やめても5分後には、「よし、5分も禁煙したんだから、そろそろ御褒美に一本!」となるのが人間である。
酒だってそうである。
ゲームだってそうである。
テレビをみるのも、爪をかむのも、病的に潔癖症なのも、全部おなじことなのである。

義太夫さんは、
通院していればいい状態から、
薬をちゃんと打っていればいい状態、
食事に気をつけていればいい状態、
点滴を打っていればいい状態、
いろんな状態を通過し、
都度ホンキで反省している。
それでも、最終的には、週に3回も透析をしなければならない状態になっている。

人間とは、こういうものである。
しかも、
それを悲壮感まるだしだったり、露悪趣味であったり、ナルシストっぽく語るのではなく、
1人のまっとうな人間として語ってくれているから余計に説得力があるのである。

「まっとうな人間」というのは、普通の感覚を持っている人間のことであり、あくまで感覚は持っていても、自分を引いてみることに関しては、芸人のそれであったりするわけである。

だからこそ、これは世の中で義太夫さんにしか書けない、味わい深い読み物になっているのである。

途中、おなじようなことが、何度か書かれている。
それすらも、「あれ、これ前にもあったな」という、生きていると必ずあるアノ感覚を想起させる。

迫ると恐怖と、染み出るおかしみ。
そのキワキワさ加減も、恐怖とおかしみのせめぎあい。絶妙なのである!

いろいろ考えさせられる本です。

落語に、「まんじゅうこわい」という古典があります。
「あいつむかつくから、あいつの怖いものを経験させちゃおうぜ」なんてある人が言い出す。
いじめの対象となった男は、そんな周りの空気を察知して、
まんじゅうが大好きなことを逆手にとって、
「オレはまんじゅうがこわい」と言い出すのである。
寝ている隙に、まんじゅうを大量に投げ込まれ、「こわいこわい」なんて言って、まんじゅうを貪り食う話である。

私は、この「まんじゅうこわい」と言った男は、糖尿病だと思っている。
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:50 | comments(0) | - |-
◆水城せとな『俎上の鯉は二度跳ねる』小学館
 よくしゃべるBL!
理屈っぽい男同士の心理描写が最高!

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水城せとな(2009)『俎上の鯉は二度跳ねる』小学館 モバフラ フラワーコミックスα 500円

ガチです。
ハードなBLです。
ついにこの手のものにも触手(やらしいほうの意味ではなく)を伸ばし始めました。

私は、『純情ロマンチカ』でBLの魅力を知り、萌えの極北にBL(ボーイズラブ)という北極点が存在すると信じて疑いません。
一方の南極点には、GLがあると思ってもいるのですが。

そうは言っても、
私はBLは「味わい」であると思っているフシがあり、からみもないほうが好みです。
ついでに言うと、これは私が男であるからなのかはわかりませんが、ゲイとかホモとかいう言葉も、出てくるだけで「二次元ならではのファンタジー感」をそがれてしまう気がしてあまり好きではありません。

これは、萌えアニメや萌え漫画にも、エロは必要なし! パンチラ厳禁!
とのたまう硬派なオタク、という風に受け取っていただいて構わないのです。
ホントに私は、二次元にエロは求めていないのです。

ただし、エロゲーは支持なのです。
なぜかというと、「このキャラのことを全部知ることができた私」であるために、キャラクターの裸は必要だからです。落としたことと同義の、象徴としての裸です。
したがって、そこにエロ心はありません。

正直、エロゲーやアニメに興奮できる人がうらやましくもあります。
だってそのほうが、世界が広がるから。

なので、パンチラ、あるいは裸、そういったものは、必然性がないものは、よほど開き直った「お約束」でなり限り、眉をひそめてしまうのですが、

この『俎上(そじょう)の鯉は二度跳ねる』は、おもいっきり絡みあります。
ついでに言うと、ゲイって言葉も出てきます。

なのに、いいんです!!

別に、そういうシーンがいいとかっていうわけではなく、そんな私のような硬派?な人にとっても、そういうシーンを差し置いても、余りある魅力に溢れているからです!

理由は簡単、セリフ回し。
人間の描写。繊細な心理の揺れ動き。そういったものが見事に表現されているのです。

男同士ゆえの恋愛の葛藤、
そのなかで、求愛する側とされる側の心情吐露。
さっき「別れる」と言っていたのに、もう「抱いてくれ」と言っている、一瞬で真逆なことを言ってしまう人間の心理を、説得力ある感じで描いてくれてるの!
これはすごい作家さんだ!

非常にシリアスな作品ですが、主人公をゲイではない人間、という立ち位置に置いて、「女性とも恋愛するが、たまたま好きな男に出会ってしまった」という加減に設定。

「男も女も両方いける」という立ち位置がなにを意味するか。
それは、「それでもあえてその男を選んだら、それは純愛!」
という、ストイックな恋愛の形。

非常にセリフが多い漫画なのですが、絵もきれい!
それでいて、男なんてそもそも理屈っぽいイキモノなので、男同士がああだこうだしゃべっていることも、なんか自然に受け止められちゃう。

主人公の大伴(おおとも)には、彼女がいる。
しかし、ちょっと前まで、大学時代の後輩の今ヶ瀬(いまがせ)と、求愛されて関係をもってしまい、付き合っていた。次第に好きになってしまう大伴。
お互いの感情が決壊し、嫉妬が原因で一度は別れるが、それでも今ヶ瀬は大伴のことを諦められない。
私がキュン!ときたシーンは、そんな大伴が、彼女と別れて、もう一度今ヶ瀬と付き合う道を選ぼうとするところである。
今ヶ瀬は、そうは願っているものの、女と結婚したほうが幸せになるであろう大伴に向かって、心とは裏腹に「別れるのはやめろ!」なんて引き止めたりする。
その大伴と今ヶ瀬のやりとり。

大伴:―今ヶ瀬 真面目に訊くけど
    お前 俺になにを望んでるわけ?
    安心して穏やかに暮らせる未来か?
    それとも
    刹那的に貪れる目先の快楽なのか?

今ヶ瀬:両方……
     両方……なくてもいい…………
     俺は
     貴方との絆が欲しい
     俺には貴方がいるって思いたい
     でも
     100じゃなくていいんです
     ゼロでなければそれでいい……
     それだけなんです

ッカー!!
いいね!今ヶ瀬、かわいいよ今ヶ瀬!!
大伴先輩を「貴方」っていう今ヶ瀬!
「100じゃなきていいんです ゼロでなければそれでいい」
名言キター!!

ただ、なんらかの形でつながっていたい。見返りを求めない。
「絆」が欲しい。
綾波レイか!ってツッコミましたよ私ゃ!

こんな純愛ありますか?

とにかく理屈の応酬、1秒後にはかわる人間の心理、見事に描いている作品です!
うあああああ、また一歩、深みにはまってしまった!

BLの沼は深いぜ……。

でも、いいものはいい!
私は先入観と偏見だけは、人よりないんです。

しかし、小学館もやるな!
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:35 | comments(1) | - |-
◆『7&顱.錺奪侫襯魁璽 ミルクバニラ』
このソフトクリームがすごい! 私的第1位!
その宇宙服をはぎとった中身は、バニラ天国。
この夏、必須の一本!



ソフト


『7&iワッフルコーン ミルクバニラ』セブンイレブン 168円

出ました!
久しぶりのB級グルメ!
この味を忘れたくない、という思いから、私が気づいたら不定期的に取り上げているお菓子!

今回ご紹介するのは、ソフトクリーム界の革命児、ソフト界広しといえでも、上野投手と並び称される金メダル級の旨さ!
セブンイレブンのオリジナル商品である、このワッフルコーン、ミルクバニラである!

完璧なフォルムのワッフルコーンは、その形状の美しさのみならず、固さ、おいしさを含めても、他のワッフルコーンと比肩しても決して負けない充実のコーン。

それでいて肝心のミルクバニラの部分は、ソフトっぽい要素を残しつつも、型崩れしにくい硬軟のちょうど中間、
なめて崩すというよりは、口からパクっといって歯で崩すタイプ。
食べている最中に溶け始め、コーン部分に溶けたアイスが落ちてきてしまう、なんてこともない。

落ち着いてじっくりと食べられる、それでいて本格的なバニラを堪能できるという、まさに夢の一本!
これを独自開発したというのだからセブンアンドアイグループには敬意を表したい。

独自開発で168円、ちと高いとお思いの皆さんもおられると思います。
しかし、独自開発でいくつもの安価なものを提供している会社が、ぼると思いますか!?
否!
これほどまでに贅沢な品はないのです!
「168円で食べられる旨いもの選手権」があれば間違いなく優勝です。
200円級まで階級を上げて、勝負しても全然勝てる甘味ファイター。

これだけクールで熱いヤツもそういないのである!

【公式HP紹介文 抜粋】
美味しさのヒミツは、隠し味に使ったリキュールにあり!?人気のアイスが、さらにパワーアップしました。バニラの華やかな風味とミルクの味がより引き立って、もう止まらない美味しさ♪大口開けてパクッとどうぞ。

いやらしい!
こんな文章読んだら、食べたくなるに決まってる!
なんていやらしい食べ物なんだ!

おりしも、迫っている7月3日、それは「ソフトクリームの日」。

日本ソフトクリーム協議会「ふんわり広場」

日本ソフトクリーム協議会なるものがあることに感動いたしました。

アイスクリームの起源は、紀元前2000年の中国と言われておりますので、ゆうに4000年の歴史があるわけです。
それをマルコ・ポーロの登場まで西洋は知らなかったのだからさらに意外。
ジェラードとかオシャレな名称のものは、新参者だったわけです。

ちなみに、
アイスクリームとソフトクリームの違いは、皆様ご存知ですか?

だいたい、マイナス25〜30度で冷凍保存されるのがアイスクリーム。
これに比してソフトクリームというのは、マイナス5〜7度の冷凍でいいのだそうです。
冷凍に電力がかかることを懸念した人が、この「ソフトクリーム」なる食べ物を開発したのだとか。
してみると、
ソフトクリームが溶けやすいのも道理なのですが、
反面、あのやわらかさがなによりの魅力。

日本にソフトクリームが登場したのは1951年だそうです。
年まで特定できているのってすごいですよね。
明治神宮で開かれた進駐軍主催のカーニバルの模擬店で、初めてコーンスカップに盛られたソフトクリームが売られたんだそうです。

日本のソフトクリーム史も、これで58年です。
58年たって、こんなにもおいしい「アイスとソフトの中間」のようなものが登場するとは!
第3のビールって言葉はありますが、第3のアイスと呼んでもよろしいのではないでしょうか。

日本にソフトクリームブームは3回あったそうです。
第1期は、日本に進出したての戦後まもなく、1950年代。
第2期は、1970年の大阪万博の年だそうです。この万博がキッカケでソフトクリームが国民的食べ物になったんだとか。
そして、第3期は、1990年代後半の、コンビニエンスストアの拡大によるもの。

このような甘味ひとつとっても歴史があるからおもしろいです。

しかし!
このワッフルコーンは業界に革新をもたらした!
ハロハロ、たしかにうまい。
従来のソフトクリーム、たしかにうまい。

しかし!
自宅の冷蔵庫にも保存できて、
なおかつソフトとアイスの両方を楽しめるこの一本は、まさに第4次ソフトクリーム戦争の幕開けではないでしょうか!


と、おいしいものでどれだけしゃべれるか、がんばってみたりしました。
でもとってもおいしいので、セブンイレブンにお立ち寄りの際は、一度でいいのでお買い求めて食してみてください。


※感想はあくまで個人のもので、個人差があります。

posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:26 | comments(0) | - |-
■いけだたかし『ささめきこと』
BLもいいけど、GLもね!


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いけだたかし『ささめきこと』(1)〜(4) 以下、続刊 メディアファクトリー


水曜日は、私がグッときた作品を、本、漫画、雑誌、映画、DVD、論文、問わずオススメするレビュー日です。

『純情ロマンチカ』でBL(ボーイズラブ)作品に目覚めた(あくまで男に目覚めたわけではない、念のため)私は、
この一冊に出会い、二次元世界のなかでの“同性愛”というものの素晴らしさ、「ファンタジーっぷり」に、「自信が確信に変わりました」じゃないけれど、これはもう間違いない! と膝を打ったのである。

主人公の村雨純夏(すみかちゃん)は、背も大きくてスタイルもよい。
おまけに実家が道場なので、柔道も強い(合気道的な)。
そして、メガネをかけている。

そんな純夏の友達に、美少女がいる。風間という。
風間は男の子からも抜群にもてるルックスをしていながら、しかしかわいい女の子には目がない、という、ちょっと百合っぽい女の子。
いや、ちょっというよりはだいぶ。

どうやら、中学校のときは、かわいい女の子好きが原因で、若干いじめられているフシさえある風間。
なのであまりおおっぴらにではないが、「かっこいい系女子」の親友の純夏には、かわいい女の子好きであることを公言している。

さあ問題はここからです。
実は純夏ちゃんは、この風間のことが好きなのであります!!
どーん!
しかもガチで。恋しちゃっている。

純夏は、自分に対して心を許している風間からは、「かわいい女の子」が好きだと宣言されている。
そして純夏は「いいお友達」だと。「親友」だと。

ここから純夏の葛藤ははじまるのである。
「かっこいい系」の純夏は、自分が「かわいい系」ではないことにコンプレックスを持ってしまう。
ついでに、自分が風間のタイプ、というか、「恋の対象」になりえないことを知っているから、なかなか自分の気持ちを言えないのである!

さあ、どうですか、お客さん、切ないじゃないですか!

ということで、
根本に抱えている問題は、BLとおなじ。
百合は元来嫌いではなかった私ですが、GL(ガールズ・ラブ)も結局のところ、同性ゆえの悩みを抱える点、プラス、そもそもの恋の抱える問題、という、二つの問題が横たわっているのである。
「たまたま好きになった人が、同性だった」現象。

悩む女子の姿もまた素晴らしい!

男子だけではなくて、女子にも是非読んでいただきたい漫画です。

男同士だからダメとか、女同士だからダメとか、そういうものではないんだなあ、と私は思うわけです。
少なくとも私にとっては、二次元では、性別というものは本当に属性でしかなくて、
「男の子属性」と「女の子属性」でしかない。

だからこそここまで雑食に、いろいろな作品を楽しめてしまうかしら。

百合は「雰囲気」ですが、GLは「好きって感情」そのものです。

この作品では、風間と純夏の「距離感」が絶妙です。
言い出したいけどなかなか言い出せない、それでいて気になってはいる。
BLもGLも、「距離感」が見せ所であるのは、これは間違いない!

とにかく、そんな同性問題を抜きにしても、大変に切なく、ほっこりできる作品ですので、是非読んでいただきたい一冊です!
posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 18:31 | comments(0) | - |-
■『神のみぞ知るセカイ』

「現実(リアル)なんてクソゲーだ!」
『神のみぞ知るセカイ』

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若木民喜『神のみぞ知るセカイ』小学館 週刊少年サンデー連載

水曜日は、私がグッときた作品を、本、漫画、雑誌、映画、DVD、論文、問わずオススメするレビュー日です。


ギャルゲーでのヒロイン攻略1000人超!
どんな恋愛シュミレーションゲームのヒロインでも必ず落す、「落とし神」と呼ばれる、男。
それが主人公。


学校では授業中にゲームばかりして(PSPっぽいやつで)、それでも成績はよいもんだから、「気持ち悪い」と言われるメガネ男子。
そんな彼の持論は、
「現実(リアル)なんてクソゲーだ!」
である。


なんでしょう、このネ申すぎる発言。
彼、桂木桂馬くんによると、現実の女子は「設定が甘い」のである!
この時点でももうオタクの代弁者である。


そんな男が、ひょんなことから悪魔の協力者として、現実の女性を口説かなければならないことに。
ゲーム世界の「落とし神」が、ゲームで培った能力を駆使して、現実の女性を口説くのだ!


口説き対象を観察し、近づいていき、「いける!」と思ったときの彼の決めセリフは、

「エンディングが、見えた!」

である。


おもしろすぎるでしょう、コレ!
しかも口説かれた女はその時点で、それまでの記憶を失うという寸法。
桂木くんは口説くたびに、その対象の女性にハートを奪われるかと思いきや、そこは二次元尊重。
全く現実の女性に興味がないのだ。


オタク世界の「口説き屋」である。


思うに、恋愛シュミレーションゲームもいまや多様化してきて、いろんなタイプの女の子が存在する。

しかもそれらのゲームは、いい大人たちが汗水たらして作っているわけである。
これらの「恋愛経験」が、現実に還元できないわけがない!!
恋愛は、ギャルゲーとBLに学んだと、私が言ってはばからない理由である。


も、もちろん、ゲームのなかの女の子は理想がつまってるんだけどねっ!


いや、むしろ、男も女も、
ゲームのなかの同性の行動原理を参考にすべきではないのか?
男も、女の子向けゲームのヒーローたちを見習うべきじゃないのか?


……そう考えたら、自分はそんなにかっこよくもないしいい声じゃないし、そもそも若くないし……。


うん、理想は理想のままでいいんだよね、うん!
と自分に言い聞かせたりする。


とにもかくにも、この漫画の主人公のフレーズのきれ方はハンパない!


「お前は妹としての設定が甘すぎる!」
「悪いヒロインはいない!! 悪いゲームがあるだけだ!!」
「現実(リアル)はセーブできない!」


是非ともアニメ化の際には、主人公の桂馬くんは、福山潤さんあたりにやっていただきたい。


現在、単行本、4巻まで出ています。
「週刊少年サンデー」で連載中。
主人公は、ややかわいい感じのメガネ男子。
女の子を落すためなら、ちょっとクサイセリフだって言っちゃうのだ。


重そうな話でありながら、適度にギャグも入っていて少年漫画らしいホノボノ感もあって読みやすい!
超おもしれえ。


オタクの方々にとっては、いまさらですが、
まだお読みになっていない方には、オススメです!

posted by: サンキュータツオ | ■タツオ☆レビュー■(2008年11月〜) | 23:18 | comments(0) | - |-