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【「サンキュータツオのただアニ!」掲載 『ReLIFE』:7/22(金)読売新聞夕刊】

読売新聞夕刊で毎月連載の「サンキュータツオのただアニ!」、

今月は『ReLIFE』を紹介しました。

 

写真には載ってないけど、『orange』も。

ほかにも「やり直し」が物語の肝になっているものがけっこうある。

いまにはじまったことではないけれど、

11年のまどマギやシュタゲの成功を受けて、その後増えたような気もします。

 

過去改変、ループ、やり直し、リバイバル。

いま放送中の『Re:〜』もそうだし、現在のものでもけっこうある。

 

じゃあ「またやり直しものかー」と捉えちゃうか。

答えはNO!

これはむしろ「やり直し大喜利」の時代に入ったということを意味する。

おそらくいまがピーク。

 

このやり直しブームは、いまから立ち上がる企画にさすがに「もうそういうの、いいんじゃないっすかね」という意見がでることを意味するので、2年後くらいには減ると思うんです。

なので、あえていま取り上げてみました。

 

そういう切り口で紹介したんですけど、面白いですよ。

そういう見せ方あるんだなーという。

 

『ReLIFE』は過去改変ものではないのですが、心のどこかで「あの頃もう一回、いまの頭でやり直せたらな…」と思う、ダメ人間の願望を見事に具現化した作品です。笑えるし、考えちゃう。

 

良かったら観てください。

 

アニメの話題はもうツイッターとかであんまり触れないようにしているので、こういうところで開放できるのがありがたいです。

 


 

2016.07.26

 

 

posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0) |-
サンキュータツオ・春日太一『俺たちのBL論』河出書房新社 発売! #俺たちのBL論
映画史・時代劇研究家の春日太一さんとの共著で、このたび河出書房新社から
俺たちのBL論
という本を出版しました!



大勢の人に手にとってもらいたい想いと、そんなに大勢の人が読むような内容ではないんじゃないかという想いがせめぎあっております。
ベストセラー作家である春日さんのキャリアに、汚点を残すという荒業をこの本でやってのけた的なノリのものですが、
そういや最近「BL」って言葉よく聞くなあ、どういったものなんだろう、とちょっと気になっている人にはうってつけの本だと思います。
ここ数年、BLのことを考え続けてきました。
そのことを、春日さんにレクチャーするような切り口で構成した本です。
とはいっても、私はいわゆる「腐女子」を代表するような存在ではありませんし、そうしたいという気持ちもありません。

ツイッターでも書きましたが、
私が芸人ということもあってか、私がBLについて語ったり、『俺たちのBL論』なる書籍を出すことに対して、不信感を持つ方もいらっしゃると思いますが、誤解しないでいただきたいのは、決して腐の文化やBL、やおいをバカにした文脈では語っていないということはここに宣言しておきたいと思います。
また、今回の本を書くにあたり極力気を付けたことは、自分の頭で考え、自分の言葉で語るということです。つまり「自分」を語ることを中心に、聞き手である春日さんに自分なりに整理したことを伝えました。一般化など到底できないのが、「萌え」であるからです(という一般化はしています)。

また、「腐女子論」でもありません。外部から「腐女子」や「BL」を語るものでもありません。あくまで私自身の経験を元に、自分なりに考えたことを整理した本です。もちろん、書籍の引用や紹介はしております。
「腐女子」は本来、腐女子本人が使うべき用語であって、外部の人がその人をさして呼ぶべき言葉ではないような気がします。なので私は使用に慎重にならざるを得ません。ただ、私はなぜ女ではないのか、なぜ腐女子ではないのにこういったものが好きなのか、ということを考え続け、ここ数年、常に外部の者としての疎外感を感じながらも、自分なりの萌えを追求してきました。なぜ自分はBLややおいに萌えるのか。答えのでない問いでした。

しかしひとつハッキリしているのは、この疎外感というのは、ふた昔前は「オタク」総体が、一昔前は「腐女子」総体が経験していた、疎外感、そして後ろめたさだったということ。私はいわゆる「腐男子」なのかはわかりませんが、BLはコンプレックスと後ろめたさを忘れちゃいけないなと思ってます。私は自分にそう言い聞かせています(くれぐれも一般論ではなく、個人の見解です。ここを誤読されてしまって、すでに悲しい想いです)。

そういう想いをもってなぜ今回、このような書籍にまとめたかというと、「BL」という言葉だけが先行して、実体がつかみにくく語られにくく、ネタ化されたり、誤解されたりしている傾向があるからです。私が正しく理解しているとは思いません、ただそういうものであるということがわかったからです。

何十年もこの世界を味わい尽くしているお姉さん方からしてみたら、蚊が飛んでいる、くらいの言説にしかすぎませんが、男性が読むBLという観点でまとめられたものは管見の限り、まとまった分量のものはまだなく、むしろ外側の人へBLの魅力の一端と、接し方をなんとなく知ってほしい、という一冊です。無理解で接すると大けがの元になりますし、今現在の私も誤解を防ぐので精一杯なのです。そういった雰囲気だけでも察していただくには、うってつけの本です。

最後に。今回の『俺たちのBL論』のテーマは、人間の脳の、余白と補完 の作業です。
省略と補完といってもいいです。
これは私が関わっている落語とも連続的だし、好きなアニメやマンガにも、人付き合いにも共通したテーマです。
スキャンダラスな第三部は、男性評論、女性評論というテーマです。春日さんが見事に私の右斜め上をいく発言で、空高く飛び立っていく様をどうぞ楽しんでいただければと思います。

続報はまた。

2016.1.22
 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 18:08 | comments(2) | trackbacks(0) |-
ホロッコについて2015:20日、21日はホロッココレクション 
18日の丸屋九兵衛さんのトークイベント、大変面白かった。
私には、勝手に盟友だと思っている人たちが何人かいて、どういう肩書の人であれ、また世に出る出ないに関わらず、この人と出会えて良かったと思う人とは、積極的になにかをしたいと思うし、できればそれが、わずかな金銭だけでも発生する仕事であれば一番健全だと考えている。

そういう意味でいうと、ホロッコというコンビは盟友だと私は勝手に思っている。盟友だし、仕事仲間。私とはそんな関係が心地よいふたり。これが単なる「ともだち」だったらつまんない。
そんな彼らが単独ライブを明日、明後日と行う。
今回はいままでとは毛色の違うものになっているみたいなので、ここからのホロッコはまた見ものだと思うのでぜひ見落さないでほしいと思う。
ホロッコというプロジェクトを追うなら、まだ乗れる船だという意味で。



いままでとちがう点
・自主主催ではなくなった
・プロデューサーをおいた
・何本かネタを人に書いてもらった
・会場が変わった

ホロッコはこれまで毎年、新宿のシアターモリエールという劇場を自分で借りて2公演にわたって単独ライブを行っていた。
これをひとまずやめて、興行的に人に任せてみる、という選択肢をとったことがなにを意味するかを考えたい。
こういうことはライターも好事家もなかなか書かないことなのです。わかんないし、そこつっこまないから。取材もしないし。でもお客さん的には「こういうところが演者の、そして興行の見どころなのか」ということを押さえる点で時間つぶしに読んでもらえればなと思う。

だって、ノーマルな芸人であれば自主主催なんてしないし、だいたい事務所か制作さんがいて単独を打っている。
自主主催なんて、非大手の、しかもいい意味で事務所の締め付けや管理がゆるい我々周辺くらいである。
ライブを自主制作することのメリットとデメリットはいくつかあるけれど、自分でやってみてスタッフワーク、あるいはプロデューサー的な視点を獲得していくことはひとつの大きなメリットだと思う。告知や予約や舞台監督、受付や舞台袖、映像編集、招待客管理……さまざまなこともふくめて、そこに人が関わっており、どういう想いでライブが運営されているのか。知らないでそのままの芸人は多い。
でも、知っているだけでスタッフワークの大変さが身体で理解できているから、「ありがとう」の一言がでてくるかどうかって、その人が売れるかどうかってことと結構大きく関係していると思うのだ。当然、スタッフの出来・不出来もすぐに判別できてしまうわけですけれども。
そんな自主主催単独「ホロたん。」シリーズを毎年秋にライフワークとして続けてきた。あのシリーズがなくなるわけではないが、ひとまず今回一回こういった単独を仕掛けるには、それなりの理由があると思う。

単刀直入にいえば、ホロッコはいま「ほかの人から見えている自分たち」を積極的に受け入れつつある。

私が出会ったのは、考えてみれば2005年とか06年くらいだったと思う。
きっかけは当時私が制作していた「漫才バカ一代」というライブシリーズに、サンドウィッチマンのお二人をゲストに呼んだときだ。
ホロッコのほり太さんは、彼らの事務所の社長だった。
つまり、私とホロッコとの出会いは、ゲストの事務所の社長と社長夫人という形での出会いだった。
ほどなくして彼らが夫婦でお笑いコンビをやっていることを知り、彼らのネタも見るようになった。ライブも何回か一緒になった。
私はホロッコのネタが好きである。

当時は感覚的に、そして現在はけっこう強烈に意識して考えていることだが、私は長くて3〜4分というお笑い芸人のスタンダードなネタ尺に懐疑的だ。
もちろんテレビサイズを意識することは大事だが、みんながそれに合わせていてはライブにいく意味がひとつなくなるし、時間をかけないと表現できない笑いも少なからず存在する。当然テレビ向きということを考えると味つけや手数が多く・濃くなるのが必然なのだが、お笑いにも薄味、かくし味の「味の奥行き」がある。それを表現するお笑いも私は好きだ。その極め付けが落語だと私は思っているのだけれど。
だが、そういったお笑いはすべからくテレビシーンからもライブシーンからも無視されている。せめてライブシーンでトレンドを牽引している人たちにはこういうことをちょっとだけでも考えてくれたらなと思うのだ。コンテストで勝ち抜くものだけがすべてではない。

そしてホロッコはまさに、せめて7〜8分は味わってほしい薄味のお笑い、だと当時思った。
この人たちは声を張るツッコミはしないし、なんならそんなにウケないのを知りながら絶対に変えないボケが存在していたりする。
ただ笑わしゃいいってもんじゃなく、美学をもっているのだ。
ホロッコのネタはどれも好きだが、私の好きなネタにマッサージ師のネタがある。
サラリーマン扮するほり太さんが、出張先のビジネスホテルでマッサージ師(こまりさん)を呼ぶというネタだ。
登場から冗談とも本気ともつかない発言を繰り返すマッサージ師に、ほり太さんはさも実際のサラリーマンが言いそうなセリフから組み立てていく。けっして「なんでだよ!」「失礼だろ!」みたいなツッコミはしないのである。当然そうしたほうがウケるのはわかるのだが、ここはお笑いリアリズムの勝負どころ、我慢のしどころである。
リアリズムが根底にあって、距離の詰め方がリアルなぶん、喧嘩みたいなツッコミはしない。

ところが、ネタの途中に、横になってと言われ横になり、こうやってこうやってとマッサージ師の指示にしたがって動くと最初に座っていた姿勢に戻るというボケがある。そこでサラリーマンははじめて「オレは座椅子かっ! 座椅子のちょうどいいポジションを逃したから、いったん畳んでカチカチカチの、座椅子か!」とツッコむ。けっこうテクニカルかつ、あるある要素も盛り込んだツッコミだ。

はじめてサラリーマンがマッサージ師との距離感を詰めるように見える場面である。
(※なお、現在は冒頭の部分が拡大されわりと序盤に距離が詰まり、この部分は落ち前にくる構成になっている 2015.09.20追記)

私はこのくだりがこのコントのもっともおもしろいところだとかねてから思っているのだが、ウケたところを一度も見たことがない。何回も見たけど、なんでかウケない。
ただ、ここは作り手としては大事な箇所で、これを境にサラリーマンの発言はじょじょにツッコミ然としていく。シーンは変わらないけれど、ひとつのネタに「人間関係の距離感の変化」が盛り込まれている野心的なネタだ。

トレンドやコンテストでいうと、変わった設定だったり、展開が意外だったりというアトラクション感満載のネタが歓迎されている。それもおもしろい。だが、こういうワンシーン作り込み主義のネタを軽んじてはいけない。大味だけがお笑いの核心ではない(この表現は大味も魅力と言っているのに等しい。念のため)。

ホロッコのネタは小津さんシリーズをはじめこういったネタが中心になっている。
微笑ましいやりとりが多いぶん大きい笑いや連なる笑いに展開しない側面があるのだが、この際トレンドはどうでもいい。かと思えば、微笑ましいふたりだと思っていると急な角度からハイセンスなボケが出てきて不意をつかれることもある。だが、それはそれでお客さんはビックリしてウケない。それが求められてもいない。
私は思う。なんでこれ伝わらないの!? このアンバランスが面白いのに!
私はこうしてプレイヤーとしてのホロッコにハマっていった。とはいえ、どうやらお笑い界隈で彼らを評価する声はそんなに多くなかった。

キャリアでいえばホロッコは私たちよりも先輩で、ほり太さんに関していえば談志師匠の弟子でもあったこともあり(決して素行が悪くてやめたわけでもなんでもない、円満な辞め方だった模様)、作家もやったり、芸能事務所の経営者という側面もあったので、人によっては芸人として付き合い方の困る人もいたかもしれない。
だが、私にとってみては、米粒写経のネタを理解し評価してくれる数少ない業界関係者でもあり、また一時期は事務所と業務提携していたこともあって、芸人とマネージメントの双方の事情を深く理解している、心やすく相談できる人たちであった。

いろいろなことがあり、彼らはひとまず経営者として一度休むことにして、私たちのいるオフィス北野に入ることになった。
ライブもともに運営し、これまでのノウハウを共有している。トレンドを分析し若手を育成するシステム(フライデーナイトライブ)にも参加してもらっている。
キャリア10年以上の芸人同士が、腹を割って意見交換することなどあまりできないかもしれないが、私たちはこれまでの関係を築いてきた流れで、売れていく戦略や自分たちに必要なことまで、忌憚なく意見を出し合っている。

そんなときに毎月定期的にやっている勉強会でホロッコが言い出したのが「売れたい」ということであった。
つまり、まずは商品として成立しないと、自分たちのやりたいネタも見てもらえない、ということである。
では、いままでずっとやってこなかった、むしろ自分たちから一番縁遠い、やりたくないことをやってみようではないか、ということで、コント一筋だった彼らに漫才をやることを進言した。ネタもみんなで考えた。彼らはやった。
これまで夫婦であることをかたくなにネタにしてこなかった彼らに、夫婦であることだけでなく「仲良い夫婦」であることを前面に押し出した、ツッコミ一切なしの、声の大きい漫才をやってもらったらどうか。そんなことからイチャイチャ夫婦漫才は生まれた。

もっちゃってた美学は美学として置いておき、薄味だけじゃなくて大味でわかりやすい味もちゃんと出せるレストランに彼らはなろうとしたのだ。あくまでも売りたい商品への導入のために。
ちなみに、ホロッコというレストランの統一のテーマは、「観る人を幸せな気持ちにさせる」であると私は思っている。

夫婦の漫才を仕掛けるにあたって、私は島田夫妻というコンビを、エール橋本(東京ペールワン)と仕掛けたことがあった。一時的には成功し、彼らを大手事務所に所属させることはできたが、芸人経験が少ないことと芸人としての自意識が芽生えたことがあって、目指す方向性が変わった経験をしていた。

ただ、ホロッコに関していえば、どこでどういう技術が求められ、このネタでなにを目指しているのか、即座に理解できる「経験」がある。
これは名刺代わりのネタとしてある程度は成功していると言っていいかもしれない。予定では昨年のTHE MANZAIの認定漫才師に残るはずだったのだが、近いところまではいった。メディアにも何度ものったネタになったし、わかりやすい武器として、世間に存在と名前を認識してもらうものとして、イチャイチャ漫才は今後も開発を続けていくだろう。

こうしてそれまで芸人として売れることを半ばあきらめかけていた、あるいは経営者という視点で遠慮していた部分を、じょじょに解禁して、かたくなさもじょじょにほぐれていき、柔軟に人の意見を取り入れていく考え方も、「ブレ」とはちがうものとして受け入れるようになっていった。
こうした雰囲気は、フライデーナイトライブで醸成してきたものである。マキタさんがじょじょにセルアウトしていき、また別に東京ポッド許可局が知られるようになってきて、私たちが、よちよち歩きながらも直接経験して「集合知」としてなんとなく蓄積してきた、大手からしてみたら「当たり前」のこと。それを身体で感じるようになってきている雰囲気が、近くにいる彼らにも波及しているのだと思う。
ただ、セルアウトが目的ではなく、セルアウトしたのちにライフワークして続けていくだけの「なにか」を持っている彼らだからこれができたと私は思っている。

渋谷コントセンターという、興行的には渋谷らくごと並んでまったく褒められたものではないライブが昨年できて(私は関係者ではないので私にクレームは言わないでくださいね)、「芝居とコントの中間のような、長尺コントができる人を探している」というのですぐにホロッコを紹介した。ふたをあけたらプロデューサー不在、制作不在、観客不在という、渋谷らくごとおなじ運命をたどるまったくの丸投げ興行だったので、紹介して申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、ここでホロッコはその世界観を圧倒的なものとして証明したと私は思っている。
コンテストありきでつくる芸人のネタは、短尺のネタを繋げたものでしかないが、ホロッコは短尺のものを繋げてもそうは見えない。あるひとつの世界のなかでの一話完結のドラマを観ているような作品を提示していた。

これは、彼らのキャリアのなかで、ひっそりと、しかし着実に築き上げてきたものだ。

渋谷コントセンターはいよいよ行き詰って制作を任せる段取りで継続している(ようにみえる)。
とはいっても、すでにコンテストやテレビ番組で評価されている人たちを寄せ集めて客席を埋めるのでは、まったく意味がない。
そこで立ち上がったのが、勉強会のメンバーでもあるワクサカソウヘイさんだ。今回のホロッコのライブで制作、つまりプロデューサーワークを一手にひきうけてくれた、これも芸人であり作家であり小説家でもあるという複層的で最高に面白い人物。

芸人さんには、ネタと稽古のことだけを集中して考える環境を作らなければならない。
それが裏方の理念である。ワクサカさんも例外ではない。この、世間がまだ認識しきれていないホロッコというお笑い界の粗い網の目が見落してきた存在を、ひとりでも多くの人にという想いで、ホロッコをそうした環境に置いてくれている。
それはマネージャーの仕事ではないのかという至極もっともな疑問もあるだろう。ただ、規模の小さい事務所のスタッフは多くのタレントを抱えて馬車馬のように働き続けているし、制作の経験もない、というか制作が存在しないので、いま私たちがその経験を注入しているほどである。文句ではなく、フラットな意見として、現状、頑張ってくれているので、これ以上多くは望めない。
そうした環境にいる芸人を、表舞台に引き上げていくのが、裏方の最高の喜びではないのか。ワクサカさんはそう考えているんだと思う。すでにある程度の名のあるコンビに食指を伸ばしていないのは、そういったことではないかと推察する。やるならもっと別のステージにひきあげるイベントを仕掛けることだろう。それはそれで見てみたいけど。

ワクサカさんがやったのは、ネタをホロッコではない人たちに書いてもらい、その人たちに興味を持っている人たちにもホロッコを知ってもらおうという仕掛けである。
ホロッコを好きな人も、作家が好きな人も、双方楽しめる仕掛け。メディアでホロッコを知った人でもすんなり入り込める入口である。
それが、今回の「きみといつまでも」である。

自分たちではまず発想しないものをやる。それも、自分たちの良さを引き出そうと書いてくれた人たちのネタを。
こんなに幸せなことはない。いいなあ。



私はこうした活動が、いずれはホロッコの本来のネタの核である「小津さん」シリーズや、単独ライブ「ホロたん。」シリーズへと還元されていくと信じている。
小津だけのコントを60分やる単独とか毎年観たいし、そこにゲストを入れたり、それこそだれかにネタを書いてもらうこともあっていい。ホロッココレクションから人気シリーズが生まれることもあるかもしれない。

イチャイチャ漫才を起点として、メディアとライブでの存在を連続的に、立体的にすることで、コンビとしてのライフワークの道筋を立てていけるかどうか。

コンテストやテレビに依存し、タレントとしてのゴールしか見てこなかった芸人たちのなかには、活動の在り方を見失っている人も多いと思う。
でも、自分の力で切り開いてた土地に、ほかの人の種をまいたり、一度土地を預けてみたりして、最終的に肥えた土地にしていくこともできるってこと、彼らに見せてもらいたいと思っている。

これだけのキャリアの芸人が、いまだ進化を続けているという例を、あまり見ない。
いま一番見るべきときなのかもしれない。

会場は、そういったわけで渋谷のユーロライブ。両日とも14時からだ。予約はここ
 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 01:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-
9/18丸屋九兵衛さんのライブに聞き手で出演
丸屋九兵衛さんは、「米粒写経のガラパゴスイッチ」にも何度も出演していただいている。
わが相方・居島一平とおなじく、私の知る、数少ない「どういうカリキュラムを組んでも、確率論では生まれてこない知識人」の一人である。
どんな話題でもおもしろい。知識や知恵が連続的であり、真実がキャッチ―な言葉でまとめられるほど単純なものではないことを教えてくれる論客である。

その丸屋さんがしばらく前からトークライブをなさっている。
私は彼のことを同志だと思っているので、応援していたのだが、このたび聞き手(丸屋さんはスペシャルホストとかよくわからないことを言っている)としてお呼ばれし、宣伝してくださいとしつこいのでここで宣伝します。

イベントは9月18日
丸屋九兵衛トークライブ【Q-B-CONTINUED vol.3】with サンキュータツオ
というものです。
場所は代官山。時間は19:30からだそうです。
細かいことは、上のサイトを目を皿のようにして読んでください。

よく読んでもなにをしゃべるのか、そして私はなにを聞くのかナゾ。
そして丸屋さんがどこに向かっているのか、どうなりたいかのかもナゾ。

すごく私がいることがプッシュされているようなありがたい告知なのですが、
念のため言っておきますと私はなにもしゃべるわけではないので、
このまだ見ぬ才能をとことん味わうつもりできてください。

ただ、このカオスっぷりが台湾ぽい丸屋さんの持ち味。
そう、「一見わかりにくい」才能こそが次代を制します。
愉しみだね!

 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 17:52 | comments(0) | trackbacks(0) |-
神戸YWCA 講演会予定
2015/11/22(日)、13:30〜15:30まで、
神戸YWCA会館というところで講演会があります。



素敵なチラシが届きました。
日本語教育における国語辞典に使い方、みたいな話だと思いますが、
一般の方も参加はできるそう。
ただ、真面目な話ですし、寝られては気が散るので、ちゃんと聴く自信のある人は来てください。

 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 17:28 | comments(0) | trackbacks(0) |-
TBSラジオ特番、放送決定!『嗚呼、素晴らしき珍論文』5月17日(日)23:00〜23:55 #tokyopod #tbsradio
TBSラジオ、5月17日(日)23:00〜23:55で、サンキュータツオ特番決定しました!

拙著『ヘンな論文』(角川学芸出版)は、
そもそもTBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ』で、17時台の「メキキの聞き耳」というコーナーで紹介しはじめたのをキッカケに、以降月一回くらいのペースで定期的にご紹介していたものをまとめたものです。

そんな縁もあって、スタッフの熱意でダメもとで出した企画書が、なんと見事に通過!
今回の特番となったわけです。

番組タイトルは、
「サンキュータツオプレゼンツ 嗚呼、素晴らしき珍論文」
です!

タイトルから先生のお話まで、珍論文の魅力を余すところなく語りつくした番組です。
ゲストは、
伊藤紀之先生(湯たんぽ研究)
小林茂雄先生(傾斜面に着座するカップルと他者との距離 の先生)
飯倉義之先生(河原町のジュリー の先生)

のお三方!
たっぷりお話をうかがいました!

そして、一緒に番組を進行するのは、お茶の水女子大で修士号まで取得した、
小林悠アナウンサー!!
さらに、法学修士、工学博士という経歴のナゾの升田尚宏アナウンサー!!

私からしたら、こんな完璧な番組ありません……。
感無量。

すでに収録を終え、お一方30分〜45分くらい話を聞いちゃったので、
いまスタッフが吐きながら編集しております!
情熱に感謝!

なんと日曜の、「こんばんは吉永小百合です」の後ですよ!
毎週私が聴いているあの番組の後!
すっげーうれしい!

なんとなんと、番組の最後には、うれしいお知らせもあるよ!
ひとつだけ言っておきます。
29日の夜は空けておこうね。



 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 15:40 | comments(1) | trackbacks(0) |-
4月11日(土) 13:00〜14:00 浦和、須原屋本店にて、トークイベント
4月11日(土) 13:00〜14:00
埼玉県、浦和にあります、
須原屋さん
という老舗の書店にて、国語辞典のトークイベントをいたします。

浦和駅すぐ近くです。
詳細は上記のサイトにて。

この界隈に住む知り合い二人ほどから、
「ポスターみたぞ。地元に根付くいい本屋さんだぞ」とメールをもらいました。
愛されている書店!
うれしいです。

どんな人たちを前にしゃべるのか。
人前で国語辞典のお話をするのは久しぶりなので、さてどんな話をしようかなー。



posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 14:58 | comments(12) | trackbacks(0) |-
3/9(月)サンキュータツオ感謝祭『サンキュー祭』@道玄坂ヒミツキチラボ、発売開始




イベント詳細はこちらをご覧ください

e+で発売開始しております。と、書き込んでいたら完売したようです。
ありがとうございます。
あと手売りを10枚くらいします(『米粒写経のガラパゴスイッチ』かな 今日の『熱量と文字数』でもお名前いただければ取り置きします)。

この日は、感謝祭ということで、限定50名のタツオファンのみなさんとティーパーティをします。
当日はアンケートなどで、タツオをどういう経緯で知ったか、どこが好きか、など、私の魅力を語り倒してもらいます。

私のなかではテーマは一貫しているのですが、
米粒写経、東京ポッド許可局、TBSラジオ「デイキャッチ」、TOKYO FM「アキバノイズ」、ポッドキャスト「熱量と文字数」、ポッドキャスト「弱り目に祟られろレディオ」、「WOWOWぷらすと」、
アニメ、BL、国語辞典、おもしろ論文、NBA、
その他連載各種、単発での番組出演、大学での講義など、
いろいろな入口から私を知っていただいているお客様のなかでも、私の活動と向かっている先を把握している人は少ないのではないかと思います。
把握する必要もないのですけれど、どういうことを志向し、なにをおもしろいと思っていて、なにをやっているのか、この日集まるお客さんには知ってもらいたいなっていう、そういう洗脳セミナーみたいなものです。

初の試みですが、本年39歳になることもあり、3月9日にいい場所を見つけたので、ヒミツキチラボ吉村さんのご厚意で、この日思いきることにしました。
当日は小冊子を販売する予定です。

なお、オリジナルの菓子パンをご用意します。
ティーパーティーですので、ティーカップを持参していただけると嬉しいです。

タツオ

 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 14:35 | comments(2) | trackbacks(0) |-
12/26、『米粒写経のガラパゴスイッチ』 完売御礼
12/26(金)『米粒写経のガラパゴスイッチ』@新宿レフカダ、おかげさまで完売しました。
ありがたいです。
この期待に添う内容でお送りしますのでお楽しみに。
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 14:51 | comments(2) | trackbacks(0) |-
渋谷らくご(シブラク) 12月12日(金)~16日(火) プレビュー #シブラク 
2012年12月
12日(金) 夕席
18時─19時
「ひとりらくご」 橘家文左衛門「芝浜」
夜席
20時─22時
「渋谷らくご」 立川こしら、立川吉笑、昔昔亭A太郎、立川生志
13日(土) 昼席
14時─16時
「渋谷らくご」 立川談吉、柳亭小痴楽、立川志ら乃、入船亭扇辰
夜席
17時─19時
「まくら王」 笑福亭羽光、春風亭吉好、瀧川鯉斗、柳亭小痴楽、立川こしら、三遊亭歌太郎
14日(日) 昼席
14時─16時
「渋谷らくご」 瀧川鯉八、柳家わさび、玉川奈々福、橘家文左衛門
夜席
17時─19時
「渋谷らくご」 春風亭正太郎、橘家圓太郎、神田松之丞、春風亭一之輔
15日(月) 夕席
18時─19時
「ひとりらくご」 柳家喜多八「文七元結」
夜席
20時─22時
「創作らくご」 三笑亭夢吉、春風亭昇々、春風亭百栄、玉川太福、林家彦いち
16日(火) 夕席
18時─19時
「ひとりらくご」 立川談笑「芝浜」
夜席
20時─22時
「渋谷らくご」 春風亭昇々、三遊亭遊雀、春風亭百栄、立川吉笑
開場:各開演時間の30分前。(出演者は予告なく変わることがあります)「渋谷らくご」は持ち時間は30分。

先月の試運転を経て、今月から正常スタートの「渋谷らくご」。
「落語の興廃この一戦にあり」とまではいかないけれど、いままで落語に触れたことのない人たちがこれだけ多く入る落語会もないし、また同時に落語ファンも足を運ぶような落語会はますます少ない。
「落語国」の入り口でもあり、またそこに住むくらいの勢いの落語会にしたい。ディズニーランドでいうところの「ワールドバザール」みたいな場所であればいいと思う。
ここから落語に興味をもち、さらに「落語家」(噺家)に興味をもち、彼らに引っ張られる形で、寄席やホール落語にも足を運んでくれる人がいてくれたらうれしい。
先月から、早くもそういううれしい報告がたくさん届いている。


まずは今月の見どころです。

▼「ひとりらくご」で冬の大ネタを聴く会 「芝浜」「文七元結」
私は本来、ネタだしには否定的だ。
「立ちきれ線香」をやるよ、とか、「へっつい幽霊」やるよ、と事前に告知して、「よし、じゃあ観に行こう!」となる人をそもそも相手にしていてはいけないと思うのだ。
もちろん、普段新作しかやらない人が古典をやります、という意味でネタだしをするのはいいことだし、持ちネタを大々的に宣伝する意味でネタだしをするのもいい。また、「わかっている人向け」の会があっていいと思う。
ただ、落語を聴いたことがない人でも知っている落語のタイトルとして、「寿限無」「まんじゅうこわい」「目黒のさんま」、その次くらいにくるのが「芝浜」(しばはま)だ。
ただ、芝浜は冬の噺でもあるし、寿限無とかまんじゅうこわいとかとちがって、大ネタ、しかも人情噺である。
古くは、三遊亭圓朝という、落語界の神様的存在の人が三題噺として作った噺が、いまは国民の常識として受け入れられている。
歌舞伎の演目にもなっている。
なので、唯一、12月にはネタだしアリ、と思い、これを機会にぜひ「芝浜」に触れてもらいたい。
さらに、それと同等に、とくに江戸落語の「粋」を語るとき必ず引き合いにだされるのが「文七元結」(ぶんしちもっとい)。これも圓朝作であり歌舞伎にもなっている国民の常識だろう。

大ネタは演者の体力も気力もそうとう削る。こんなことを引き受けてくださる人はいないかもなー、と思っていたのだが、なんと願ったりかなったりのお三方がお引き受けくださいました。
独演会でも必ず聴けるというものではありません。各師匠のご厚意でこの企画は成り立っています。こんなチャンスはありません。
平日にだけ行われる「ひとりらくご」、12日 文左衛門「芝浜」、15日 喜多八「文七元結」、16日 談笑「芝浜」、
聴き比べのおもしろさも、大ネタの粋も、なめつくしていただきたいです。

▼「創作らくご」
新しく「創作らくご」の回を設けました。各演者さんが自分で作った、新作落語のことです。
おのおのが問題意識を感じ、あるいは創作意欲をふるって、ゼロから作った落語。「芝浜」だって「文七元結」だって、創作らくご。
言ってみればその演者さんにとっては最大の売り物かもしれませんが、それを惜しげもなく「渋谷らくご」で披露してくださることになりました。
トリは前回「長島の満月」を演じてくださり、大好評だった 林家彦いち 師匠。
古典と新作がどれだけちがうのか、興味のある方はぜひ!

▼講談、浪曲の俊英が登場
落語とは似て非なる演芸である「講談」。
日本人のリズム感の結晶がつまっているといっても過言ではない、しゃべること・聴くことの気持ちよさを追求した芸能です。
テンションあがったりさがったり、勇ましい気持ちになったりと人の心をゆさぶって離しません。
神田山陽さんがなかなか聴く機会がなくなってしまったのですが、当代随一の才能が現れました。
神田松之丞(かんだまつのじょう)さんです。まだ若いですが、私は「才能」がみたい。だから来てもらうことにしました。

さらに日本人ならではの感覚である「義理人情」、そしてメロディ。
この二つを追求した芸能があります。それが「浪曲」です。
古くは日本の演芸のトップに君臨するほどの人気だった浪曲も、私のまわりではその存在を知っている人があまりいません。
若い人でも平易にわかる言葉遣いで、古典もさることながら、新作を作って浪曲の本質を伝えてくれる、玉川奈々福(たまがわななふく)さん、玉川太福(たまがわだいふく)さんをお呼びしました。

講談も浪曲も、落語に劣らずめちゃくちゃおもしろい芸能です。一生をかけて追うに足る。そういう才能がいるのです。
なんとそういう人たちも、「渋谷らくご」に来れば見られるという、なんというラッキー!
お楽しみに。

*****

以下、各回の見どころです。

※「渋谷らくご」には、二席目と三席目の間に「3分間のインターバル」が入ります。
これは、休憩ではなく、「脳を休める時間」です。
落語は脳をつかい想像し楽しむものです。普段あまり使っていない人でも、使っている人でも、一時間3分休めると、より楽しめると思います。
※また、「脳の筋肉使用」の目安を三段階で設けました。初心者でも楽しめるかと思いますが、脳筋肉痛に注意してください。
※「渋谷らくご」は、開演してすぐ出てくる人から30分をお任せし、「トリ」のつもりでやってもらいます。出演者全員「トリ」です。
※開演前と終演後に「落語体験」というトークコーナーがある回があります。あくまでおまけのようなもので、いろいろな仕事の方をお呼びして、落語を生で体験し、現代人としての意見をうかがいます。お時間ある方はおつきあいください。



▼12日 金 18:00〜19:00 「ひとりらくご 〜芝浜〜」 脳の筋肉使用★★★
橘家文左衛門 たちばなや ぶんざえもん

文左衛門師匠の芝浜には定評があり、前から聴きたい聴きたいと思っていたところに、この「渋谷らくご」があったので、ダメもとでお願いしてみたのです。
会の趣旨をご理解してくださったうえで、「ちょうどやりたい時期だったので」と快諾してくださいました。
文左衛門師匠は文吾といった二つ目時代に頻繁に聴いていたのですが、明るさと暗さ、軽さと重さ、繊細さと図太さという、相反するものを同時に持ち合わせている、非常に魅力的な落語家さんです。
「芝浜」という噺は、解釈や演じ方次第で、暗い噺にも明るい噺にも、いい噺にも悪い噺にもなります。
今年のこの日の「芝浜」を、どう演じてくださるのか、とても楽しみです。

 

▼12日 金 20:00〜22:00 「渋谷らくご」 脳の筋肉使用★★
立川こしら たてかわこしら
昔昔亭A太郎 せきせきていえーたろう
立川吉笑 たてかわきっしょう
立川生志 たてかわしょうし
 ◎この回は、ニコニコ生放送「WOWOWぷらすと」生中継 が入ります。
 (アーカイブは残りません)
 落語体験:早織、池田裕子 サンキュータツオ

誤解を承知で言う。
落語家でもっとも落語を愛していない、それが「立川こしら」だ。
この人の脳はすごい。落語という、一度入ったら気持ちよくなる「ぬるま湯」の世界に引き込まれず、ただひたすら「ここにいいお湯ありますよ」と呼び込みをして生きているように見える。
落語に自我を食われていないのだ。お笑い的に、そして現代人が落語に感じる「違和感」を肌感覚で、ダイレクトに表現する方法もこの人は持ち合わせていた。
ところが。真打になることが難しいとされている落語立川流にあって、真打になってすぐに謎の休養、その後一切姿を観なくなる。立川こしらはどうしたんだ。いったいどこにいったんだ。熱狂的なファンと、熱狂的なアンチが、こしらの動向を騒ぎ立てた。
あれから8か月。ある日唐突に、その男は「復帰」することになる。
復帰ほやほやの立川こしら師匠の姿を焼き付けてほしい。
そして、それを迎え撃つA太郎さん、吉笑さん、生志師匠!
みんながみんな「やりにくい」、そんな回を作ってみました。なぜならそのほうが聴いていてスリリングだからです。
「渋谷らくご」初の試みである、ニコニコ生放送での中継つき。一万人以上が彼らの落語を聴く。その現場に、ぜひ来てください。

 

▼13日 土 14:00〜16:00 「渋谷らくご」 脳の筋肉使用★★
立川談吉 たてかわだんきち
柳亭小痴楽 りゅうていこちらく
立川志ら乃 たてかわしらの
入船亭扇辰 いりふねていせんたつ
 ◎落語体験:しまおまほ(作家 イラストレーター)、サンキュータツオ

力と力のぶつかり合いが見たい、際立つ個性のほとばしりを見たい、そんな人にオススメのこの回。
「渋谷らくご」記念すべき第一回の初日最初の高座で「野ざらし」を演じてくださった談吉さん。
「渋谷らくご」初登場の小痴楽さんが、どうやって30分をつとめるのか。
先月は「火焔太鼓」で爆笑をさらった志ら乃師匠は、達人・扇辰師匠の前でいかに存在感を残すか。
非常に見応えのある回になると思います。どんなネタを演じるのかも注目です!
「落語体験」には、ラジオ好きにはおなじみのミューズ、イラストレーターのしまおまほさんが登場!


▼13日 土 17:00〜19:00 「まくら王」 脳の筋肉使用★
笑福亭羽光 しょうふくていうこう
春風亭吉好 しゅんぷうていよしこう
柳亭小痴楽 りゅうていこちらく
滝川鯉斗 たきがわこいと
立川こしら たてかわこしら
三遊亭歌太郎 さんゆうていうたたろう ※落語あり
 ◎落語体験:プチ鹿島(時事芸人)、サンキュータツオ

前回、落語ファンからは物議をかもし、初体験の方からは絶賛をいただいた企画「まくら王」が12月も登場。
最近あったこと、気になっていること、自分の問題意識などなど。あくまで現代人として生きている落語家さんの噺の「まくら」、つまり漫談だけを聴いて、笑っていただいたり考えていただいたりするこのコーナー。
「なんかやりにくい」とか、そういう状況いじりはあまり歓迎されない場所なので、思い切り個性がでると思います。
落語はおもしろい人がやるからおもしろい。
そんなシンプルなことを教えてくれる試みだと思います。
今回は、羽光さんに「こんな落語家もいるんだー」と教えてもらい、前回暴走族の総長時代の話をしてくれた鯉斗さん、復帰明けのこしらさん、オタクでもある吉好さん、さらに初登場の小痴楽さんをお迎えし、最後に歌太郎さんに落語で一席お願いしています。
若い才能のぶつかりあい、芸人力がもろにでる衝撃回、ぜひ目撃しにきてください!
「落語体験」は、時事ネタといったこの人、プチ鹿島さんです。

 

▼14日 日 14:00〜16:00 「渋谷らくご」 脳の筋肉使用:★★
瀧川鯉八 たきがわこいはち
柳家わさび やなぎやわさび
玉川奈々福 たまがわななふく
橘家文左衛門 たちばなやぶんざえもん
 ◎落語体験:木村万里(演芸プロデューサー)、サンキュータツオ

前半の、鯉八さんとわさびさんという、若い才能のぶつかりあい。新作をやってくれるのか!?
あの手この手でお客さんをくすぐり続ける技が炸裂すると思います。
わさびさんは、先月「まくら王」に出演してくださいまして、失礼なお願いにも堂々たる「まくら」で落語とはこういうものだと示してくれました。今度は、まくらと噺もセットです。
そこに「浪曲」の玉川奈々福さん登場!
文左衛門師匠が、最後に30分落語をしてくださいます。
刺激しかないこの回! 
「落語体験」は、私の演芸鑑賞の師ともいうべき、プロデューサーの木村万里さんです。
人前には滅多にお出になりませんが、どうしてもとお願いして出ていただくことになりました。
このコーナーでははじめての落語をよく聴く人の登場ですが、演芸ってそんなに難しいものじゃないんだよ、楽しいんだよってことを、万里さんに語っていただこうと思います。

 

▼14日 日 17:00〜19:00 「渋谷らくご」 脳の筋肉使用★★
春風亭正太郎 しゅんぷうていしょうたろう
橘家圓太郎 たちばなやえんたろう
神田松之丞 かんだまつのじょう
春風亭一之輔 しゅんぷうていいちのすけ

この回には「落語体験」も、解説もありません。必要ありません。
「渋谷らくご」のひとつの形です。初心者も上級者を自認する人も、ともに聴きごたえのある回になるでしょう。想像することの楽しさが詰まった回になると思います。
とにかく聴きに来てください。それだけです。

 

▼15日 月 18:00〜19:00 「ひとりらくご 〜文七元結〜」 脳の筋肉使用★★★
柳家喜多八 やなぎやきたはち

当初、12月の「ひとりらくご」は、「芝浜」縛りでいこうと考えてみました。
喜多八師匠に、失礼を承知でお願いしてみました。
「まだ披露できるレベルにない」という返答でした。
諦めるしかありません。残念ですが、そういった師匠だからこそ、一席一席が輝くのです。その美学に惚れてお願いしているわけなので、、無理はいけません、来年またダメもとでお願いしよう……と思っていたところ。
師匠から電話がありました。「文七だったら、演る」。
思ってもみないご提案でした。あの喜多八師匠の「文七元結」が、確実に聴ける機会が、ほかにあるんだろうか。
こんなにありがたいことはありません。
落語を聴いたあと、こんなにも疲れて、こんなにも気持ちよくて、なんとも言えない気持ちになる。
そんな体験を、みなさんにしてもらいたいと思います。

 

▼15日 月 20:00〜22:00 「創作らくご」 脳の筋肉使用★★
三笑亭夢吉 さんしょうていゆめきち
春風亭昇々 しゅんぷうていしょうしょう
春風亭百栄 しゅんぷうていももえ
玉川太福 たまがわだいふく
林家彦いち はやしやひこいち
 ◎落語体験:宮地昌幸(アニメーション監督)、サンキュータツオ

この回、早くも楽しみで仕方がない!
夢吉さん、昇々さん、百栄師匠には各20分、太福さん、彦いち師匠には30分、お任せしています!
落語は古典だけでも演者によって解釈が変わるうえに、これが創作となると、演者本人の表現力、編集能力、志向性もでてくるからがぜん幅広い芸能の側面をみせる。
だがそれゆえに、演者は創作の苦しみを味わう。
この回で演じられる噺に、きっと演者さんそれぞれの苦悩や葛藤、積み上げ考え抜いてきたこと、落語観がつまっている。
創作を聴く楽しみは、ただ噺やくすぐりを追うだけではなく、その落語家の落語観や身体性をもあますところなく味わえるところにある。
なんでもアリ! そう思わせてくれる会になると思います。
「落語体験」には、TVアニメ『亡念のザムド』、劇場版アニメ『伏 鉄砲娘の捕物帳』などで知られる宮地昌幸監督をお呼びしました。

 

▼16日 火 18:00〜19:00 「ひとりらくご 〜芝浜〜」 脳の筋肉使用★★★
立川談笑 たてかわだんしょう

まさか、である。
あの談笑師匠が、芝浜を演じてくださるとは!
談笑師匠とはネットラジオの対談や、今年四月の談志師匠の追悼イベントの際にお会いしている。が、実はこっそりツイッターのフォローをはずされていたので、「これはツイートしすぎて、失礼なこと言いすぎて、しくじってしまった…」と思っていました。
そんな個人的な話はどうでも良かったのですが、「芝浜」を聴く会、ということになると、どうしても、骨太でありながら異端もできる、という方にお願いしたくなるものだ。談笑師匠はどちらもいける。それこそ当日の会場の雰囲気でいかようにも演じ方が変わる。失礼を承知でダメ元でお願いしてみたところ…なんと演じていただけることに! ひゃっほーい!
緊張と想像の一時間を疾走せよ! 文左衛門師匠の「芝浜」を聴いた人は、演者でこれだけちがうのか、という聴き比べの楽しさを味わうまたとない機会です。
談笑師匠という案内人によって、どこまで連れていってもらえるのか、体験していただければと思います。

 

▼16日 火 20:00〜22:00 「渋谷らくご」 脳の筋肉使用★★
春風亭昇々 しゅんぷうていしょうしょう
三遊亭遊雀 さんゆうていゆうじゃく
春風亭百栄 しゅんぷうていももえ
立川吉笑 たてかわきっしょう
◎落語体験:トミヤマユキコ(ライター、研究者)、サンキュータツオ

12月最後の「渋谷らくご」はスリリングな回です。
ただし、どう転がっても確実の楽しいことは保証できる。
この番組、ルール破りの失礼な番組なんです。
二つ目、真打、真打、二つ目、という並びは、ほかの落語会ではまず見ない。
最初の出演者から「トリ」というコンセプトのこの「渋谷らくご」ならではだと自負しています。
遊雀師匠、百栄師匠という古典、新作の両巨頭、いま油がのりまくっている時期の方たちを味わいつくしたあと、最後に一番キャリアの短い吉笑という才能はなにを見せてくれるのか。追い込んでみました。
昇々さんが一番爪痕を残すかもしれません。二つ目が真打を食うか、真打が安定感をみせつけてくれるのか。
楽しみで仕方ありません。


2014年12月の「渋谷らくご」、どうぞよろしくお願いします。
渋谷、ユーロスペース二階、「ユーロライブ」でお会いしましょう。
最高の落語体験を、演者と観客で作り上げましょう。永遠の一回性を共有したくおもいます。


 
posted by: サンキュータツオ | お知らせ | 17:26 | comments(0) | trackbacks(0) |-